Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

溶ける鍵

漠然とした博物館にて。ドミノの駒のような鍵を手渡される。相手は見知らぬ男。黒い表面に白い文字で何か書いてある。ひらがなのようだが、よく読めない。「そうじゃない。こうなのだ」鍵の使い方について強引に教授される。宝の隠し場所を開く鍵らしい。た…

おぼろげな通帳

私は夢を見ているらしい。その夢の中に通帳がある。証書のようなものも混ざっている。現実にはどちらも存在しないはず。すっかり忘れていた。おぼろげな記憶がよみがえる。こうして記録が再生された以上、支払いなり清算なり、せねばならない。社会人として…

犬鼻マスク

友の不始末を補うため 自家製マスクを納品することになった。独自の改良を施してある。鼻の当たる部分が黒くなっている。犬の鼻みたいだが、そこが日光に当たると 特殊な効果が発揮される。良きことの蓄積。悪しきことの排除。所詮、この繰り返しなのだ。Dog…

文字が消える

世界中から文字が消える現象が発生。印刷された活字も手書き文字も。どうやら新種の細菌の影響らしい。インクや墨を食べるのだそうな。図書館の本が読めなくなった。日記も家計簿も真っ白。銀行の預金通帳から数字が消えた。紙幣も真っ白。そして、ついには…

野苺の虫

廃品集積所でゴミを漁っている。同行者が数名いるので、見学ツアーかも。ブロックで仕切られた箱状のスペースの中に 手頃な大きさの雑多なガラクタが置かれてある。壊れたマシンガンなどもあった。興味深いけれど、欲しい物は見つからない。その代わり、生え…

野党根性

実現させねばならん立場の与党に対して 批判しておれば済む立場の野党がある。他人に辛く、自分に甘い。気楽な立場で気分次第、無責任に物申す。黙っておればよいものを 言わずもがなをあえて言う。迷惑至極。正義のつもりか、自己顕示欲か。あるいは妬み、…

壇上にて

なぜか体育館の檀上にいる。卒業式らしきイベントが行われている。先ほどまで壇上に数人いたが、今は壇上に自分ひとりしかいないのに気づく。みんな、こっそり下りてしまったらしい。このまま壇上にいて大丈夫だろうか。注目されているわけでもないが、恥ず…

鶏肉の不快

母親が行政の悪口を大声で怒鳴っている。認知症かもしれん。「なにしに来た?」「あんまりうるさいので注意しに来た」鶏肉料理を出される。おいしいのだが、不快な触感。これが隣の市との合併話が流れた理由か。まったく将来性の見込めない話をラジオのニュ…

草は低く刈れ

集合住宅の住民による集団清掃の時、裏庭で日陰の低い草を抜く人がいる。日当りで作業したくないからだろう。だが、草を抜く必要はないのだ。背が高い草を低く刈るだけで良い。背の低い草なら芝生と大差ない。根まで抜いたら、雨が降ると泥沼になる。雑草と…

キャラが違う

下宿部屋から廊下に出る。廊下を挟んだ住人の様子がいつもと違う。他人行儀だった男が親しそうに話しかけてくる。下宿から転居して数十年後のマンション住人とキャラが被っているようだ。どうにも居心地が悪い。逃げるように共同トイレに駆け込む。The Chara…

駅の映画

青白いモノクロの画面。なにやら興奮した群衆の流れ。駅のホームにおいて映画が放映されている。あるいは、駅が舞台の映画を観ているだけかも。突然、フィルムが切れたように話が変わる。すでに廃校となったはずの中学校。部室でもあった理科室は閉ざされて…

牛のごとく

食べ物をよく噛むには一度にたくさん頬張ってはならない。硬い物、大きな物、噛みにくい物は無理して飲み込まず、噛んだら一旦吐き出せ。どんぶりや茶碗を第一の胃袋として 牛のごとく咀嚼(そしゃく)するのだ。Like a CowTo chew food well, don't chew to…

ステンレスの冷たさ

風呂の湯を抜きながら バスタブの縁に腰かけ、タオルで頭髪を拭く。最初、ステンレスの冷たさを尻に感じる。ただし、ほんの数秒のこと。すぐに冷たさは消えてしまう。最初のためらいなんか、そんなものだ。Stainless ColdnessWhile draining the bath water,…

余計な2匹

近所の人から子猫を2匹もらった。なかなか愛らしい。ところが、それとは別の2匹の子猫が掃き出し窓から居間に侵入しようとしている。同程度の愛らしい外観にもかかわらず 明らかに余計なので、どうも好きになれない。もらった2匹を両腕に抱えたまま 方足で余…

会計報告

銀行らしき金融関連会社のオフィス。請求書が届いたので、担当へ支払いを指示する。じつは金額の内訳を完全に把握していない。確認が面倒くさい。なんとかなるだろう。担当した女子社員が現れ、報告する。「この金額はこちらが正しく、合計はこれです」彼女…

半開きのドア

どこかの部屋にいる。隣の部屋へ続くドアが半開きだ。押しても引っかからず、戻ってくる。確か、あまり若くもなくもないが 老いてもいない女が住んでいるはず。無防備なので勘違いしそうだ。いや。むしろ勘違いされそうで不安だ。困っていたら、女が奥から姿…

咳き込む家族

外出から戻ると家族がいた。こたつを囲んでいる。やや薄暗い居間。兄だけでなく、母もいた。さすがに父はいなかった。母が咳をしている。言わなければいけないことがある。なのに、私も咳き込んでしまう。なかなか止まらない。Family CoughingWhen I returne…

架空フロア問題

デパートの婦人服売り場のフロア。ファッションショーをここで開催する予定だった。レジの店員に使用許可を申し込むと、意外な返事。「すでに承っておりますよ」そう言われて、思い出した。「このフロアの半分、借りることできますか?」そんなふうに、問い…

池とポスター

知人のクルマに同乗してドライブ。民宿に泊まるつもり。駐車場で降車して建物へと向かう。升目状に区切られた池が通路を塞ぐ。その上には浮世絵風のポスター。意味わからん。池の境目となる格子の上を歩いて渡る。運転手でもあるところの先に渡ったはずの青…

3頭のラクダ

男子生徒が女子生徒にパンを放り投げる。それを途中で奪って食べる。「腹の虫が鳴くのは良いことだ」プラスチックのゴミをも消化する胃袋。体の上下が分断されたような体感あり。女のスカートをまくり上げ、顔にかぶせる。その上にさらにパンツもかぶせ、落…

決まり事

飲み屋のテーブル席。仕事の関係で接待を受けている。決まり事が多く、楽しめない。店を出て、ハシゴせず、散会。帰宅の夜道を急ぐ。途中、人の流れが二手に分かれた。決めなければならない。地下鉄のどの駅に乗るべきか。どちらの駅にも乗りたくない気分で…

限界

いつまでも逃げるな。立ち向かえ。希望にすがるな。事実を認めよ。理想を熱く語るな。足下の冷気に気づけ。正義を振りかざすな。何様のつもりだ。文明の限界なのだ。弱者を見限る勇気を持て。LimitDon't run away forever.Face up.Don't cling to hope.Ackno…

とりあえず

とりあえず女の子が登場してね。ええと、そこからがよくわからん。いかにも子どもっぽい変な発言をしたんだ。内容は思い出せないけどさ。とにかく、なかなか斬新な切り口。これはメモしとかなきゃ、なんて思ったんだ。そしたら、玄関チャイムが鳴ってさ。管…

工事中の港

何かを探しながら歩いていた。途中、路地から抜け出せず、迷子になる。やがて、湾岸工事中の港に出た。かなり遠くまで来てしまったことに気づく。定刻までに戻らなければならない。あわてて帰還の道を真剣に探し始める。壁に立てかけられた廃船にはばまれた…

肖像画の誘惑

ある美術館の壁に男の肖像画が展示されている。ある有名な画家の自画像である。かつて、ここで忌まわしい事件が発生したといういわくつきの一画である。そこからかなり離れたところにある壁にはある女の肖像画が展示されてあった。なかなか美人であるという…

プロポーズ

武骨で暴れん坊な村の若者が村娘に恋をした。姿形に似合わないプロポーズをする。その結婚披露宴においてプロポーズにおける録音が再生された。来賓各位、大いにうけた。同じことを村長にもやらせようとして 物好きな女どもがけしかけると 村長は逃げるよう…

残された亀

アパートから引っ越しするところ。サングラスの男が現れ、あれこれ指図する。毛布、服、楽器、脚立など、荷物を運ぶ。途中、違和感あり。なぜか、楽器と脚立が消えている。部屋に引き返す。部屋の真ん中、亀が一匹いる。壁が一面濡れている。Turtle LeftI am…

見積書

ご近所の藤九郎さんとこのお兄さんがやって来た。なにやら両家の間で工事が行われるらしい。玄関先で打ち合わせが始まった。「ああでもねえ」「こうでもねえ」見積書の上で金額が水滴のように浮き上がり ゲームキャラのようにプルプル震える。途中で打ち切っ…

大物の末路

階段を囲んだみたいな縦長の旅館。合宿なのか、大勢の若手芸人たちが宿泊中。部屋に突然、大物芸人が入ってきた。かつらを被って、演技なのか酔った様子。「君たち、もっと塩を食べなさい」食卓の鍋の中に白っぽいものを投げ込む。いくらなんでも入れ過ぎだ…

幽霊の気配

深夜の病院の食堂のようだ。中年の男女カップルが訪れる。知り合いのような気がする。二人は楽しそうにおしゃべりしながらパンなど手に入れて戻ろうとする。彼らの後を追うつもり。その前にトイレに寄っておこう。トイレの奥から黒服の女が現れる。彼女は目…