Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

変な話

水の力

屋外でなにかを集めていたのだ。小石とか木片みたいな小物を。そして、それらを誰かに差し出す。すると、野球のボールが一個こぼれ落ちた。それは傾いた地面を転がり、石段で弾む。それから道端の小川の手前で止まった。小川は近くの住宅の玄関から始まって…

ルールの犬

そこそこ高い建物の上から見下ろしている。この建物の住人であろう人々と一頭の犬の姿がある。ある制定されたばかりのルールによってこの犬を殺さなければならなくなったようだ。むごい話である。それがわかっているのか、犬の表情も悲しそうだ。無慈悲な殺…

ヘビの開き

なんとなくホテルの一室。思い出せない何かを探していた。水に濡れたクモの寄せ集めみたいな塊がある。黒い脚みたいなのがもぞもぞ動く。それをよく見ようと近づく。頭から頬にかけて硬いものに触れた。ヘビの開きとでも呼べそうな黒い干物。どうも変なのば…

粘土の模型

粘土でこしらえた共同住宅の模型がある。これを囲んで住人たちが相談している。「これはまずいですよね」地下部分に水で浸食された空洞がある。その部分を住人の代表者が秘かに修正し政府の届け出機関に虚偽報告をしたらしい。それを容認するべきか弾劾する…

三匹のヘビ

最初は会社オフィスにいたような気がする。それから箱を抱えて帰宅したのだ。箱の中には黒くて細長い三匹のヘビ。テーブルから腕を伝って肩や頭の上を這う。小さいこともあり、動きがコミカルでかわいらしい。しかし我ながら、どういうつもりかと思う。これ…

ペッパー水球

市営プールで仲間と遊んでいる。誰かが合成紙で三角柱のボールを作り それで水球の真似事みたいなことを始めた。ボールは水面に落ちた直後に微妙な動きをする。まるで生き物のような面白い動きだ。「ペッパー! ペッパー!」嬉しくなって、そんな歓声をあげ…

半分の自転車

自転車を半分に分解した。サドルのある半分を地面に立てて乗る。残りの半分には友人が乗った。どこにも行かない。というか、どこにも行けない。僕たちは顔を見合わす。どちらもなにも言わない。 Half BicycleI disassembled the bicycle in half.I ride with…

あそこの工場

ある特殊な文化団体の会長から誘われた。あそこの工場で一緒に働こう、と。断る理由はない。颯爽と向かう。工場は2か所あって、通常はA工場。今回はB工場とのこと。水曜と金曜はそういうことになっているそうだ。ところが、それは思い違いだったらしい。そん…

おかしな子

おかしな子だった。服装も顔も頭も、みんな。「もしも人間に天敵がいないとすれば」彼女は主張する。「人間の天敵は人間である」やはりおかしなことを考えている。「もしも人間に生きる権利があるなら」彼女は続ける。「人間には死ぬ義務もある」みんなから…

最新コピー機

デザイン事務所で働いている。納期が迫っているのか、あわただしい。大掛かりな最新コピー機を使う上司の男。「縦横比が4対5の割合で拡大するとしたら この円は楕円になっちゃうのかな」そう問われたので返事する。「図形はそのままで隙間が拡がるだけでし…

一億円扇子

遺産相続の件で知人一家がもめている。「扇子(せんす)が一本一億円」などと奥さんが嘆(なげ)く。差し障りあるので深くはかかわらない方針だが 一般論として気にかかる。過去の遺産が現在および将来に活かされないとすれば旧来の血縁関係なども抜本的に改…

潜水艦「桜」

我々は工作員。敵の潜水艦を爆破せんとしている。あと少しというところで敵兵に見つかってしまった。ここで重要なのが、命がけであるということ。手段や作戦うんぬんではない。地面を掘って潜水艦を埋め、桜の木を植える。こうすりゃ、そのうち花が咲くかも…

虜囚

おれは捕虜。ここは敵国の収容所内にある研究室。複雑な構造の装置を作っている。これを完成させた国が戦争に勝てそう。なのにおれは嬉々として敵国の開発にいそしむ。ある部品に別のある部品を組み込む。たとえるなら、肺に気管枝を突っ込む感じ。その原理…

特殊任務

我々3人は特殊任務をおびて現地に降り立った。空港の敷地内で風土病の予防措置をとる。顔面に白いクリームを塗るのである。リーダーの顔に指で塗って透明になるまで伸ばす。リーダーもおれの顔に同じ処置をする。もう一人は女だったような気がする。慣れて…

コンバットごっこ

夜、工事中の道路を歩いていた。広い車道を渡りたいが、機材や道具が邪魔をする。さながら戦場のようでもある。その時、どこか遠くで爆発音がした。「チェックメイトキング2、チェックメイトキング2、 こちらホワイトルーク、どうぞ」ひとり、コンバットご…

出入り業者

どこぞの会社事務所にお邪魔している。まずドアを開けて向こう側に出る。それから近くの別のドアを通って元の部屋へ戻る。そこの壁にある設備を使わせてもらうつもり。ただし、そのためには一旦外に出なければならない。それでドアを開けて向こう側に出た。…

宮殿の少年

ここは王様のいる宮殿という噂だ。なのに、どこにも王様はいない。おれは裸で寝室に入る。ベッドに寝ていた裸の少年を起こしてからかう。彼は坊主頭で、全身の筋肉が漫画のように動く。他に選択肢のない運命と諦めているようだ。おれにも他に思い浮かぶ選択…

パンのシュート

石炭ストーブのある教室にいる。パンをボールに見立て、バスケットボールのシュートをしよう、と同級生たちに提案する。他に名乗り出る者がいないのでおれがパンのシュートを試みることになる。ところが、いざシュートしようとすると異国の留学生らがストー…

抗争

おれたちはギャングどもと派閥争いしていた。やつらは暴力で、おれたちは説得で。やつらは不意打ちのように棒で頭を叩きやがる。株や債券などを安く仕入れる情報を奪うつもりのようだ。命を取られる危険性もあるわけだがあいつらに従うくらいなら死んだ方が…

不安の接近

舗装道路が迷路のように入り組んでいる。私はタイヤが横にたくさん並んだローラーみたいな物をリヤカーのようにハンドルを持って引いている。開発工事の途中なのか、大型トラックの通過が目立つ。道路の幅がそれほど広くないので接触するのではないかと、ち…

断崖駐車

トラックを断崖の上、空中にはみ出るように駐車する。いつもはそれで問題なかった。ところが、今回は違和感を感じる。ためらっていると、工事監督が指示するのだった。「いつものようにここに停めてくれ」おれは首を横に振り、抵抗を試みる。「いつもならこ…

空中の球体

空中に並んで浮いた3個の球体がある。これらのうちの1個を手で押し下げると他の2個も連動するように一緒に位置を変える。そして、手を放せばすべて元の位置に戻る。この現象には現実における複雑な人間関係が遠隔操作で反映されているのだそうだ。あいか…

選挙事務所

国政選挙の真っ最中。ある大物政治家の選挙事務所にいる。「今この時期、舵を切り違えたら大変なことになる」選挙速報を聴きながら彼は言う。「一時的でいいから、まともな人が選ばれて欲しいよ」「そうですよね」「あいつなんかが選ばれたら最悪だ」「確か…

夜のライブ

TV番組の野外収録のようだ。人通りが多い夜の公園みたいな場所を歩いている。司会の男と女性アシスタントも一緒。散歩していた大物歌手と遭遇。「ここでライブをやりませんか?」と提案。歌手は快く引き受けてくれた。それで、街灯の下に場所を確保する。近…

餅の誘い

クルマから降りて、友人と一緒に歩き始める。いかにもな田舎の曲がりくねった道だ。友人が誰かと電話している。「いやいや、そんなことないって」なんだか僕をだまして僕を食べるような話だ。きっと聞きまちがいだろう。家と家の間の空間に窓があった。そこ…

工作活動

悪い奴らが町内で暴れているという。黒い霧または黒雲のイメージ。奴らの戦力は強いが、不意を突けば意外に脆弱(ぜいじゃく)なところもありそう。それで、おれは通学の途中でも工作活動に余念がない。小さな裁縫鋏でタコ糸を切ろうとしている。親指が穴に…

ボールなし野球

町内の道路にある設備を使ってボールを使わない野球みたいなゲームをしている。今は電信柱に手を触れてベースとし、さて、次のベースはどこにしようか、と考慮中。より効率的で戦略的な位置が求められるのだ。あたりを見まわす。すぐ近くに知り合いの女の子…

人生編集

おれは創造主の手伝いみたいなことをしている。ほとんどアルバイト気分。で、ある人物の人生編集を失敗してしまう。それでアナログ式に時間を戻して修復を試みる。戻り過ぎたり、まだ届かなかったり、時間をデジタル式に調整できないので苦労する。途中、猫…

食材を戻す

とある他人の家に侵入。食材を盗み、料理して食べようとしている。だが、途中で気が変わる。食材をもとの場所に戻し始める。雑巾を絞るようにして出汁を集めたりもした。すべて戻したところで、現れた家人に謝る。「申しわけありません。許してください」「…

宇宙問答

先輩らしき男との対話。「あなた宇宙か?」と彼が問うので「宇宙ではない。人だ」と答える。「では、私は宇宙か?」「違う。あなたも人だ」「だが、我々は宇宙の一部ではないか?」「そうだとしても、それは言葉の運用に過ぎない」みたいな、どうでもいいよ…