ごくまっとうに生活していればいいのだ と思う。あまり欲を出さず、そんなに無理せず できる範囲で、そこそこ楽しむ。 周囲に迷惑かけないようやるべきことはなんとかやって やるべきでないことはなるべくやらない。あとは自由だ。やりたいようにやればいい…

ここがどこなのか定かでない。会社のオフィスのようでもあり 喫茶店や知人宅のようでもある。ともかく、自宅でないことだけは確かだ。そんな場所で本を探している。ソファーに腰かけ、床に散らばる本を見下ろしながら。近くにある本をひっくり返したりもする…

寒い寒い 冬の日に 寒い寒いと こたつに入る こたつはぬくいな 嬉しいな 手も足も 腰もすっぽり 暖かい おうちの外は 寒い 寒い こたつの外も まだ寒い 寒いの きらいだ 寒いの やだ こたつの中から 出たくない こたつの外へ 出たくない おなかすいても 出た…

えり崩し 胸元くつろげ 浅葱あさぎの色の 扇おうぎをばしゃらり しゃらしゃら ひろげては 朱塗りの爪の 細き指 はらり はらはら あおげど 飛べぬ 所詮 わっちは 籠の鳥 ひさしの下の 風鈴鳴らすが 関の山 浮世の風に 変わりなく 生まれて苦界 死して三ノ輪の…

まあ なんだな なかなか うまくいかないもんだね たとえば おいらなんか 見ての通り ジャガイモだけどさ まあ 見てくれが悪いのは 仕方ないね なにしろ 土の中で生まれたんだもん さらに ずっと土の中で育っちゃったわけだし だって まわりには土しかないん…

ようやく下宿にたどり着く。建物の傾きが夜目にもわかる。狭い玄関で靴を脱ぐ。共同なので、下駄箱に入れる。滑り落ちそうな階段を上る。古い木造なので一段ごとに軋む。階段が終わると廊下が始まる。やはり一歩ごとに軋む。どうも確信が持てない。はて、自…

やりたくないことをやらねばならない状況というのは 本当にいやなものだ。いやな状況から逃れるため、つい人はやりたくもないことをやってしまう。されど諸君、本当にやりたくないことは決してやってはいけない。やるくらいなら、逃げろ。抜け道を探せ。言い…

いかにも観光バスの見てくれながら ちっとも名所旧跡を走ってくれないバスなのだった。「ただいま皆様の右手にチラリと見えて通り過ぎましたのは ご近所の方々のみ知る、名もない佐藤さんのお宅でした」バスガイドさんが笑顔で説明する。「あいにく、わたく…

うまい話にゃ 裏があり 安い値段にゃ わけがある。きれいな花には トゲがあり 甘い蜜には 罠がある。まずい薬は 効き目ありおいしいお菓子 毒になる。ずさんな計画 穴があり 笑い話にゃ オチがある。苦労した分 報酬が あったらいいが ままならぬ。 元「koeb…

僕の頭にはヒビが入っている。赤ん坊の頃、交通事故に遭ったのだ。なので、いつ割れるかわからない。なにかの拍子でパカッと頭が割れ コオロギやら鎧武者人形やら虚無やら 変なのがゾロゾロ出て来ないとも限らない。近所の人に目撃されたら村八分にされそう…

僕は ここにいない。ここにいるのは 僕じゃない。これは ただの入れ物。この中に 僕は入ってない。だから 呼びかけても 無駄さ。返事なんか しないよ。僕は お出かけ中。いつ戻るか わかんないね。 元「koebu」宏美（ろみりん）さんが歌を合わせてくださった…

不具合が生じる。問題が表面化する。事件や事故が起きる。それから慌てても遅いのだ。謝ったって済まされない。言い訳は見苦しい。頑張ろうにも張り合いない。どんなに取り繕っても改めても今さらもう手遅れなのだ。なぜ未然に防げなかったか。なぜ想定外を…

ヤメロ ヤメロ ヤメルノダ 今 問題ハ 何ヲスルカ デハナイ 何ヲシナイカ デアル スベキコトハ スデニ決マッテイル 決マッテイルコトヲ マズ スルノダ 残サレタ時間ハ アトワズカ ロクデモナイコトヲ ヤッテイル場合デハナイ サア 今スグ ソレヲ ヤメルノダ …

それはカード状の物体なのだった。二枚で一組。最初はぴったり重なり、一枚のようになっている。それを裂くように割って二枚にする。二枚を離して別々のところに置くと 互いを求めて近寄ろうとする。どんなに遠く離れていようと近づかんとする。身長ほどの高…

僕たちはまちがっているんじゃないだろうか。まちがっていないと思い込んで それぞれ いろんなことをやっているが とんでもないまちがいをしていないとも限らない。正しいと思ってやったことなのに じつは誤りだった という経験は 誰しもするところ。歴史も…

私は眠ろうとしているのに眠れない。または、起きようとしているのに起きられない。そんな状態。目を閉じているのに部屋の様子が見える。結婚式を間近に控えた年頃の女性がいる。同じ年頃の男女が部屋を出入りしている。会話の内容からすると、彼女が花嫁と…

ひとり、氷の国を旅していた。 果てしなく広がる氷原を徒歩で渡っている。 見上げる空は氷の天井のようだった。 突然、足もとの氷が割れた。 まるで雲を踏んでいるような感じ。 割れた氷は流氷となり、陸地を離れる。 クジラの背にでも乗っているのか しぶき…

その人は会社の偉い人だった。よくわからないが偉そうな人だった。ある日、飲み会があった。その偉い人と途中まで一緒にタクシーで帰った。自宅の方向が同じだったのだ。なかなか会話が弾んだような気がする。翌日、会社のそれほど偉くもない人が問う。「あ…

僕たちは下校するつもりだった。学校の玄関で靴を履こうとしていた。「裏口から出た方がいいかもしれないぞ」一緒にいた部活の先輩が言う。見ると、床下から水があふれ出して 黒いヘビの群のように出口へ向かっている。「なんだなんだ、これは」洪水であろう…

ふくらんだ 女房どのの焼き餅に 亭主 箸の先っぽで穴あけたれば 女房どの すぐさまそれを頬張りて 焦げた金網の上 新たな餅のせて焼くなり 除夜の鐘 自作自演。 Baked Rice CakeBaked rice cake swelled By the jealousy of his wife If her husband made a …

どうやらここはコンビニのようなのだ。なぜなら、その証拠または解説のようにコンビニにあるような雑貨がコンビニ風に陳列されている。そして、僕はこの店のアルバイト店員であるらしい。そんな服装をしているし、そんな気分である。ただし、店内を見渡して…

僕の両親はどちらも養子だった。母方の遠い親戚にあたるそうだが明治生まれの義理の祖母は耳の遠い人だった。幼い僕が大声で怒鳴っても聞こえない。どうしても伝えなければならないことがあるのに いくら説明してもわかってくれないので そのうち僕が泣いて…

そんなのどうでもいいって。それ以前の問題だよ。手近な片づけやすいところから取り組むから 難しい肝心なところが残ってしまう。まずは見極めること。根本とか全体とか本質とか可能性とか。技術的、表現的な華やかさなんか 二の次、三の次だね。 自作自演。…

花が好きだったね、パンジーとか百合とかヒナゲシとか。僕も好きだから、いつでも咲かせておくよ。果物が好きだったね、ブドウとか梨とかリンゴとか。僕も好きだから、いつでも置いておくよ。お酒が好きだったね、ビールとかワインとか日本酒とか。僕はあん…

大切なことは、すぐ目の前にある。日々刻々のちょっとした工夫の積み重ね。わずかな修正、さりげない改善の繰り返し。すべきこと、重要なことをやる。余計なこと、どうでもいいことはしない。できること、続けられることをやる。できないこと、続けられない…

愛し 恋しは あのねのね どうにもならない ことなのね どんなに秘めても ばればれね 溢れ出ちゃうの ほらほらね 「ゆっくり生きる」はるさんが動画にしてくださった！元「koebu」月之兎さんが歌ってくださった！元「koebu」ﾀﾏﾈｷﾞおにおんさんが演じてくださ…

僕たちは水槽の中にいる。水槽は水族館の中にある。天敵はいない。空腹になることも滅多にない。僕たちは泳いだり這ったり 眠ったりする。今日を心配する必要はない。明日を夢見ることもない。僕たちの世界は閉じている。永遠のように閉じている。 元「koebu…

だめだめ。そんなの無駄さ。そんなことしても、なんにもならないよ。まったくどうにもならない。なにしろ、僕たちはもう終わっているんだから。そう。とっくの昔に終わっている。この先はない。なんだって？ いつ始まったのかって？ はっ、とんでもない。ま…

おぼろ月 ゆらゆら川面に ゆれまする。暗い細道 よどんだ川と添い寝して うねうねと 生臭くも 曲がりおる。 こちらへどなたか いらっしゃる。にやにや 耳まで裂けた そのお口。会ったが不運 巷で噂の 口裂け女。けっして 目を合わせちゃ なりません。ぎりぎ…

生活の理想は自給自足だと思う。周囲に依存せず、自立する。必需品をすべて自分で用意できれば心配はない。衣食住に限らず、学習や娯楽などもそう。しかしながら、現実には難しい。どうしても周囲から助けてもらわねばならなくなる。その場合の理想は give &…