Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

消毒液

休日出勤の事務所。先ほどまでいた同僚は帰ってしまった。今にも切れそうな蛍光灯スタンドが置いてある。家電メーカーのショールームでもあるのだ。このビルの管理会社の男がエレベーターから現れた。細長いビルなので、事務所へ出入りするには外の非常階段…

戸口の前

母校の剣道部の部室。今、道着に着替えたところ。高校を卒業してから初めて顔を出す。久しぶりに練習に参加するつもりになっている。部室から短い廊下を隔てて道場がある。先ほど、懐かしい先輩諸氏の顔ぶれを見た。ご無沙汰しているので気恥ずかしい。手に…

因縁女

帰り道、女の姿を認める。年賀状で絶交宣告を受けていた。こちらこそ望むところ、遠ざかる。上司だった男が不意に背後から顔を突き出した。「あの女を見たか?」飲み会の帰りのようだ。先ほど見たと伝える。「それはまずいな」男も苦手らしく、そそくさと姿…

ヒラメの命

命について考えている。具体的なイメージとしては、魚の切り身。命の残骸とでも呼べるこれらを毎日のように食べている。奥歯に挟まった罪悪感のようなものがなくもない。それとは別に手作業をしていた。狭い溝の奥を棒で擦って掃除していたのだ。すると、そ…

皿の上の蠢き

虫や甲殻類が蠢(うごめ)いている。食卓の上に皿があり、その上で。皿の上にあれば食べ物に違いない。ところが、皿の上から逃げ出そうとする。あわててナプキンを押し当て、潰(つぶ)すつもり。抵抗とためらいあるせいか、なかなか潰れない。いっそこのま…

剣道部の先輩

高校時代の剣道部の先輩二人が試合を始める。それをテレビ画面で観戦。どちらも面をつけているので顔は見えない。だが、アナウンスされた名前と姿が一致しない。(人はこんなに変わるものか?)老けたとしても別人ではなかろうか。試合の流れも記憶された印…

最寄り駅

帰宅途中の通学電車。そろそろ自宅の最寄り駅に着く頃。ふと思い出す。学用品を買わねばならぬ。ここを乗り過ごして次の駅まで行くつもり。そのことを学友たちにも告げる。だが考えてみると、不合理だ。最寄り駅近くにも学用品を売る店はある。しかし一旦口…

旅館で待つ

旅館のロビーで待っていた。ただし、なにを待っていたか思い出せない。どうやら社内旅行のようだ。その証拠のように白髪の上司が階段を下りてきた。「出発の準備はできたのかね?」その質問はまったく意外な気がした。「いえ、まだですが、すぐ準備します」…

聞き込み捜査

別宅にて詰将棋を考えていた。なにやら外が騒がしい。玄関のドアを開け、ひょいと顔を出す。警察官が聞き込み捜査をやっている。近所で犯罪事件でもあったらしい。どんな犯罪かわからない。勿論、私が犯人のはずはない。だが、ここに住んでいるのが公にされ…

離陸

今にも旅客機が飛び立とうとしている。冗談じゃない。早く脱出しなければ。人混みをかき分け、急いでドアから出る。滑走路では整備員らが談笑していた。どうして避難しないのだ?だが、他人の心配をしてる余裕はない。走る、ひたすら走る。トンネルの奥に出…

スイートルーム

芸能界の親しい仲間など数名の知人がいてホテルのスイートルームで僕たちは楽しんでいた。同好会の合宿か一泊旅行の同窓会みたいな気分。残念ながら今日が最後の日のようだ。ところが、ホテルの計らいで、さらに一日だけこの部屋を自由に使える権利を個人に…

あれやこれ

仮に あれとこれしか 選択の余地がなかったとして あれを選び これを選ばなかった理由 または これを選び あれを選ばなかった理由は あれやこれの前に あなたの中にあったはず だとすれば その選択の失敗を あれやこれのせいにするな 「note」yayaさんが演じ…

屋根のない観光バス

屋根のない観光バスに乗っている。大きなバイクの荷台にでもいるような気分。中学の同窓会かもしれない。途中、降車して友人とプロレスをする。皆に呼び戻され、再び乗車。ズボンのチャックが開いたままの男がいる。ベルトも外れており、下着が丸見え。バス…

飛ばし読み

あっ、それね。 知ってる、知ってる、飛ばし読み。 またこれか。 つまらん、つまらん、飛ばし読み。 難しい。 どうせわからん、飛ばし読み。世の中、文章多すぎて、どうせ全部は読めません。興味あれば読むけれど、興味なければ読みません。 興味半分、気分…

本棚の向こう

図書館で本を探している。分野は芸術、でなければ哲学。または、そのどちらでもないかも。ところで、ある女を意識している。彼女が私の行動をどう思うか、気になる。感性を疑われるのではなかろうか。品性がいやらしく見えないか。確認できないが、彼女は近…

休日出勤

また昔の会社の事務所にいる。つまり、ここが好きなのだろうな。べつに急ぎの仕事もないのに絵を描くために休日出勤とかしてたな。昼には近所のスナックで食事。平日の昼は、この店の出前弁当だった。手伝いの娘さんが届けてくれて風邪気味の日にはおかゆを…

社内プレゼン

これまでは企画マンだった。これからは営業マンになるらしい。近々、プレゼンがある。だが、その企画書を作るのは俺ではない。高校の同級生だった気になる女子の仕事だ。その証拠であるかのように、大人になった彼女が企画書に載せるグラフや写真の確認に現…

袋レンズ

昔の会社の事務所に休日出勤。ただし、どんな仕事をしてたか、記憶にない。マンションの住民の一人、呆け老人がいる。彼からコンタクトレンズ一組をプレゼントされた。フィリピン人の奥さんが余分に持ってるから、とのこと。水の入ったシャーレーの中にレン…

ゴルフのコンペ

河川敷でゴルフのコンペ、あったそうな。営業接待によるサラリーマン対決みたいなの。そう言われると、思い出す。そんなのにカメラマンで参加したことあったな。その夜、実家がある田舎で地震があった。電話がつながらず、飲み会を抜け出して走った。携帯電…

吹き抜け廊下

知り合いの中年女が妊娠したそうな。詳しいことはわからんが、なんでも政府から許可が下りたので身ごもったとか。「それで、いまさら心臓がドキドキしているの」まあ確かに命懸けの高齢出産であるな。実際、どういうつもりか気がしれない。相手にしてられな…

女物のサングラス

夜道を歩いていた。先ほどまで誰かと一緒だったが、今はひとり。姿は見えないが、近くで若い女の声がする。おそらく夜遊びでもしているのだろう。物陰に女物のサングラスが落ちていた。男でも使えるように思い、拾う。コソ泥みたいだが、こんなところに置く…

吊り橋首都高速

あるイベント会場に潜入しようとしていた。招待券を持ってないが、なんとかなろう。大勢と一緒に階段を上る。エスカレーターでないのが不思議。途中、案内嬢が入場者の仕分けをしていた。別に不審者扱いされることはなかった。すぐに広い場所に出た。立体交…

推理小説

男女8人が推理小説の文庫本を持ち寄った。くじを引き、性別無視して4組のペアになる。それぞれ強制的にデートしながら読書する。そして、早く犯人を当てたペアが勝ちとなる。うーん。趣旨がよくわからない。Detective NovelEight men and women brought a …

ゴムのパテ

学校の体育館の中、生徒たちが床に座っている。すぐ前の女子が振り向き、頭を突き出す。「これ、どうかしら」見ると、彼女の首まわりにゴムのパテみたいなものが貼りついている。「こうすると、もっといいんじゃね」パテを指で押して伸ばしてみる。彼女が抵…

蛇紋岩

子どもたちと山を歩いていた。ちょっと下ると、川が流れていた。その浅瀬に赤い石が転がっていた。白っぽい縞のある紺色の石も近くにあった。「これは蛇紋岩(じゃもんがん)だな」男の子が問う。「どうして蛇紋岩て言うの?」「ほら、この縞模様が蛇の皮み…

格闘バレリーナ

二人の男が格闘技の試合をしている。その一人は、プロ将棋の有望新人の師匠だ。興味深く観戦する。寝技や関節技などあり、レスリングに似ている。なかなか高度な技を繰り出す。脚を絡めてエビ反ったり、痛ましくも悩ましい。ただし、どちらもバレリーナの恰…

空中歩行

足裏に地面を感じる限り、空中歩行できる。ほれ。その証拠に、こうして崖からはみ出して歩いているではないか。なるほど、そんなこともあったな。少し前に経験した事柄について考えていた。すると、兄が母へ文句を言う声が聞こえてきた。私の行動原理につい…

頭の迷路

頭の上みたいな場所に迷路がある。頭の上部を均(なら)して、印鑑の印字面を彫った感じ。カバー工法による窓サッシ修繕工事からの連想か。提案された工事費の見積りが高いのだ。管理組合主導で窓サッシ施工業者を変えるべきか。業界のしがらみやら、面倒な…

無駄な危険

自転車に乗って夜道を進んでいた。帰宅途中らしく、兄と一緒。路面が濡れている。雨上がりだったかもしれない。最初は兄の背後、それから前に出る。ポジションが入れ替わった感じ。兄の自転車を乗っ取ったのかもしれない。まるで幽霊が憑依したかのように。…

電車で接触

電車に乗って立っている。同じ電車に有名人が乗ってるそうだ。せっかくの機会なので接触してみたい。同行の助手である若い女に頼み、確認してもらう。助手は同じ車両の端まで行き、その人物に話しかける。よく見えないが、シートに座っているようだ。しきり…