Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2015-01-01から1年間の記事一覧

往く人 来る人

往く人や 来る人の 姿かたちは 変われども 変わらぬ想いの あれやこれ 喜び 哀しみ 不安や悩み わけのわからぬ いきどおり そんなもんさね 皆の衆 いつになろうが 人は人 さして変わりは あるまいよ 「Spring♪Ⅱ」武川鈴子さんが演じてくださった!「さとる文…

白い道

ひとつとひとつが 出会って ふたつ ふたつ重ねて 結んで ひとつおててつないで いちにいさんあんよは上手 青い空どこへ行こう どこまで行こう 白い道が のびている 細くても まっすぐな ふたりの道が のびている 元「koebu」yayaさんが演じてくださった! Wh…

納豆女

納豆女は ねばる ねばる ねばねば ぬとぬと べとべと ねばる執拗に こりもせず 糸を引いて ねばる 意味もなく 往生際悪く 髪をふり乱して ねばる箸にも 棒にも なんにでも ひっかかる まったく べっとり こまった女だ 元「koebu」宏美(ろみりん)さんが歌を…

ふぶき

さっきまでふぶいていた。まさにすさまじいふぶきだった。はげしくて冷たくて、死にそうだった。でも、今はもうおだやかであたたかい。さっきまでの苦痛がうそのようだ。冬山の天候は変わりやすい。これでようやく前進することができる。いままでふぶきのた…

今ばかり

いたずらに 悔やむなかれ 憂うるなかれ 泣くも笑うも 生きるも死ぬも ただ今ばかりなり 元「koebu」ロンチーさん、元「koebu」GOD@怪演隊さん、元「koebu」宏美(ろみりん)さんによる競演! Just NowMischievouslyDo not repentDo not be sadNeither cry no…

メッセージ

これらとりとめのないメッセージは いったいどこまで届くのだろう。どのように どれくらい そして、いつまで届くのだろう。せっかく発信しているのだから どうせなら 広く遠く正確に いつまでも届いて欲しい。けれども、それほどの内容か と問われたら 残念…

夜遊び

残業で疲れて帰宅すると 高一になったばかりの娘が出かけるところだった。「あっ、パパ。お帰りなさい。 チーちゃんの誕生パーティに誘われたから、行ってくるねー」「おいっ」娘は振り返りもせず、短いスカートをはためかせ コウモリさながら夜の闇の中へ飛…

狂ったクロック

狂った クロック 狂った クロック ボーン ボーン 短針が 長針追い越す 長針 怒って 逆回転朝が夜で 夜が昼 昼が朝で 朝が今日今日は明日 明日は昨日 昨日はどこだ? てやんでえ すっとこどっこい おととい 来やがれ! 狂った クロック 狂った クロック ボー…

むだなこと

そういうふうにして そういうふうになるなら そういうふうにすればよい。ところが いくらそういうふうにしても そういうふうにはならないからこまる。そんなにあまくはない。それほどうまくはできていない。そういうふうにするには そういうふうになるように…

体が消える

リサイクルショップで操り人形を買い 読み切れない本を図書館から借りて帰宅した。疲れを感じ、眠った気がしないながらも少し寝る。しばらくして起きるが、頭の中がすっきりしない。風呂に湯を入れ、浴室の明りもつけずに入浴する。シャワーを出しながら洗剤…

ヘルメット

その工事現場にヘルメットを届けるよう 兄からことづかったのだ。詳しいいきさつは忘れた。野球のヘルメットのようでもあり 消防士が被る耐火性のもののようでもある。とにかく、それを届けたのだ。最寄り駅の近く、地下鉄の工事であろうか。すると、届くの…

泡の実験

学校の理科室を連想させるが、あるいは ベンチャー企業の実験室かもしれない。かたわらに女子生徒のような助手がいて、これも担任の女教師でないとは否定できない。そのように不明確な状況下において 生徒のような研究員のような私が実験をしている。ビーカ…

逃避ラッパー

僕たちは 影みたい 厚みがない 奥行きない 手応えなんか どこにもない いいことないし やる気がない 苦労に見合うものがない あれもダメ これもダメ それは犯罪 それ差別 どうすりゃいいのか わかんない 結婚は 災いを 増やしてる 出産は 貧困を 増やしてる …

アンインストール

アンインストール アンインストール 君はいらないアンインストール だって君は 付いてきた 用もないのに 呼んでもないのに 付いてきた 勝手にインストールされていた へっ あっちへ行けよ うざいんだ アンインストール アンインストール インストールするの…

夜光虫

夜の波打ち際 寄せては返し 浮かんでは消える 緑色の 不思議な光が あなたの髪を ゆらします 昼の赤潮 夜になれば 夜光虫 美しく 妖しく 華やかに 暗き海の幻想か 心惑わす イルミネーション あの哀しき伝説の 人魚姫と 見まごうばかり 水死体 元「koebu」ya…

だからなんなの?

いやいや。あんた、たいしたもんだね。じつに ご立派。あんなこと 普通の人には まず真似できないよ。それどころか、ひょっとすると 世界中であんたしかできないことかもしれない。うん。その可能性はあるね。正直、すごいと思うよ。いや、ホント。まあ それ…

道を外れる

雨音がするし、カーテンあるにせよ暗いから きっとお外は雨なんだろう。もう目を覚まさなければいけない頃合いだ。でも、どうにも起きる気になれない。それで、フトンの中でぬくぬくしていたら 友だちに腕を引かれて、僕は道を外れてしまった。楽園を連想さ…

けだるき目覚め

夜が明けつつあるにもかかわらず 血が腐ったような死のにおいがいたします。また眠りながら鼻血でも垂れ流したのかしら。それとも垂れた鼻血が眠ってるのかしら。赤血球や白血球をゴロゴロ転がしながら その細く短き血の川は 汚れた病床を這うついでのように…

大きな麻袋

隣に寝ていた女が変容を始めた。「今夜は眠らせないから」声と表情が変わったのに気づく。女の長く伸びた爪が肩に深く刺さる。その傷口の上を女の舌が這う。「もっと楽しいことをしようよ」舌先を指でつまみ、その持ち主に提案してみる。女は疑わしそうな眼…

あせる彼女

いつものように僕が失敗して 惨憺(さんたん)たる結果を取り繕(つくろ)うために ますます失敗しそうになると いつものように彼女がささやく。「あせらないで。ゆっくりね」その言葉を待っていたかのように 僕がのんびりだらだらするとまたまた彼女がささ…

神がわからない

私には 神がわからない 神がわからない私なので その神の子とやらも わからない ましてや その神の子の誕生日を祝うなど なんの意味やら さっぱり私にはわからない そんなこと いちいちわからなくても みんなと一緒に 祝っておればいいのだ それで万事 うま…

手抜き手袋

通販で指抜き手袋を注文したところ 妙なものが届いた。パッケージには「手抜き手袋」とある。手袋から手の部分を抜いたら 手首の部分しか残らない気がする。いくらなんでも言葉遊びで「袋」だけ ということはあるまい。ところが、それは文字通り まさに「袋…

作る人

彼は作る人である。作れるものなら基本的に自分で作る。設計図を作り、部品を作り、組み立てる。作れない部品が落ちていれば拾ったり そこそこ安く売られていれば買ったりもする。 それを持っている知人から借りたり、さらに 他の作る人たちと一緒に共同制作…

ドーナツの穴

ドーナツの穴はあるか? という問題。ドーナツにはドーナツゆえに穴があるとしても そのドーナツを抜きにして穴はあるか? この問題は次の問いを連想させる。笑顔はあるとして そこから顔を抜きにした笑いはあるか? 顔がなくても笑い声がある以上 顔を抜き…

私は今でも

氷原を歩いていたら 冗談みたいに氷が割れて 冷たい海中に落ちてしまった。海中を泳いでいたら 映画みたいにクジラが現れ 大きな口に飲み込まれてしまった。クジラの中を転がっていたら 怖そうな警察官が警笛を鳴らして「こら、転がるな!」と叱られてしまっ…

奇妙な建物

僕は何かをしようとしていたはずだが その住宅街を歩いているうちに忘れてしまった。と言うのも、建ち並ぶマンションの外壁の角度に 繰り返されるリズムのような規則性があるように思えたのだ。ところが、それらを見上げながら歩き進むうちに そのリズムは失…

火の山

火の山は怒りに我を忘れていた。黒煙を噴き上げ、赤い溶岩を垂れ流す。地響きと地割れ、燃える岩が転がり落ちる。撒き散らされた灰が視界を閉ざす。地中深く溜まりに溜まったもの 押し潰され踏み潰されたもの 積年の虐げられ続けた諸々が うっぷんを晴らすか…

リスクとメリット

リスクは危険な種族。メリットは好ましい種族。リスクがたくさんいる場所には メリットもたくさんいる。リスクが少ない場所には メリットも少しだけ。だから、リスクが多い場所ではリスクを避けることが重要。みだりに本音など言ってはならない。 一方、リス…

鏡の前

殺さなければ生きられないとすれば 生きることは、ある意味 殺すということ。愛する対象を奪われて憎むなら 愛することは、その反面 憎しみの種を蒔くということ。自他を映す鏡の前で あなたは戸惑う。あなたの左側が、時に 別のあなたの右側になる。 元「ko…

秘儀密告

迷い込んだ洞窟の行き止まり 壁に埋もれし異教の神々おわします。蛇身の女神の片腕へし折らば 禁断の隠し扉が開きます。ぬるぬる滑る石段を 手探りしながら下りましょう。鼓膜を圧する合唱の響き 呪わしく厭わしく聞こえます。 七色のかがり火は 異形の影を…