だから僕は反対したんだ。月夜に兎狩りだなんてまさに狂気の沙汰だよってね。それなのに無鉄砲な君は猟銃なんか担いじゃって平気な顔をして家を出たんだ。藍色の嘘っぽい夜空に山より大きな三日月が昇ってゲラゲラゲラゲラ笑ってたっけ。君は月の光にあてら…
毎日、少しずつ、床下に穴を掘ったものだ。それは監獄から脱出するための穴。よく掘ったものだと、われながら感心する。苦労の末、ようやく脱獄できたわけだ。けれど、外に出たら、もう穴を掘る気はしない。当然だ。なぜなら、穴を掘る意味がない。いくら褒…
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