Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2016-12-01から1ヶ月間の記事一覧

資格社会

面倒くさい世の中になったものである。なにをするにも資格が求められる。試験を受けて合格しなければ実行できない。運転免許だけではない。成人と認められるのにも試験。結婚する資格ありと認められるのにも試験。少子高齢化が進む近頃では 長生きするのにも…

腹が立つ

詳しく再現することはできないが ともかく苦労させられたのだ。なのに、苦労させられた本人から「どうしたの?」と尋ねられたわけだ。いやもう、腹が立ったね。そのわけを本人に説明せにゃならんのにも腹が立つ。「だいたいあんたがああだこうだ言うから あ…

凍りついた家

小型バスに乗っている。同乗者は村人たちのようだ。運転しているのは村長だろうか。これから村長の家へ雪下ろしに行くらしい。車窓から雪景色が見える。そんなに積もってないが、いかにも寒そう。両脇につららが垂れさがった家が見えてきた。あれが村長の家…

白人女がいる

ちょっと外出して帰宅したところ。鍵を掛けたかどうか印象にないが ひとりの白人女が書斎で仕事をしていた。窓辺の机でオフィス・ワークとやら。いかにも自然に鼻歌なんぞ口ずさみながら。長く白っぽい髪が風にゆれている。白いレースのカーテンもゆれている…

ネジを締める

なぜか定期的に時空が乱れる。前後関係が狂うみたいな変事が起こるのだ。それで毎回のように僕たちは混乱する。僕たちというのは、僕と二人の女性。ただし、彼女たちが誰か思い出せない。再び、いや三度目か、その現象が発生した。一刻も早くネジを締めなけ…

まわりくどい

いくつか出題はなされたものの 結局のところ、答えは一つなのだった。手を替え品を替え、あれこれ詮索されるが いつも求められているものは同じなのだった。なんてまわりくどいことをするのだろう。まるっきり子ども扱いではないか。いい加減にして欲しい。…

焦がしパン

初対面の彼は知人の亭主。脱サラしてパン屋を始めた。パンに対して妙なこだわりがある。「よかったら、食べてみてください」焼きたてパンをプレゼントされた。漢字の「四」みたいに型抜きされたパン。そして全体に黒っぽい。食べてみる。ピザに似た味付け。…

空飛ぶ肘掛け椅子

ふと見下ろすと、足もとの床が明るい。(なんだ、これは?)なにか模様が見える。いや。景色だ。これはビルの屋上か。それを過ぎて、はるか下に見える街並み。航空写真のようだ。それがゆっくり右へ移動してゆく。信じられない。肘掛け椅子ごと空を飛んでる…

割り込む男

親しくもない女と電車に乗ったのだ。ただし、親しくなりたいほどの女ではあった。ともかく女と電車に乗って立ち話をしていた。すると、見知らぬ男が因縁をつけてきた。私を無視して女に話しかける。「こういうところでどういうつもりなのかね」私と女の間に…

恥ずかしい撮影

映画の撮影が終わり、宴会のようなのだ。成人向けの映画、私は主演男優らしい。他の関係者はテーブル席に腰かけているのに 私はなぜか床にあぐらをかいている。しかも、下半身は裸だ。左側の主演女優がこちらを見下ろす。「ちゃんと見せなさい」私は両手で股…

いやな予感

ある狭い範囲の展開について ことごとく予感が当たるのだった。それで少なからず世間に認められたせいか 意外な人物から手紙をいただいた。さる大国の大統領からである。「はて、どういうことだ?」目を通す前から不安がよぎる。いやな予感が当たりそうな、…

狭い通路

歩道橋を渡り終え、地面の歩道を歩く。駅へ向かう人々の姿がある。出勤や登校の時刻なのだろう。途中、物置小屋の入り口のような通路があり そこへ子どもたちが入っていく。私も見習って入ろうとする。 すぐ後ろに小学生の女の子がいて 前の子の友だちらしい…

取材

昨日まで会社を休んでいた。今日も早退するつもりで出勤したが どうも言い出しにくい。体調はよろしくないが、そのうち 今日一日くらい頑張ってみるか、という気になる。新人でもないのに初めて会う社員などもいて 同僚たちと雑談するうちに始業時間となって…

危険な遊び

おかしな遊びが流行っている。先端に錘のあるヒモをグルグルまわして 他人に巻きつける遊び、というかイタズラだ。あちこちでヒモを振りまわす姿が見える。まったく近頃の若者ときたら。道端のテーブル席に座っていたら さっそくヒモが前方から胸もとにかか…

不明瞭なリーグ戦

学校の教室のような部屋の中で ボードゲームのリーグ戦が行われている。オセロのようでもあり、囲碁のようでもある。ルールはよくわからない。強豪とされる男が声をかけてきた。「君は意外と強いのだね」参加者の段級位が壁に表示されている。どうやら私は二…

強引な接吻

おれたちは口論していた。口喧嘩みたいに激しかった。内容は思い出せない。ああした方がいい、こうせねば駄目だ みたいな言い争いだったはず。その時、不意に彼女が倒れた。 もともとおれは寝ていたか、一緒に倒れたか ともかく彼女が覆いかぶさってきた。や…

事件か仕事

事件に巻き込まれたらしい。仕事を請け負っただけかもしれないが。建物内の掃除の仕方についてだったか 在庫品の片づけ方についてだったか、そんなの。ともかく、紆余曲折なれど平行棒と床運動の末に 難しい交渉が解決したようなのだ。それで仕事の続きをし…

金庫破り

それは夜中だった。なぜなら暗かったから。ふと不安を覚え、隣の部屋のドアを開ける。照明をつけるまでもなかった。部屋の奥の窓が開けっ放しになっていた。さらに部屋の中央、開けっ放しの金庫が見える。嘘だろ? 嘘だ! 嘘だ! 全財産の入った金庫が破られ…

鎌足な塊

酒を置いてないバーがどこかにあるとして 話題もないのにそこで誰かと対話している。 さて、どうしようか、という話なのだ。そこそこ有名なのによくわからない人物、誰でもいいが、たとえば中臣 鎌足(なかとみ の かまたり)。大化の改新の中心人物だったと…

うやむやに囲まれて

友人と一緒に人通りの多い道を歩いている。駅の地下通路みたいな印象がないこともない。前方に見覚えある女の後姿が見える。元同級生であったか。彼女も友人と一緒らしい。なぜなら 隣の女の後姿にも見覚えある気がする。「さっきのは知ってる女の子だったか…

ゴロアワセ

バジルネ バジルコ ルガンダ フッコ エビシテ ソゲタ ゴロアワセ ゴー ナクヨ ボ-サン ヘイアンキョー イイクニ ツクロー カマクラニ ヒトワー ムナシー エドバクフ ハントワ イワナイ ケントイウ ヒトヨー ヒトヨニ ヒトミゴロ ヒトナミニー オゴレヤ オナ…

クリスマスがきらい

おれはきらいだ 手垢にまみれたクリスマス ロールケーキは 女体巻き 聖夜のデートは ホテルへGo! さあさ ケーキを食べなさい さあさ デートをやりなさい おれはきらいだ 道徳が 老人に 席を 譲りなさい みたいな命令調の あ れ が そんなチンケなプログラム …

閉ざされた聖域

閑静な小高い丘の上にたたずむ そこは 神社のようでありながら墓地のようでもある。石灯籠や赤い鳥居が外から見えるのに 見えない奥には墓も並んでいたような気がする。児童公園のような場所もあったはずだ。そこに入って遊んだような記憶もあるにはあるが …

指ではじく

部屋の床に小さな甲虫がいる。殺すまでもない気がして指ではじいたが ちょっと離れて翅を広げただけ。普通なら飛んで見えなくなるはずなのに。続けて指ではじいてみても ちょっと離れて浮き上がっただけ。さらに指ではじくと、もっと浮き上がり 怒ったように…

繰り返したくない

おれたちは狭いトンネルのような通路を進み 細いチューブのような坂道を滑って落ちる。これが目的地への近道なのだが 遊園地のアトラクションのようでもある。なんとかゴール地点までたどり着いたら スタート地点まで引き返さなければならない。でも、同じ行…

悩ましい三角地帯

ふと思い出した。昔、たいそう気になっていたのだ。JRの総武線と山手線と中央線が交差する秋葉原、神田、御茶ノ水の三角地帯が。地下鉄もあるから、乗り換え方法など 上京したばかりの身には迷路でしかなかった。車内で知人に相談しているが、まず現在地が不…

あらぬ方向

おれは階段を下りている。幅は狭く、二人やっと並べるくらいだ。目の前には赤い和服の女がいる。ゆっくり歩いているので、ぶつかりそうだ。女が振り向いた。知ってる女だった。好みのタイプだったが、知人と結婚した。その旦那に金を貸したことがある。おそ…

石炭をやる

立派な邸宅の持ち主だが なぜかそこに 拾ってきた浮浪者みたいな男を住まわせている。使いの者に命じて食事を与え、なぜか 少量ながら石炭の塊も定期的に与えている。問題は石炭に限りがあること。この冬を最後にもう石炭をやれない事情がある。それで、その…

共同制作への誘い

彼らと出会い、だらだら群れて歩きながら なにやらよからぬ計画を立てる。犯罪すれすれ、または合法すれすれ。共同制作をするかのようなムードを感じる。目指すものに似ていなくもないような カットされて直立する白菜のイメージも浮かぶ。彼らは知り合いの…

妥協する宗教

クリスマスにはケーキを食べて、キリスト教。大晦日(おおみそか)には寺の除夜の鐘聴いて、仏教。新年には神社へ新年には神社へ初詣(はつもうで)して、神道(しんとう)。ことほど左様に日本人、宗教に関して無節操。と申しますか、大変なやり繰り上手。…