Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

お天気雨

雲ひとつないのに どうして雨が降るんだろ 雨傘 差しているのは 私だけ 恋人みたいなのに どうして他人なんだろ 雨傘 破れているのは 私だけ 笑っているのに どうして泣くんだろ 雨傘 捨てられないのは 私だけ 元「koebu」makotoさんが演じてくださった!元…

むかつくカラオケ

ここは薄暗い部屋。カラオケ店の狭い個室のようだ。その証拠のように小さな表示画面が輝いている。酔っているのか、床に敷かれた絨毯の上に 知り合いの誰かと一緒にしゃがんでいる。会話していたような気もする。ただし、話の内容は思い出せない。出入り口の…

怪僧ラスプーチン

相棒と組んで泥棒して、しくじって捕まって 刑務所に入れられそうなところを脱走したんだ。その時に小判型に打ち抜いた紙の束を持ち逃げした。これがシベリアあたりで偽札になるんだそうだ。相棒と一緒に期待に胸を膨らませていたものよ。そしたら、変な男が…

潤滑油

物体間の接触面では必ず摩擦が起こる。摩擦は物が削れたり壊れたりする原因となる。物と物とが接近せねばならない状況において 望まぬ接触を極力避けんとするが潤滑油の役目である。液体として分子量の大きな油は粘性が高く、皮膜が丈夫。このため多くの機械…

中毒です

そうしないと苦しくなるのは 中毒です。そうしないと我慢できないのも 立派な中毒です。たとえば 分不相応な贅沢ぜいたく。 たとえば 進歩のないゲーム。 たとえば くだらん見栄っぱり。やって問題ないならともかく やるほど悪くなるなら やめましょう。そり…

図形の侵入

アメ玉を連想させる名前のガールフレンドと ネット上でコメントのやり取りをしていたのだ。なぜなら、会話にしてはリアリティがなかった。単純化された仮想現実みたいな印象。そこにおいて、あるスペースに入れるかどうか という問題が提示された。彼女はた…

暇つぶし

お昼の生放送バラエティ番組を観ている。いつもはサングラスしてる大物芸人も裸眼をさらし なにやら騒々しい寸劇を演じている。(ははあ。あの人はこんな顔だったのか)話の筋はさっぱりわからない。(一所懸命やってると、普通の芸人みたいだな)余計なこと…

帰れる

第一工場で仕事を終えた。さて帰ろう。廊下伝いに第二工場を通る。こちら、まだ残業を続けている。ファイルに印刷物を入れるみたいな作業を なぜか床にしゃがんだ姿勢でやっている。気になる人妻であるパートさんの姿も見える。他のパートさんたちは先に帰っ…

八朗九郎

「ここがあなたの場所です」若い店員に案内されて入ったところは いわゆるネットカフェみたいな部屋だった。明らかに共同で使うスペースなのに 他に客がいないため、まるで個室のよう。立派な肘掛けイスがあり、その前に操作パネルと 大画面の液晶モニターが…

体育の授業

高校時代の体育教師が指導しているところを見ると これはおそらく体育の授業なのだろう。ただし、体感年齢は現在の自分に近い。いかにも高校のグラウンドらしき広い平地で キャッチボールみたいなことをしている。教師がやや方向違いに球を放り投げるので そ…

歌う自転車乗り

自転車に乗って町へと続く道を進んでいる。ただし、普通の自転車ではない。ペダルを回転させるのではなく 両足で同時に下へと踏むタイプなのだ。どういう機構なのか不明だが そこそこ新鮮であり、なかなか楽しい。しばらくすると、歌声が聞こえてきた。若い…

待機しない

いずれの頃か判然としない木造校舎の廊下を 誰とも申しがたい友人と一緒に歩いている。教師とおぼしき人物とすれ違い、目礼する。あるいは先輩であったかもしれない。給食の配膳係のような服装の生徒たちが 通路の要所要所にたたずんでいる。(ははあ、なる…

うさぎ歩き

亡くなって久しいはずの父が クルマで出かけようとしている。場面は自宅からではなく すでに街の交差点に差しかかっている。それを不思議とも思わず、横目に見ながら私は うさぎ跳びならぬうさぎ歩きをしている。交差点を渡り、向こう側の歩道であったところ…

引く糸

実家で眠り、夜明け前に目覚める。自分の荷物、リュックサックの中から白い糸がまっすぐ外へ出ている。寝てた部屋、仏壇のある和室の出入り口を抜け 寒く暗い廊下へと伸びている。その先は、半回転するらせん階段を下りて 見た記憶すらない部屋のタンスの中…

カーテンの小部屋

企画立案であったか実験であったか ともかく仕事をしていたのだ。事務所のような実験室のような 雑然とした印象のかなり大きな部屋で。そのうち深夜になったらしい。 ここで雑魚寝することになった。「さあ、あなたはここで寝なさい」同僚の女性に命令口調で…

酒飲み談義

すでに倒産したはずの会社の脳卒中で倒れたはずの元社長が登場する。申しわけないほど世話になった恩人である。生活と経営は乱れていたが ほとんど飲酒が原因で破綻したようなものだ。「今は新しい酒の飲み方をしているんだ」意外に元気そう。日本酒と焼酎と…

そんなもの

「この世にまたとないものを作りたいものだ」などと私なんか思っているのに この世にあり余るほどあるものをさらに増やそうとしている人たちが目につく。キャラやタイプやパターンやジャンルを真似たり はやりの話題に一喜一憂する人たち。既存の同じものば…

合理的な演奏

いわく言いがたい話の展開により 電子ピアノを即興で演奏することになった。白黒一列に並んだ鍵盤ではない。パソコンのキーボードみたいな感じ。たとえば矢印「↑(うえ)」のキーを押すと 段階的に高音となる演奏をしてくれる。慣れないまま適当にキーを叩い…

曲がる水柱

なにやら野球場で発表会。全世界へ向けてテレビ放映されている。つまびらかでないままカメラがズームイン。栄えある優勝チームを選出するイベントらしい。司会進行役の男が大きなグラスに水を注ぐ。すると化学反応であるか、勢いよく噴水が始まる。きれいな…

ドドド校歌

歌唱力あると評判の若い歌手が 教室の黒板に記(しる)された歌詞を歌っている。日本語なのだが、やたら「Do(ディーオー)」の文字が出てくる。英語の「ドゥ」ではなく「ド」と読むらしい。文字はチョークで手書きされたものではない。まるで活字の写植でも…

定例の儀式

真実は見えないものだ。厳(おごそ)かな雰囲気をまといつつ これから定例の儀式が始まろうとしている。もともと出席するつもりはなかった。だが私は、あの人のために考えを改めたのだ。あの人のためなら、侮辱も非難も耐えられる。広い会場の正面にある壇上…

クレーン車の反省

この物語の主人公はクレーン車。いわゆる重機、はたらくくるまのお話である。昔、そいつはケンカばかりしていた。やたら腕っぷしが強いのだからしかたない。ある日、ケンカで電信柱をなぎ倒したら 重機の神様とも呼べる巨大トラックに怒られた。「バカヤロー…

民宿で遭難

団体で民宿に泊まっていたら 見知らぬ全裸男が部屋に入ってきた。「困ったから来てくれ」そう言われても困る。ちょっと添い寝に借りた女が借金してたとかで 怖そうな男がふたり窓の外で見張ってる、とのこと。一緒について行ってみれば、なるほど 裸の男がふ…

JKの生態

ちょっと教室とは思えない。たとえば旅館の板の間のような印象。なにやら廊下も部屋も すべて床が赤いもので濡れている。ケチャップでなければ、缶詰のトマト。または、肉なしミートソースを連想させる。女子中学生でなければ、女子高校生。いわゆるJKが犯人…

素敵な男

なぜか画像は漫画タッチ。さて、彼は素敵な男だ。正義感あふれる二枚目気取り。今日もファーストフードでアルバイト。おそらくハンバーガー屋の店員さ。彼がニッコリほほ笑めば なぜかお客は涙に暮れる。お客が食べ物 粗末にすれば 彼のまなこは怒りに燃える…

幽霊の相談

夜な夜な幽霊が出るそうである。それで、もし幽霊に出会ったらどうしよう みたいなことを誰かと相談していた。ところが、変なのだ。いくら思い出そうとしても その誰かが誰なのか、はっきりしない。顔かたちがぼやっとしているのだ。もしかしたら、その誰か…

下宿を訪ねて

夢の中で江戸川区平井の下宿を訪ねてみた。昔、十代の終わりから二十代の終わりまで十年間ほど世話になった。もうなくなっているはず、と思ったら まだ建物は残っていた。正面に大家の玄関があり、脇の通路から奥に二階の下宿人用の出入り口がある。なぜか、…

空中楼閣

その建物はホテルのようでもあり、または 大きなイベント会場のようでもある。なんでも、この地に進出した大企業の社長さんが 空き地だった場所に建てたのだそうだ。そういえば、いきさつを本人から聞いた記憶がある。コイントスとかで、なんとなく決めたの…

そちらの世界

つまり、あなた方は そちらの世界が気になるわけですね。よく見えるがゆえに。そちらの世界、わたしにはよく見えません。なので、あまり気にしません。どうせ気にしても、よく見えませんから。よく見えるあなた方がうらやましい。ええ、そうですよ。こちらの…

らせん歩道

ふたりの知人女性と一緒にお出かけ。どこかへ行こうとしている。遊園地かテーマパークみたいなところ。彼女たちが行きたがっているところ。動くらせん歩道、とでも呼ぶのかな。ジェットコースターじみた長い通路がある。右側にプリペイドカードを通す溝があ…