Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2021-01-01から1年間の記事一覧

ウイルス媒介進化論

生殖細胞がウイルス感染することによって新しい遺伝子配列を獲得する可能性はありそうだ。水平遺伝によって昆虫が植物から遺伝子を獲得したように。ほれ流行だ、やれ緊急事態だ、とばかりにマスクしたり消毒したりするのはいかがなものか。細菌やウイルスを…

ホットエレファント

おかしなことがあるものだ。電子レンジの中でゾウが鳴いていた。調理器具なんぞ踏みつぶせるほど大きなゾウがどうやって小さなレンジの中に入ったのだ?考えなしにスイッチオンするわけにはいかない。頭を冷やそう。ベランダに出て、夜空を見上げる。土星の…

滑るテーブル

某所にて友人らと会食。金属製の重そうな円形テーブルがある。天板に縁飾りのようなものはない。中央に油を注ぐと、ゆっくり丸く広がる。やがて、よだれのように周囲から垂れ落ちる。その上にケーキや寿司を置く。滑って動くので、切り分けが難しい。不器用…

ゲームオーバー

仮想世界のヒーローとして活躍している。道具や人物や技術を得て高みを目指す。幼稚とも呼べるありふれた設定。所定の位置に表示される数値は、なんらかの これまでに獲得した価値を意味するようだ。なんだ、この耐え難い閉塞感は?おれの居場所はここではな…

関節殴打

結婚式の司会を頼まれた。それで、苦労して書き上げた式次第を持って遠方にある新婦の実家を訪(たず)ねたわけだ。ところが玄関扉が開かない。約束していた日時にもかかわらずだ。かなり待たされ、ようやく開いた。花嫁の母はうっかり忘れていたようだ。お…

ツルのリンゴ

なにやらの競技が開催された。入賞者には副賞としてリンゴの実がもらえるそうだ。表彰式における司会者の説明。「リンゴの木は2種類あって 普通の木と、枝がツルのような木です。」見本を見せてもらったが、本当にツルの枝だった。まるでヘビのよう。ヘビと…

空手団体戦

空手団体戦の中継番組を観ている。机を蹴って床を滑らせたりの反則攻撃。あるいは武闘派集団の暴力団事務所襲撃か。ただし、優勝賞金は出るらしい。コーチらしき人物もいる。応援する選手が勝つと喜んで刃物を振りまわす。前世からの因縁の対決のようだ。他…

お客様

おいおい。おまえ、何言ってんだ。いい気になってんじゃねえよ。何様のつもりだ。お客様か?ふざけんな!おれたちはたまたまこういう立場にあるだけ。人間としては対等なんだよ。対等だから、お互い様になるんだよ。やることやれよ。やることやらねえ奴に文…

挫折慣れ

昔いた会社のオフィス。入社したばかりの新人が退職するらしい。不況、業績不振、ノルマ、過労、将来の見込み。退職したい気持ち、わからぬでもない。というか、おれも退職したくなってきた。実際、すでに隠居して十年以上になる。もともと外界への関心、薄…

食卓の親父

亡くなったはずの親父が食卓にいる。寝起きのようで、不機嫌な感じ。なんだか落ち着きがない。腹が減っているのではないかと思う。おれは大きな器にポテトサラダを盛る。すぐに親父は手づかみで食べ始めた。今のおれより若いような気がする。親父の享年(き…

迷惑な素材

中国の国有企業による商品説明会。登壇した全員が黒っぽいマスクをしている。正直なところ、汚れた雑巾のようにも見える。これが斬新で画期的な素材なのだそうだ。研究員は語る。「これを入手した企業は世界的名声を得るだろう」なるほど。問題を作っておい…

歌うステージ

よくわからん店で働いていた。パンを売ったり、薬を混ぜたり。店主が問う。「この曲、知ってるか?」どこかから女性歌手の歌声が流れる。「知りません」「憶えて歌ってくれ」なんとなく憶えた気になる。テーブルの上としか思えぬステージに立つ。若い女性客…

つまんねー

なになになに。つまんねーだと?ふざけんな!つまんねーことばっか考えるから つまんねーんだよ。まったく、おまえは。つまんねー自分のまわりのことなんざ 無視、無視、無視。とにかくおもしろいことばっか考えてみ。おもしろくなるしかねーだろが。 BoredW…

台車の上

工場にて、ある行為を台車の上でするところ。それを認知症気味の老女が邪魔をする。相手にされない彼女ですら気づいたのだ。他の者が気づかぬはずはない。やや離れたところで工場長が演説している。「競争において、素材の選択は重要である。」台車が濡れ、…

キャッチボール

地平線が見えるほど広い場所。ここでキャッチボールをしている。ただし、おれはバットでノック。相手がボールをキャッチして投げ返す。声は届くものの、遠くて相手の顔は見えない。親しいライバルではなかろうか。彼からの返球が乱れた。右側にある土色の波…

切り抜きパズル

ある組織があった。なぜか長ネギと関係があるらしい。新聞紙の切り抜きを連想させるパズルに組織の構成員たちは頭を悩ませていた。眺めていたら解けた気がして解答を示す。だが、じつは解けておらず、罠にはまった形。軽薄をさらしてしまい、超恥ずかしい。…

円筒形の迷路

泊まった建物は細長い円筒形で ドリルのような螺旋階段のある構造だった。入った記憶もないが、出口を探してさまよう。しばらくして抜け道のような小部屋を発見。そこに潜り込み、手を洗うために水道の水を使う。壁に小窓があったので開いてみる。二階から見…

妖怪商店街

漫画本の見開きページを眺めている。どことなく妖怪漫画家の絵柄に似ている。どこぞのさびれた商店街の話だ。時代の合理的な流れに抗(あらが)っている。それなりの専門家が揃っているので 日常の問題なら、仲間内で解決できる。街の世話役でもある配管屋の…

集合教室

集合住宅でアンケートを集める場合、とりあえず左端の部屋に集める。たとえば五階なら501号室へ。管理者として、そのように指示を出した。ところが、実際のそこは住宅でなく 学校の教室のようになっている。机や椅子が散らばり、壁の存在も希薄だ。行き交う…

裸を自覚

街を歩いていて、ふと自分が裸なのに気づく。靴と靴下しか穿いてない。わあ、これは恥ずかしい。股間もなにもかも丸見えじゃないか。あわてて古書店らしき建物の中に駆け込む。店内にも人はいるだろうが、街中よりは少なかろう。手持ちの服もない。バッグも…

通過儀礼

駅の自動改札が詰まっていた。誰かが不正な定期券を使ったらしい。おれはすぐ隣の改札に定期券をかざして通過した。利用客と駅員の言い争う声が聞こえる。「もういいから定期券を返してくれ」「一度使ったので、ただでは返せません。 身分を確認できる証明書…

問い合わせ

ある施設でアルバイトを始めた。書面にてクレームや問い合わせが入る。それに対する対策案や解答を記入して戻す仕事。一枚目から難問で一行も書き込めない。幹部らしき男がいたので問い合わせてみた。「こういう問題があるんですけど・・・・」すると男は淀みな…

白いゲーム

白っぽい部屋だ。壁が入り組んで迷路のようになっている。ガウンを着た女がふたりいる。やはりガウンを着た、おれともうひとりの男も。つまり、女と男がふたりずつ。外国人なので言葉は通じないようだ。ただし、仕草や目配せでわかる。おれたちはこれからガ…

分かれ道

試験または試合が行われるようだ。我がチームは会場へ向かって歩いていた。途中、分かれ道があった。古株はまっすぐ進むつもり。新米は横へ進むつもりになっている。どちらも己の判断が正しいと信じて疑わない。それぞれ根拠ある確信があるようだ。そのため…

人の世は

見るまでもない。聞くまでもない。言うまでもない。行うまでもない。人の世はそんなのばっかでできている。 The World of HumansNeedless to see.Needless to ask.Needless to say.Needless to do.The world of humans is made up of such things.

匍匐前進

崖の端みたいなところを匍匐(ほふく)前進してる。自衛隊でもあるまいに。「追い越すよ。ごめんなさいよ」後方から知り合いの声。どうやら自転車に乗って追い越すつもりらしい。だが、左右にそんな余裕はない。無視無視。やがて駅の構内に到着した。そうだ…

石の選別

ゲレンデのような斜面に若者たちが待機している。小グループを寄せ集めた集団という感じ。彼らに任務が与えられた。布袋の中に色ガラスのような石が大量に入っている。これを色ごとに選別せよ、というもの。おれは袋の中身を配布する係のようだ。配布しなが…

本の川

ページを開いたら、本の中に川が流れていた。流れているのは文字でなく、水。もちろん読めない。どうしよう。「あっ」本を落とした。本は川に落ちた。そして、そのまま流されてしまった。 River in the BookWhen I opened the page, there was a river flowi…

金相場

金の地金を買うつもりで店に入った。店員の男に問い合わせる。「今、金の相場はいくらなの?」値段を聞いて1㎏だけ買うことにした。「封筒に入るサイズだよね」昔、通販の宅配で入手した記憶がある。その後、ローラースケートみたいによく滑る靴で颯爽と地…

股間の釘抜き

股間に設置された工作道具が細長くなり 先端が釘抜きのように曲がっている。ははあ、これで引っかいて使うわけだな。自動生産ラインのロボットにでもなった気分。さて、ショッピングモールの広場ような場所。ふたりの若い女が小さな円形プールの縁に内向きに…