Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

運命の編集

動画を編集している。画像の中から画像の一部を抜き出す。たとえば、背景を残して人物だけ取り出す。その人物を拡大して独立した画像にする。画像を並べ替えて適当に配置する。音声についても同様。音声の中から音声の一部を抜き出す。たとえば、ある人物の…

金融漫画

白い鉄板を折って作られた箱みたいなもの。さる漫画家の道具なのだそうだ。彼は金融関係の漫画を描いている。道具を使いこなしているのが自慢のようだ。にしても、漫画とは約束事の多きこと。コマ割り、吹き出し、レイアウト。がんじがらめ、型にはまってる…

犯罪譲渡

貧乏な若い男、困窮して罪を犯す。若い女の腕に小刀の先を刺したのだ。金品を奪って逃げ去る。先々のことを考える余裕はない。追手は執拗であった。グレーな金融関係者、いわゆる闇金。犯罪捜査を警察から引き継いだそうだ。債権譲渡のようなものか。ところ…

インド神話

街の不良ども、徘徊す。インド神話の神々さながら。ヤンキー漫画の主人公は生殖の神。あまりに似つかわしく、笑ってしまった。それはともかく、電車に乗る。人々がゆっくり移動するので最初、時間に余裕があるのかなと思った。いやいや、安心はできんぞ。そ…

信頼を疑う

今、駅の改札口を出たところ。振り返る。この自動改札機の費用、高額に違いない。信頼による損害と、疑いによる経費。どこかに分岐点があるはず。統計的に比較してみたいものだ。歩き出す。さて、銀行へ行こう。友人と待ち合わせていたはず。ええと、宝くじ…

漆喰分析

目の前に白い粘土みたいな塗料がある。あるいは漆喰しっくいかもしれない。その中に小さなボタンがたくさん埋まっている。ホックの一種だろうか?それだけ。話し合いなどもあったが、大した展開はない。現在、大規模修繕工事の最中。そのあたりからの連想に…

宗教の人

社長は宗教の人であった。社員を改宗させようとする。または信者を社員にする。新入社員のおれにも触手を伸ばす。おれに見せつけるかのようにいかがわしい儀式を信者の社員と始めた。腕相撲の形に腕を組み、さらに肩を合わせ 一緒になって踊るように歌うのだ…

ゲームセンター

いわゆるゲーセン。携帯端末でいつどこででもゲームできる時代。今や完全なる斜陽産業である。そのせいか、店全体のデザインがおかしい。意図的なほどに稚拙なのだ。手抜きと言うもおこがましい。ラクガキとしか思えないレベル。ラクガキを3Dプリンターで立…

書類の仕分け

書類の枚数を片手でカウントできる機械が導入された。それを使い、元同僚や元同級生らが仕分け作業をしている。手伝いたいが、どうも人手は足りているようだ。申しわけない気持ちで作業を眺め続ける。やがて、仕分けされた書類を届ける仕事を頼まれた。それ…

抗議宣言

勝手に決めつけないでくれ。なんで今さら学校へ行かなきゃならんのさ。義務教育なんて、まったく腹が立つ。親の義務であって、子どもにとって権利。子どもの義務ではないはずだ。勝手に押しつけないでくれ。もっと遊びたいのさ。やりたい勉強だけをしたい。…

本来

あなたが話題の人でもなければ あなたの話を聞きたいわけではないのだ。あなたが何を考えているとか あなたが何を食べたとか、どうでもいい。おもしろそうなら聞く。価値ありそうなら耳を傾ける。それが本来。つまらない話に興味を持つ人々に過大な期待をす…

触手

うっすら目を開ける。暗い寝室に他人の気配を感じる。カーテンの切れ目から月明り。揺れる長い髪、丸い肩のシルエット。彫りの深そうな端正な横顔。若い異人の女のようだ。眠っているふりをしているみたいに まぶたを見せつけるように目を閉じたまま 両腕を…

よくわからん塾

学習塾の経営に乗り出そうとしていた。その調査を目的とした施設を訪れる。子どもらが自習している教室。図書館の児童向けスペースを連想させる。そこにいた女の子が我々を批判する。「勝手に机を倒されたら迷惑なんよね」入場時、確かに机は少し倒したかも…

交差点の幽霊

行き交うクルマの群をぼんやり眺めていた。交差点では冷たい夜風も交差する。信号待ちにはつらい季節だった。赤と青の手袋をはめ、黄色い毛糸の帽子。両手をあげれば信号機である。それでも寒くて仕方なかった。見ると、足元に花束が飾ってあった。最近、交…

錯覚トロフィー

顔のオブジェがある。段差と傾きによって錯覚を起こさせる構造。それが優勝を称(たた)えるトロフィーなのだろう。バスケットボールの大会が始まろうとしている。背の高い黒人選手たちが次々とコートに入る。こいつらと試合したって勝てる気がしない。その…

コリー犬の森

自然公園の中の、森の中を歩いていた。なにやら使命を帯び、ある目的地を目指し。一頭の大きな犬が現れ、道を塞いだ。賢そうな顔のコリー犬。ゆっくり近寄ってくる。表情からして攻撃するつもりはなさそう。試しに頭を撫でてみる。喜ぶので背中、さらに両手…

湖底の宮殿

裸女の支柱、獅子の扉。神々の集(つど)うステンドグラス。見上ぐれば、湖面の裏側、揺らぐ空。午後の日差し、柔らかく降り注ぐ。粉雪のように舞い降りるは、プランクトン?ここは海底でないから、火山灰?どちらでも、どうでもよい気がする。どうでもよい…

総務部の糾弾

会社の事務所にて。トイレに入ったら、同僚の女も入ってきた。あれこれ問われ、慎重に返答する。デスクに戻ると、総務部から呼び出し。学歴の高そうな男が詰問する。「どうしてルール通りにしないんだ?」情報漏洩の危険性を糾弾されているらしい。「専門用…

傘の犬

父と兄と一緒に住宅街を歩いていた。「あれはなんだ?」父と兄が先を急ぎ、姿を見失ってしまった。ある家の中から兄の名を呼ぶ女の声が聞こえた。すると、二人はこの家の中にいるに違いない。庭の草がそのまま屋根につながるような斜面があった。そこを登っ…

地を泳ぐ

僕は男の子。地面や地中を水のように泳げる。近所の子どもらと一緒に外で遊んでいた。夕方になり、それぞれ帰り始める。ひとりの女の子だけが残った。彼女と一緒に地を泳ぐ。あるいは日が暮れたから泳げるようになったのかも。壁にアニメの人魚姫みたいな映…

素敵な息子

頭も性格も悪くてかまわない。とにかく顔の良い男を恋人にする。贅沢は言わない。父親がハンサムなら、その息子だってきっとハンサムになってくれるだろう。誰もがウットリする素敵な息子。幼い彼と仲良く散歩する笑顔の私。そんなスナップ写真が目に浮かぶ…

堕落

ああ、神様。わたくしをお守りください。こんな堕落した町に住むわたくしを。信じがたい行為を平気でする人々。わたくしの口からは言えないようなことを。しかも、許されるはずのない場所で。暗闇に隠れてさえ恥ずかしいのに。ああ、信じられない。目を覆う…

辻切り

近頃、辻切りが出没するという。昔の辻斬りと違い、人のからだは斬らない。人と人との関係、いわゆる縁を切るのだ。友人や恋人の縁をいとも無造作に断ち切る。縁を切られたら、もう赤の他人。両者の縁が同時に切れたら、まだ救われる。一方の縁はそのまま、…

蛇の子

私たちの新婚旅行は国内登山でした。私と妻とは山で知り合ったのです。登山ルートは新婦の希望に従いました。ふたりだけで山小屋に一泊。真夜中、私は目を覚ましました。新妻の苦しそうな声に起こされたのです。あたりは真っ暗で何も見えません。妻は悪夢に…

干し草の山

僕たちは干し草の山の頂上に隠れていた。「ほら、もうすぐ始まるわよ」悪戯っぽい瞳でヘレンが囁く。干し草の山の麓(ふもと)には恋人たちがいた。僕の兄貴と彼女のお姉さんだ。二人とも服を脱ぎ終えたところだった。お姉さんの乳房が見えた。僕はお姉さん…

団地の探偵

団地にひとりで住んでいる。団地は社会の縮図。喜び悲しみがあり、犯罪もある。で、団地専属の探偵を始めた。管理組合に売り込んだのである。まず最初は、ゴミ出しルール違反の犯人調査から。最初は手作業だったが、らちあかない。総会で強引に嘱託(しょく…

ホワイトハウス発砲事件

アメリカ合衆国のホワイトハウス。大統領夫妻と日本の首相夫妻が歓談中。その場になぜか私も立ち会っている。ガードマンでも通訳でもないに。そこへ敵国の元首より小包が届く。中には拳銃と手紙が入っていた。手紙には拳銃の状態と使い方が書いてある。大統…

濡れ場人形

切れ目あるウインナーソーセージをつないだ形の木彫り人形が、スポットライトを浴びて座っている。ひとり闇の中で人形劇を観ているらしい。どうやら江戸時代の遊郭が舞台のようだ。なぜなら、やがて着物姿の芸者人形が現れたから。濡れ場があり、なかなかリ…

害虫駆除

田舎の田んぼで稲刈りを手伝っている。なのに、左手でつかんだのは稲でなかった。胎児の形に折れ曲がった大きなトンボ。オニヤンマと思われる。(オニヤンマ、こんなに大きかったっけ?)ともかく、稲に群がる虫を駆除するのが俺の仕事。すでに死んでるオニ…