Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

知人の自転車

知人が漕ぐ自転車の荷台に乗っている。この男とは近所の整骨院で会った。タクシーの運転手で、腰が悪いらしい。他にもう一人、どこかに同乗しているはず。連結式の特殊な自転車かもしれない。途中、知人の知人に出会う。「おれも乗せて欲しいな」知人は断る…

雀の学校

ここは教室。ただし、生徒は成人、教師は外人。学者然(ぜん)とした白人男性が日本語を教えている。教科書を音読しながら頻繁(ひんぱん)に質問する。「このミソジャケとはなんですか?」初歩的な問いが多い。私は挙手(きょしゅ)して返答する。「味噌に…

市長の登場

ひとりで市内を歩いていた。すると、撮影班を従えたレポーターが現れる。「これより市長が登場します。 皆様、挨拶よろしくお願いします」はて、面妖な。選挙期間でもないのに何事であろう。取り澄ました建物の玄関から現職の市長が姿を現す。「やあやあ、皆…

別の道

同じ道を通るなら速い奴が勝つ。さして速くもないと自覚しているなら他人とは別の道を選びたい。つまり、逃げるのだ。競走はしない。ささやかな楽しみを犠牲にしてまで理想に近づく必要はなかろう。そも体力が続かない。自然の節理からそんなに離れてなけれ…

トランクのバイク

歩いて遠いところまで行ったのだ。そして買い物をした。旅行用トランクの形だが、じつはバイク。普通に腰かけて乗れるタイプ。車輪の傾きを直しながらも、なんとか帰宅。ところが、降りたら靴の履き忘れに気がついた。これから靴を引き取りに戻らなければな…

バナナ屋

黒人ではなけれど黒っぽい肌をしたその男は有期雇用の外国人労働者なのだった。僕とは隣同士で共同住宅の二階に住んでいたが契約の雇用期間が過ぎたとかで転出してしまった。しばらくして雇い主の社長がやってきた。黒っぽい彼にプレゼントをするつもりだっ…

訴訟合戦

ある男がある女を侮辱したそうだ。それがこじれにこじれ とうとう裁判沙汰となった。とても勝てないと男は判断。慰謝料払って和解する方針を決めた。それで双方の関係者やら弁護士を立ち合いに集まって話し合いすることになった。その席で相手側陣営の誰かが…

大物たち

さる有名女優の家にお邪魔している。すでに数人の高名な学者が来ていた。なるほど、さすが大物。家も立派だが客も立派である。しきりに感心する。図々しくも奥の寝室へ侵入する。 ベッドの上に偉大な政治家が座っていた。ふんぞり返って背を壁の出っ張りにぶ…

ご乱心

毛だらけ汗まみれの尻を舐めてしまった。その舐めた感触はともかく舐められた感触からして自分の尻に違いない。とんでもない気分。鏡も使わず自分の後頭部が見える。誰のものかわからぬ内臓の温度まで感じられる。「ああ、死んじゃう。理性が死んじゃう」あ…

元歌手

ある芸能事務所の専属歌手がテレビで新曲を披露している。さして若くもない彼女はこれから売り出すつもりらしい。ところが残念ながら、その芸能事務所は倒産してしまう。彼女は芸能界を去らねばならなくなった。あれこれ騒動の後、元歌手と元社長はタクシー…

機密文書

ある外国語を自国語に翻訳しながら 湾岸の夜景の中を誰かと散歩している。ふと、暗号かもしれないと気づく。翻訳文を棒状の菓子のように意図的に区切る。なかなか骨の折れる作業である。ちょっと奇妙な手応えがあった。あるいは国家レベルの機密文書だろうか…

暗黙の了解

国際的に権威ある組織より作品制作の依頼があった。「いかがですか?」性同一性障害の知人は引き受ける。「はい、喜んで」私は共同制作する立場にある。彼が歌い、その音声を私が動画化するらしい。「頑張ろうね」「うん。そうしよう」その作品は国際的に権…

批判の声

会社の休憩時間、さて食事にしようかという頃合い。何者かが小型機器を運び、食堂のテーブルの上に置く。さりげなく、そいつは再生ボタンを押す。「とんでもないことが行われました」BGM付きの女性の声が流れる。どうやら特定の社員の行為を批判する内容。さ…

殺陣

さて、サムライ映画の殺陣(たて)シーンである。国際的な監督兼俳優であるところのコメディアンと共演。彼に対抗しているものの、いかんせん演技が薄っぺらい。まるでコピペのようである。実際、脚本の一部、ある領域をコピーしてどこかのカタログ誌面へペ…

青銅の頭蓋骨

それは兎の頭蓋骨を連想させる。大きな金属製の骨組みが三つ、または四つ。塗装かもしれないが、色は青銅に似る。なにかの試作品の残骸かもしれない。使うに使えず、捨てるに捨てられない。しかしながら、それをテントに見立て 内部で生活できないこともなさ…

印刷の営業

印刷会社の営業をやっていた人物へ逆に印刷会社の営業として売り込んでいる。ロゴ入りの方眼紙ノートを10冊ほど 無料サービスとして刷って届ける約束をする。ざっと計算してみるに これくらいなら大した出費ではなかろう。ところが約束をした途端、その営業…

楽しげなスキー場

スキー場に来ている。先ほどまで自分でも滑っていたが今はゲレンデを見下ろす視界。誰かと会話していたような印象が残る。林の中に空き地のような場所がある。そこを知人たちが通過してゆく。派手な色彩の異国の女の姿があったりする。そりに乗った監視員の…

サイン入り写真

我らがサークルの展示会に来賓が到着された。マンガの神様と王様と天才、大御所3名であられる。3名ともトレードマークのベレー帽をかぶられ 小さなレンズのメガネをかけておられるので 大変によく似た顔つきでいらっしゃる。さて、舞台の上で挨拶していた…

バクの棲家

魅力あるもののなかなか実現しない夢 さような夢の実現を支援する本や道具や仕事や組織「誰でも簡単にできる〇〇(まるまる)」「こうすれば必ず成功する〇〇」たとえば なにがし制作ソフトまたは 携帯Web端末 弁理士だとかコンサルタントだとか学校だったり…

紙の裏

妊娠して退職して結婚したはずのその若い女と職場で楽しく会話している。離婚歴4回の上に寿退職した強者(つわもの)もいた職場だから彼女の運命もどうなるか定かでない。ともかく今は、紙に落書きなどしてそれを彼女に見せて笑いをとっている。「以前はこの…

放火魔

草木も眠る 牛若丸 京の五条の橋 何処(いずこ)? 善男善女(ぜんなんぜんにょ) 疲れ果て 戸を閉め 首絞め 寝静まった頃合いに 抜き足 差し足 S'il vous plait(シルブプレ) 書き散らしたる紙屑に 灯油 撒き撒き 君が心に火を点けん はるさんが演じてくだ…

犬が来る

闇の底を這うようにさして大きくもない犬が駆け寄る。敵意をむき出しにして俺の近くまで来た。蹴りを出す。残念ながら、外れた。少しだけ離れて対峙(たいじ)する。おまえは俺を排除したいのだろうがそうはいかない。なぜなら、俺こそおまえを排除したいの…

納得できない

何かを説明しようとしている。相手は判然としないものの年下の生徒のような気がする。また、見守る教師らしき気配を姿が見えないながらも感じている。説明せんとする内容も漠然としており 米の重さと鶏卵の重さの比較であったか。ただし、鶏卵は記号化されて…

賽の目野球

野球の試合を観戦している。おそらく中学生の対校試合であろう。その最中なのに、新発明の道具を使い なぜかボールを賽(さい)の目に切らんとしている。ところが、ボールは賽の目に切れず たくさんの細かいボールに分裂してしまった。しかも、それらが跳ね…

敷布団を背負って

家の前で腰を曲げ、敷布団を背負って立っている。まるで誰かがその上で眠っているかのよう。すぐ近くで変な音がする。「コンコンコンコンコンコン」木の板に当たる水の音に似ている。だが、それがどこで起こっているか不明。よくわからないまま家の中へ戻ら…

先輩対策

いかにもな先輩風を吹かす先輩がいる。その先輩に呼ばれたので、対策を立てた。悪ノリされたくないので 両手を食用油でべったり濡らしておいたのだ。「時間になったら皆で早く来い」と言うので「はい、わかりました」と返事をすると 「時間になったら皆で早…

異なる幅

言葉を入れ替える。ある言葉と それを否定する ある別の言葉。両者は少しだけ幅が異なる。存在の重さ というか 在り方の仕様がそれぞれ微妙に異なるから。 自作自演。 Different widthSwap words.A word and another word to deny it.Both are slightly diff…

下半分の顔

自分の顔の向こう側に作られた顔がある。それは下半分だけの顔。しかも、かなり不正確な形状。ある物理現象を応用した自然現象であり いわゆる偶然の産物に過ぎない。そのような背景をなぜか自分は知っている。しかし、である。それなりにある程度の形を備え…

彼女の特技

なにかやろうとしているが なにをやってもうまくいかないはずなのだ。なのに彼女がその抽象概念を取り扱うと おむすびのようにきれいに丸め込んでしまう。または三つ編みのように一本にまとまる。短いスカートではレーダーに引っかからない。よくわからない…

院内巡り

ここは大きな総合病院。看護師または医師の実習生として今日から現場で働くことになっている。今、先輩と一緒に二人で院内を巡回中。なんの診療科であったが失念してしまったが ちょっと下世話な楽しみがあったような気がする。だから、産婦人科あたりを期待…