Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

認められない存在

典型的なミステリーの体裁で、環境問題を絡めた教育的な小説のシリーズがある。本当は実在しないのかもしれないが 少なくとも読んだ記憶はある。正直なところ、あまり面白くない。だが、小学校の教員である作者の熱意は感じる。面白くないのに存在を認められ…

おもちゃの戦車

舗装道路にしゃがむ。おもちゃの戦車をつかみ、地面に置く。すると、戦車に引かれておれの体が移動する。おもちゃでも戦車となると大したものだ。街には雨が降っていた。手を使ってないのになぜか傘を差していた。途中、わき道にそれる。帰宅するまでに乾電…

たむろする

友人の部屋でたむろしている。若い野郎ばかりだ。「おれ、普通科の人と話すの、初めてなんだ」「なんだそれ?」「おれのまわり、専門高校ばっかりだったんでね」「うそだろ。信じられねえな」やがて趣味の話になる。「おれは数学について語りたい」「らしく…

四隅の米

ごたつの大きなテーブルの上に皿を並べる。場所を変えての、食事会のようだ。春近いのか日差し明るく、実家の二階の広間は暖かい。亡くなったはずの親父の姿もある。テーブルの四隅に直接、米粒のようなものを撒くように、親族の誰かが置いている。皿数が足…

刻み海苔

店の女将(おかみ)に何事か説明していた。変なことがあったんだよね、みたいな。それはともかく、ある男と会食する予定だった。なのに、なぜか刻み海苔を頬張っている。とにかくこいつを片づけなければ、などと思いながら。発言内容の証拠隠滅だろうか。隣…

彼女の悪戯

ある声楽家に作曲を依頼してあったのだ。それができあがったという。カセットテープのようだ。早速、ラジカセで聴いてみる。本格的なオペラ風の歌になっていた。これを舞台にのせたら感動ものだろう。すぐ隣の女友だちと顔を見合わせ興奮する。そこに体育教…

ビル管理人

風圧でビルの根もとを押しつける装置がある。ブルトーザーの前部にあるブレードみたいなもの。ただし、調整がおかしい。そのため、風でビルが大いに揺れる。管理人に掛け合い、調整してもらおう。で、管理人がいると思われる浴室に入った。どちらも裸の男と…

文字アレルギー

僕の頭が文字を受けつけなくなった。文字を読みたくないのだ。ただし、文字を吐き出すことはできる。たとえば、こんなふうにね。 Character AllergyMy head stopped accepting letters.I don't want to read the letters.However, it is possible to spit ou…

テストドライバー

走る乗用車の後部座席にいる。友人が運転。助手席も友人。二人は興奮気味に運転テクを語っている。「そこでペタル離してハンドルを」とかなんとか。その直後の左折時、激しい横Gを感じた。なるほど、効果絶大だな。おれはチェックボードに記入する。免許証も…

沈黙の会議

着席した3人がテーブルを囲んでいる。私、成型加工会社の社長、知り合いの女。打ち合わせをしてる感じはない。しばらく黙って向き合っているだけ。私はテーブルにあった物体を手に取る。プラスチック製の折りたたみヘッドフォンか。これを参考にしての商品…

家の似顔絵

新幹線の中、長距離移動中だった。さらさらと絵を描く。伝説の人物に描いた絵を見せる。その人の名字を家として書き、かつその人の似顔絵にも見える、というもの。本人に喜んでいただけたようで嬉しい。 House CaricatureI was traveling a long distance on…

気になること

歩道橋を渡りながら兄と会話している。「このあたりも変わったね」「あの道路なんか大きく曲がっちゃたよ」なにか気になることあって立ち止まる。兄は先に進む。駅前デッキの上にいるような景観。大勢の人が歩いている。空は青くなくて白っぽい。どこへ行こ…

花壇を移す

小学校の校庭にいる。生徒ではなく、どちらかと言えば教師。花壇の一部を別の場所に移す実習が行われている。景観が悪くなったような気はするものの移す作業に学習効果を期待しているようだ。校舎から現れた校長が問う。「どうだ?」「あまりきれいになった…

女医の注意

注文してあったらしい薬品が届いた。あるいは道具だったかもしれない。とにかく意外なものだ。なんでこんなものが、と呆れる。とりあえず編(あ)み籠(かご)の中に入れておく。すると、通りがかった女医が注意する。「あなた、それは緊急を要する物よ」「…

経理の手続き

色鉛筆などを総務より受け取る。自費で買わなくて済むのはありがたい。ただし、書類を提出せねばならんようだ。それで経理の男に問い合わせてみた。すると、彼は巻き尺を取り出す。おれの腰まわりの寸法を測る必要があると言う。寝具なども一緒に注文したか…

音の波形

数学や物理学の講義をする教育系YouTuberがなぜか楽団でティンパニーを叩いている。頭が良い人は何をやっても上手いものだな。しばし感心しながら鑑賞する。高感度マイクなのだろう。ほとんど聴こえないのに微妙な振動まで伝わる。音の波形を微積分している…

ママの味

食べ物には霊が憑(つ)くのだそうだ。「個別の思い出」と呼んでも構わない。テーブルの上にいくつか総菜があった。「これ、持ってくよ」姉のような印象の女が言う。「あっ。それはダメ。これにして」「どうしてさ」「それはママの味がするからよ」意味わか…

工場の記憶

工場の端っこは暗い。なので照明の電源を入れる。続いて断裁機の電源も入れる。これから作業を始めようとしている。いままで休憩していたようだ。他の部署は忙しそうに活動しているのに。鉄カゴに投げ込む紙ゴミの種類について上司から注意のような指示を受…

自転車で配達

自転車に乗って新聞配達をしていた。自転車は知人女性から借りた気がする。乗ったままでは配れない家があり、途中で自転車を乗り捨てる。そのままにしてもおけないので定期的に引き取りに行かなければならない。「いつ返してくれるの?」「そんなのそっちの…

ひねった壺

大きな陶磁器の置物が部屋にある。ソフトクリームみたいにひねった壺という感じ。普段は食器として使われているそうだがじつは便器ではないかという疑惑が浮上した。その証拠のように、入り組んだ形状の表面に食材か糞尿か区別できない物が付着している。真…

トランプ実験

遅刻して教室に入る。どうやら理科実験の最中のようだ。挨拶してくれる同級生もいるにはいるがほとんど全員の意識は実験に向かっているようだ。居心地悪く、そのまま教室を通り抜ける。さらにそのまま友人ら数人と下校中。数枚のトランプを手に持ち、残りの…

殺し屋対策

知人が殺し屋に狙われているそうだ。返り討ちにするつもりなのか会社の同僚と真剣で対戦練習などしている。その上、油断させての毒殺も考慮してるらしい。それらしき物を通販で取り寄せ手配したと言う。おれはテーブル席でうどんをすすりながらそんな彼の用…

ワンマンコンサート

友人がワンマンコンサートを開催した。会場は広く、観客も多い。熱狂的なファンもいるようだ。ギターかき鳴らし、オリジナル曲を熱唱する。いわゆるメッセージソング。説教好きな彼らしい。似た毛色の曲が多いようだ。もっとバリエーション拡げればいいのに…

諦観の念

諦めよう。理想は達成できない。ガウス分布をごらんなさい。いわゆる誤差の正規分布。ある割合で落ちこぼれは出る。ある割合でダメな人がいるのだ。完全に消し去ることはできない。最善を尽くしても無理なのだ。そういうものなのだからそういうものだと諦め…

電気に頼るな

電力会社を相続した若き経営者。世界的な資源不足により電力供給ままならぬ。経営方針の根本的な改革を迫られた。供給体制を大きく2パターンに分け、状況により交互に入れ替える方式を選択。他に代案がなかったからではあるが結果的にこれが最善の方法だっ…

筋肉の群

最初は野球の試合だった。二塁ベースあたりからホーム方面を眺めている。期待の大型新人選手がバッターボックスに立つ。しかし、ふと思い出す。野球をやった経験がないと彼は言っていたな。そのせいか、途中で野球の試合は中止。そのまま短距離走の選考会に…

水をこぼす

廊下の端っこで粗相(そそう)してしまった。持っていたコップの水を床にこぼしてしまったのだ。玄関に誰かいる。逆光でよく見えない。「どうしたの?」声で母と知れた。「なんでもないよ」あわてて濡れた床を手で擦る。ごまかせない気がする。ひどく恥ずか…

食事を奢る

最寄り駅へ向かって歩いていた。唐突に見知らぬ若い女が話しかけてきた。「あの、食事を奢っていただけませんでしょうか」返事も返せないでいると、さらに畳みかけてきた。「あたし、体で払ってもいいんです」ごく普通のお嬢さん、といった印象。我が国の貧…

内なる声

あなたが野菜を食べている間にその虫は野菜の栄養を吸収してしまうのだった。それを防ぐためにあなたは何か行動をとらねばならない。具体的な行動を思い出せないのならとりあえず当てもなく外出してみるがいい。内なる声に従い、しばし野山をさまよう。あな…

雪面に前転

高速バスで雪国に到着。友だちがたくさん同乗していた。ぞろぞろと雪原に降り立つ。道路という感じはない。なにかいたずらしたい気分。ただし、雪合戦をするほど子どもでもない。女たちが俺に罠を仕掛けんとする気配。その前に俺は颯爽と雪面に飛び込み前転…