Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

朗読の授業

大きな教室。 教師と生徒全員による朗読が始まった。 最初は素直に教科書の文字を目で追いながら。 だが、そのうち気づく。 周囲の朗読を聴きながら ほぼ同時にちゃんと発声できることに。 それで、文字を目で追わなくなった。 坊主の真似して念仏を唱えるよ…

最強位決定戦

旅館で合宿しているような気分。 女の子たちがパジャマ姿ではしゃいでいる。 じつはサッカーを連想させるボードゲームの 最強位決定戦の会場なのだった。 あまりにも乱雑な有様だったから おれは散らかった部屋の片づけを始める。 れっきとした挑戦者なのに…

古本市

作業が終わらないので帰れない。 土曜日だから午前中で授業は終わりなのに。 あるグループも残業を続けている。 気になる女子もいるが、疲れているので喜べない。 やっと終わって屋外へ出る。 校舎だとばかり思っていたのは住宅だった。 玄関の近くに分厚い…

今わの苦痛

死ぬこと自体、それほど怖いとは思わない。 今わの際の苦痛が怖いくらいだ。 むしろ、耐え難い苦痛ありながら いつまでも死ねない方が、よっぽど怖い。 Pain at Death I don't think dying is so scary. I'm scared of the pain of death. Rather, it's more…

ある工業製品

それは、ある形状と機能を有する工業製品。 男女間の愛情がテーマなのだとか。 決してハート型ではない。 単体でもなく、平面的に配置することもできる。 表面の色にしても、最低でも2色はある。 それを使うことにより、人は心を開く。 それを抱(いだ)き、…

やばい薬

古書店街を歩いていた。 ある書店の軒下で男が料理していた。 かつて焼き鳥屋をやっていた知り合いだった。 デリヘル経営に失敗して夜逃げしたはず。 こんなところで働いていたのか。 声をかけたら「あっ、こりゃ、どうも」 どうやら、おれを思い出せない様…

湖で泳ぐ

さっきまで湖畔にいたはず。 なのに、もう膝まで水につかっていた。 スクール水着の少女たちが浅瀬を歩いている。 それを伴走するように一頭のイルカ泳ぐ。 楽しそうだ。 おれも移動しながら泳ぎ始める。 左右の腕を交互にかく平泳ぎみたいな 優雅な感じの古…

不法侵入

真夜中、ビルの廊下を歩いている。 じつは不法侵入。 ただし、泥棒するつもりはない。 途中、夜間パトロールする学生アルバイトの 警備員二人組と出会う。 「ご苦労様です」 「どうもです」 何事もない。 研究者の白衣を着ているからだ。 ここは、ある会社の…

凝りをほぐす

あくび、背伸び、深呼吸。どれも、なかなか心地よい。からだの凝りがほぐれるからだ。滞った血流が回復する。座り続けていたら立ち上がる。腰を入れたり、四股を踏む。心地よさとは、凝りがほぐれること。悪い姿勢や状態が改まること。人間関係や文章におい…

ブートー

「カードを貸してくれんか」 社長から頼まれた。 会社経営が苦しいのだろう。 ずいぶん世話になったので断れない。 「いいですよ」 100万円くらいまでなら仕方ないか。 財布を開いてクレジットカードを手渡す。 「どうぞ」「すまんな」 財布の中に折りたたん…

気づきなさい

脱力してください。 落ち着いてください。 まず、あなたがすべきことは 気づくことです。 振り返ってごらんなさい。 あたりを見まわしてごらんなさい。 気づきませんか? あなたがいる場所の位置、 周囲の温度、風向き、時代の流れ。 考える前に、悩む前に、…

切り上げよう

すべてを見るまでもない。 すべてを聞くまでもない。 すべてを読むまでもない。 すべてを知るまでもない。 すべてを考えるまでもない。 すべてを伝えるまでもない。 そもそも、そんなことできないし。 疲れるだけさ。 適当なとこで切り上げよう。 「note」ya…

夢は最強

夢は自由だ。 理性はない。 自然法則に支配されない。 論理も常識も通用しない。 親がなにさ。 社会がなにさ。 倫理も法律も関係ない。 値段も評判も気にしない。 現実なんざ糞くらえ! Dreams Are the Strongest Dreams are free. There is no reason. Not …

シリウス

おいら、おめめが悪いけど 冬の夜の南天の シリウスだけは見えるのさ。洗濯しての風呂上り、 南向きのベランダで 干し物してるとふと気づく。まっ正面じゃ見えないけれど 横というか斜めからなら はっきり見える星がある。きっとあれが有名な もっとも明るい…

おいおい

おいおい。 挨拶なんざ省略しろよ。 無視すんのも悪いから、返事せにゃならんだろ。 おいおい。 天気の話はやめろ。 個人的なおまえの話も興味ない。 おいおい。 説明なんか始めんな。 立場上、理解せぬわけにもいかんだろ。 おいおい。 なんでまた、悪あが…

なにやら会合

Aさん宅で会合があった。 老人ばかり5人集まり、打ち合わせ。 まず甘い洋菓子が出た。 それから何かが出て、最後にソバが出た。 腹はふくれたものの、議題は片づかない。 食べ過ぎて気持ち悪くなる者もいた。 「やはり、最初に甘い菓子はいかんな」 Aさんは…

まったく尾翼

大空を飛行中である。 ゼロ戦よりやや大きい飛行機に乗って。 しかも、尾翼を背に機体の上に立って。 風圧はほとんど感じない。 また、それを不思議とも思わない。 なぜか高所における恐怖もなし。 これは大地が視界に入ってないためか。 後方より友軍機が一…

黒い健診

総合病院にて定期健診を受けようとしている。 通路に黒い服がたくさん干してあった。 なじみの医者が指示。 「まず、これに着替えてくださいね」 それから控室に入る。 前回と同じメンバーが6人ほど集まっていた。 「やあ、久しぶり」 黒い服を着た懐かしい…

黒い俯瞰図

ここに俯瞰図(ふかんず)がある。 ある区画が黒く塗りつぶされている。 都内において都民の大移動が行われるという。 黒い制服を着た若者ら千人ほどが決起するそうだ。 彼らの動向に合わせ、その数倍の人員が動く。 予想する者、追尾する者、邪魔する者。 …

座り続けるな

悪い習慣さえ続けなければ 人はおおむね健康でいられるものだ。 足腰が弱くなると、座る時間が長くなる。 硬いイスに座り続けると、血行が悪くなる。 それで、ますます足腰が弱くなる。 結局、さらに座る時間が長くなってしまう。 典型的な悪循環。 良いイス…

パンスト歌劇団

両手にパンストを持って前に差し出す。 みたいな行動を集団でやっている。 おれの場合は、男だからモモヒキ。 他は女子ばかりなので、パンストだ。 なんだか歌劇団の団員が演舞してる感じ。 指導者らしき女がしきりにダメ出しをする。 「あんた、姿勢がなっ…

ダンス猫

ここはダンス教室。 四方がガラス張りになっている。 その外側にもガラス戸がある。 部屋の中に箱のような部屋がある感じ。 まるで二重構造の温室のよう。 その中で女の子たちが踊っている。 外側のガラス戸は開いている。 今、そこから飼い猫が一匹、入って…

邪魔する女

共同トイレで用を足していた。 すると、邪魔が入った。 背後から尻を押され、女の声がする。 「ほれほれほれ」 「おい。やめろ」 「へへへ。やめないよ」 人の弱みにつけ込むとは卑怯なり。 誰か特定できないが、困ったものだ。 A Woman in the Way I was pi…

筐体として

筐体(きょうたい)としての私がいる。 毎日、日光に当たる。 毎日、発酵食品を食べる。 砂糖やアルコールは控える。 できるだけ添加物を摂らない。 なるべく洗剤は使わない。 なるべく冷暖房に頼らない。 入浴しながら洗濯をする。 疲れたら休み、長く続け…

共同生活

兄弟で昔の実家にいる。 かつて兄の部屋を今、自分が使い、 かつて自分の部屋を今、兄が使っている。 兄の書きかけの原稿がチラリと見えた。 兄の知人が訪れ、その原稿を読んでいる。 恥ずかしい内容でなければ良いが、と思う。 暖房を入れたようで、やや蒸…

本田さん

ライバル関係にある4人の男が集まった。 そして共通の知人についての話題で盛り上がる。 「いやあ、本田さんと妙に気があっちゃてね」 その道の第一人者である男が嬉しそうに言う。 改めてよく見ると 彼の風貌(ふうぼう)は本田さんに似ていなくもない。 …

ショルダーバッグ

街をひとり歩いていた。 若い外国人女性がカタコトで話しかけてきた。 「アナタ、ワタシの曲、買いませんか?」 ウォークマンのようなプレイヤーを手渡される。 好奇心に負け、イヤホンで聴いてみた。 音量不足なせいか、ピンと来るものがない。 「この曲、…

医者の実験

野心ある若き医者が妻に提案する。 微電流が流れる特性スティックを使い 夜の夫婦生活を充実させようではないか。 妻も興味しんしん、受け入れる。 そして、予想以上に成果あった様子。 しかし、どうも回数が過ぎるようだ。 医者の顔色は悪くなるばかり。 友…

布団と座椅子

数人の仲間と街にいる。 駅のない駅前広場みたいな場所。 おれは、布団を2枚たたんで重ねた上に さらに座椅子を載せて座っている。 座り心地よく、大変らくちんである。 だが、これでいいのかという気持ちもある。 仲間の移動に合わせ、移動することになっ…