Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧

家の内外

友人宅を訪問。案内されて奥へ。折れ曲がった廊下を進む。階段を上り、いくつか部屋を通り抜けようやく辿り着いた友人の部屋。なぜか彼の父親がいる。息子と一緒に勉強中らしい。ふと用事を思い出した。一階へ下りなければいけない。「それなら、ここから下…

日焼け

暑い夏。裸で山を歩いた。さらに裸で海を泳いだ。日に焼けた。皮膚が焦げた。赤く茶色く、黒くなった。すっかり日焼けした。やがて皮がむけた。ボロボロボロボロ。ほとんど脱皮。はがれた皮、拾って集め握って丸めてボールにした。さて、これをどうしよう。…

ミッション

他校の文化祭らしきイベントに侵入。または、いくつかの部活動の合同合宿かも。一般参参加者を装い、特殊任務を追行せんとする。お宝と呼べるような謎の貴重品を見つけ出しそれをあわよくば持ち帰るつもり。そのためには暗号の解読と鍵が必要らしい。はっき…

法事の席

大広間に親類縁者が集まっている。みんな、黒い礼服を着ている。どうやら法事のようだ。すると、ここはお寺か。旅館の宴会場かと思っていた。ひとりの従兄がいる。彼は迷子になっていたそうだ。「遠くまで歩いたのに、会場に戻っていた」特徴ある笑い声。確…

お待ちください

ひとり、お留守番。みんな、出かけてしまった。電話が入るかもしれない。誰か訪れるかもしれない。突然、ベルとチャイム。電話と訪問者が同時だった。「すみません。ちょっとお待ちください」玄関ドアに声をかけ、受話器を取る。「もしもし」切れていた。玄…

よんひゃく

先ほどから変な男が騒いでいる。馬鹿っぽい漫画のキャラクターみたいだ。「よんひゃくだぜ、よんひゃく。まいったよな」普通に考えれば「よんひゃく」は「四百」だ。しかし、それでなぜ彼が騒くのか。400で驚くことってなんだろう。ゲームの得点?人工知能の…

彼のポスター

その男は偉かった。英雄と呼んでもいい。そんな彼がポスターを作った。誰かの似顔絵とコメントひとつ。全部で3種類ほどある。どういうつもりか。貼られたポスター、剥がしてはならぬ。たとえ似顔絵、つまらぬとしても。たとえコメント、意味不明としても。H…

スーパーの雑巾

スーパーに入った。当然ながら買い物をするつもり。特売は洗剤と雑巾のセット。洗剤はともかく、乳白色の雑巾は欲しい。いや、欲しくもない。妙に気になるだけ。この雑巾について店員に尋ねてみる。当たり障りのない返答。どうも近所のスーパーではない。若…

人格あるクルマ

このクルマには人格がある。人工知能搭載車ではないかと思われる。なにを隠そう、このおれだ。しかも、車両正面の鼻先に放水口がある。この穴から水が出るのだ。ただし、消防車などではない。自分と同じタイプの車両同士で向き合いキスするみたいに合体して…

米菓工場

工場の敷地内を恋人と一緒に巡回している。徒歩ではなく、バイクかクルマ、または単純な箱みたいな形状の乗り物に乗って。ところが途中、その乗り物が紛失した。乗っている最中に気づいたら消えていた。まるで最初から乗っていなかったかのように。このまま…

デートの日

恋人でもない知人の女とデート中。なぜなら、今日は「デートの日」だから。とにかく誰かとデートせにゃならぬ。それで彼女と街を歩いてる。小学生の時、教室の席替えすることがあって隣の席になる異性は誰を希望するかみたいなアンケートがあった。一番好き…

不安な友人

仕事を頼まれた。元々は友人の仕事だった。彼が出社しないため、納品が遅れそう。友人宅へ電話する。寝ぼけた声。眠ってたらしい。ようやく出社したものの、彼の体調は最悪。まともに歩けず、目は淀み、酒臭い。「大丈夫か?」「ううう」言葉を発することさ…

四角いジャングル

相手が弱そう、または強そうなので対戦を躊躇(ちゅうちょ)していたが、状況が変わった。おれ程度でも遜色ないどころか、申し分ないようだ。早速、颯爽と参戦して対戦して退治してやる。そそくさとリングに上がる。裸足の裏にマット表面のザラつきを感じる…

描く動機

油絵である。小さな棒、小さな弧、小さな丸などで構成された抽象画を描いている。棒は鼻であったり口であったりする。閉じた目かもしれない。弧は口であったり眉毛であったり丸は目であったり口であったりする。ただし、それらは明らかではない。さり気なく…

勝利の屹立

ある集団競技における選手控室の趣(おもむき)。先ほどまでの対戦結果により2チームの境遇に大差がついたようだ。かたや勝利チームの選手たちは一定の角度に屹立(きつりつ)させた生殖器を露出してまでチームワークによる強さと自信と喜びを表現している…

カフェインの船旅

船旅に出た。日報には出航の時刻が書かれてある。小説じみた小見出しまである。この小見出しが別の記録では少々短くなっている。その省略具合に隠された意味があるそうな。過去に関わった犯罪のアリバイか。それとも、極秘プロジェクトの暗号か。マンション…

学生が馬主

コンビニでバイトしてる学生。貧乏なのに、じつは馬主。騎手を雇い、密かにG1優勝を狙う。そのために資金調達をせねば。今、コンビニのオーナーと交渉中。「物は試しと言うじゃありませんか。警察学校で泥棒大会がある時代ですよ」そうかそうか。意味わから…

欠けた茶碗

口の中で舌を動かしていた。歯間に食べかすでも挟まっていたのだろう。しばらくして、違和感。どうやら歯が欠けたらしい。舌で押し出し、指でつまむ。詰め物がはずれたのだ。かなり大きい。茶碗の縁が欠けたような弧を描いている。表面の青い部分と割れた白…

処世術

問題を抱えるな。できるだけ身軽にしておけ。やるべきこと、やり切れぬほどあり。課題は日々刻々と生まれ続ける。溜まれば結局、優先順位。到底、細部まで面倒見切れぬ。できるだけ現場にて処理せよ。なすは不安、なさぬも不安。とりあえず、できることをや…

電話あり

兄から電話あり。父方の従姉の旦那が亡くなった、とのこと。香典と悔やみの言葉を現金書留にて送る。どこぞのプロバイダーより電話あり。いわゆる光コラボ関連の勧誘。巧みな話術と戦術にまんまと騙され十分な判断をする暇なく流されるように工事日まで決め…

コンベックス

私は滑るように走る。ローラースケートでも履いているのだろう。そして、なぜか必死に逃げている。手にスチール巻尺のような武器を持って。逃げる途中、身体能力の高そうな男たちが隙あらばと襲い掛かってくる。私はスチール巻尺を伸縮させて応戦する。軟弱…

親族会議

父と伯父との間でトラブルが発生したようだ。遺産相続問題とか、とにかくその類だろう。それで急遽、伯父の家で親族会議を開くことになった。私も出席せねばなるまい。ひとり到着し、玄関から中に入る。伯父の家は実家より幾分広いようだ。居間にいた伯父に…

偏土器ケーキ

営業車に乗っている。得意先まわりの途中のようだ。同乗の営業社員との会話。「モンブランという言葉、使えなくなるそうですよ」「えっ? 本当かい?」「らしいですよ。ヘンドキと呼ばないといけないって」「なんだ、そりゃ?」「なんなんでしょうね」「偏土…

ディスクゴルフ

ふたりの女がいる。ある特殊な分野において知る人ぞ知る、知らない人は知らない。そんな類のマニアックな有名人である。今回、彼女たちはゴルフ場にいて2種類の円盤を投げる競技に参加している。鳥の巣を潰したような円盤とコルク製の鍋敷きみたいな円盤。…

漫画の延長

敬愛する漫画家の二次創作みたいな話。だから記録する価値もなさそうである。だが、それはそれ、これはこれ。とりあえず判断を保留する形でメモを残す。集団でどこかへ逃げる途中である。恐ろしいものに追われている。突如、空中より巨大な手が現れた。その…

みたいな

多重構造のシャボン玉みたいな透明なガラスを熱で熔かして細工するみたいなチューブの中にチューブを入るみたいなまたは チューブの外をチューブで覆うみたいなビーカーを引き伸ばした複雑な管楽器みたいな たとえば チューバみたいなあるいは 入れ子細工の…

立場ない

あなたがそうするのはそうすべき立場にあるから。そう演じるよう期待された役割。または、分担された暗黙の任務。たとえばワールドカップにおいてその国民ゆえに自国チームを応援するみたいな。不始末の言い訳、然り。お悔やみの言葉、然り。被災地への援助…

胎内くぐり

闇の中をひとり、手探りしながら歩いている。建物の床下、半分ほど地下みたいなところ。なにやら胎内くぐりのようだ。それにしても、なんだか疲れたみたい。床の上に横になり、少し休もう。すると、突然の轟音。顔のすぐ近く、重い金属の塊が落ちた気配。そ…

ゴミ置き場の中

マンション前、歩道に接するようにゴミ置き場がある。人の出入り口とゴミの取り出し口がある小屋タイプ。そのゴミ置き場の中でトラブル発生。取っ組み合いの喧嘩でも始まった感じなのだ。「どうしたんですか?」声をかけると、中から初老の男がひとり出てき…

寝ぼけた効能

寝ながら考えることの効能について寝ながら考えている。結論は出ないものの、少なくとも寝ながら考えることの訓練にはなろう。少なからず成果もある。浮かんだイメージが蓄積される。ただし、イメージは蒸発しやすい。小まめにメモしなければ内容が残らない…