Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

初老の男

伝説的な初老の男と会った。一線を退いたが、第二の人生を歩んでいる。我々はベンチに座って話し込む。懐かしい人、懐かしい場面を思い出す。観光地なのか、人通りが多い。やがて、男は立ち上がり、歩み去ろうとする。「それじゃ、また」荷物が少なく、身軽…

一行名言集 第四集

アイデアは アイデアの上に乗っている 安心は不自然 不安こそ自然 私は あなたを理解する必要を感じない 不況時は 儲けよりも なにより存続 甘い汗をかく人 長生きできぬ いきがる凡夫を へこますは痛快 なりたいになれず なるべきにならず なるようになる …

錠剤シュート

私は製薬会社の社員。なぜかサッカー場にいる。商品である薬剤のパッケージを次々と破り こぼれ落ちた錠剤を指ではじいてシュートする。敵側のゴールへ次々と。上司や重役たちに説明する。「こうして実弾を使うことに意味あるのです」営業なのか、マーケティ…

着替える女

体育館へ続く通路。球技大会が行われている気配。同級生だった女が着替えていた。更衣室が使えないのだろう。話しかけようとして話しかけられない。記憶の印象より大人だったので。Woman Changing ClothesA passage leading to the gymnasium.A sign that a …

見せろ

宿舎に入り、そのままトイレに入る。ズボンを下ろしたところで邪魔が入った。もともと共同トイレにドアはない。同級生や同僚だった男どもが3人寄ってきた。「早く出せよ」「おれたちに見せろ」「このまま追い出しちゃうぞ」(放尿したまま追い散らしてやろ…

左折するバス

バスの中に運転手の男がいる。そのバスからひとりの男が降りた。ふたりの男は交差点において牽制し合う。バスは左折するつもりらしい。それを路肩に立つ女が注視する。勝負のゆくえを見守るかのように。左折するバスの軌道に意味があるようだ。意味は不明な…

今やれ

休むな。疲れてもいなくせに。今やれ。今すぐやれ。今できることを 今やるんだ。明日を当てにするな。昨日に頼るな。今日中ではないぞ。今日の今。今やるんだ。結局のところ 我々は今できることしかできんのだ。Do It NowDon't rest.Even though you're not …

クレーマー

クレーマーがクレームする。あなたはそれを不当に感じる。クレーマーのクレームに対し あなたはクレームする。それをクレーマーが不当に感じる。クレーマーが再びクレームする。あなたはそれを再び不当に感じる。あなたは再びクレームする。あなたがたはこれ…

探偵の試験

探偵の筆記試験を受けている。しかも、身代わり受験だ。途中、騒動が勃発。設問の不備を指摘した受験生がいたのだ。彼を中心として論争が始まった。「アリバイの証拠を隠滅するは合法か?」もはや試験どころではない。Detective ExamI'm taking a detective …

雪玉の父

冬の雪国の景色。二階の窓辺から外を眺めている。今年は豪雪のようだ。屋根に雪が積もり、視界が狭い。今日中にでも雪下ろしをせねばな。家の前、人々が出入りする。もうすぐ披露宴でも始まりそうだ。なぜか、花嫁の父の気分、小屋根に積もった雪をつかむ。…

塀伝い

勝手知ったる隣の敷地。門の像に飛び乗り、塀伝いに侵入する。隣家の中から女の子たちの声。幼い姉妹の娘さんたちに違いない。「あら、あれ、どこいったのかしら?」「知らない。たぶん大丈夫だと思うけど」そのまま家屋の中にまで侵入してしまった。見つか…

ノーベル賞

実家の前に肌色の外国車が停まっていた。兄と顔を見合わせ、いぶかしむ。本日、ノーベル賞の発表があったそうだ。ノミネートされていたとは知らなかった。管理組合の役員の男による報告。「残念ながら、受賞とはなりませんでした」兄弟による過去の研究が評…

期待と行動

二日制イベントの第一日目において 彼女は比較的荒々しい行動を期待されている。ところが、おとなしく消極的な性格なので 毎回残念な結果に終わる。そもそも人の行動はそんなに変わらない。人々の期待がそんなに変わらないように。Expectations and ActionsO…

災害の接近

屋外で誰かと話をしていた。見上げれば、ありふれた曇り空。やがて、地平線近くの空の異変に気づく。灰色の雲の下に黒い筋が幾本も見えた。竜巻に似ていた。滝のように降り注ぐスコールの群か。さらに広範囲な火炎も見えた。落雷による山火事か。とんでもな…

使命の浜辺

兵器を届けるため、浜辺に下りる。ほとんど裸に近い姿の私。ここでガラスの破片を拾う。ついでながら危険物として処分するため。じつは私には別に使命がある。ただし、それを話すわけにはいかない。それが軍事機密だからではない。単に恥ずかしいからだ。The…

見えないまま

見えないなら見えないままにしておこう。無理することはない。見えるところだけ見ればよい。見えないところは考える。考えてもわからなかったりする。わからないことは尋ねてみよか。尋ねてみてもわからなかったりする。そういうこともあるだろさ。わからな…

ある夢の記録

ある特徴ある漫画家の漫画を読んで寝たら その特徴ある漫画家の漫画らしい夢を見た。なお、彼は下描きに定規を使うとしても本番で定規を使って線を引くことはない。ある惑星における末期的な未来像。ある営業マン、利益が出るか出ないかのあやしくも危険な商…

犯罪の焼き鳥

ある女が逮捕された。天然記念物の鳥を捕まえ、焼いて食べたそうだ。社長でもあり、脱税もしていたらしい。マスコミが騒ぎ始めた。元社員が過去の不正をスキャンダラスに告白。支配者一族、崩壊の危機。でも、まあ、とりあえず、塩で。 「note」yayaさんとイ…

識別番号

この地区の共用物には識別番号が振ってある。「7742096」とかそんなのだ。屋外に4連のトイレットペーパーホルダーがあった。おれはこれを足蹴にしていた。良かれと思ってそうしていた。ゆがんだ形を整えていたつもりだったか。けりが付いたところで立ち去ろ…

根本を問え

善悪の判断基準は何か?その正当性を立証できるか?また、判断者の立場はどこか?その判断の有効範囲はどこまでか?ちょっと待て。そもそも、善悪とは何か?判断とは何事か?そういう根本問題から問わねばなるまい。土台をうやむやにしたまま議論しても始ま…

開かれている

伝えたくないことが伝わってしまう。知られたくないことが知られてしまう。開かれているとは つまりそういうことだ。 「Spoon」しんさんが演じてくださった! OpenYou can tell what you don't want to tell.You know what you don't want to know.That's wh…

盗み読み

娘が書付を燃やした。これで証拠は残らない。だが、父親が盗み読みしなかったか。書画骨董の類である。見過ごすはずがない。不安と焦燥。肉親に対する不信感が募る。 EavesdroppingThe girl burned the note.This leaves no evidence.But did her father not…

車内丼

駅構内の立ち食いで食事を終えたところ。電車が到着していたことに気づく。すぐ乗り込まねば。だが、手に丼(どんぶり)を持っている。これを所定の位置に返却せねば。しかし、時間がない。丼を手に持ったまま乗り込み 下車する駅の立ち食いに返却できないも…

峠のゾウ

剣道部の道場の壁にパネルがある。それを経理の男が操作する。パソコンの立ち上がりみたいな反応。表示された数字、目まぐるしく変化する。場面が変わり、夕闇迫る山の峠。一頭のゾウが登場する。たき火の炎がゾウの腹を焼く。ゾウは鼻でスコップを持ち、腹…

介護請求

社内旅行、ホテルにて宴会。ゴミ箱の中で着替える新入社員。おれは女たちが見守る前で大便する。さすがに恥ずかしくなってきた。唐突な翌朝。 定刻となり、ホテルを出ようとする。ところが、重役や先輩たちはまだ寝てる。「ほら。まだ寝ているのが正解だった…

生え際

幼い。性別も定かでない。誰かの毛の生え際を見ている。見つめている。視界は狭い。その場所も定かでない。ともかく色と質感を確認。これがはっきりしないことには始まらない。謎の解明に必要だ。それをきちんと説明する。子どもら、感心することしきり。 Ha…

後ろの人

いつもは前の人が前にいるのに 今回ばかりは、後ろの人が前に出てきた。「AIのように最善手ばかり示す者です」自己紹介にもそつがない。「呼び鈴押しても応答なかったので こんなとこから出ました。よろしくです」なかなか手強い。飼い猫は見切ったように前…

三つの恋愛

学校でなにやら催し物があった。いつになく生徒たちが交流している。ある男子と女子との間で恋愛が芽生えた。傍観者である私は気づく。ある三つの言葉の組み合わせと今日起こった三つの出来事が重なる、と。まるで作られたような偶然。喜ぶはずだから、二人…

黒いクモ

学校の教室。数匹の黒いクモが天井からぶら下がっている。糸は紙テープなので、明らかな作り物。文化祭の展示物であろうか。何気なく触れたら、ひとつ床に落ちた。すると、近くにいた男子が嘆く。「なにやってんだよ」私は謝る。「ごめん」だが、ここは私の…

漫画業界

丁寧に描かれた漫画原稿を眺める。さらに手を加えられないほど完成度が高い。しかしながら、批判を受ける。「できあがっているのでつまらない」反発するも、共感する部分はある。活性化しないということか。確かに、業界全体として飽和した気配。好んで重箱…