Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

表彰式の日

胸騒ぎして窓辺の部屋へ入ってみると 自宅の前に人だかりができている。近所のおばさん連中がこちらを見上げている。(ああ、そうか。今日は表彰式の日だっけ)なんとなく思い出す。あいにく内容までは思い出せないけれど ちょっとばかり偉そうなことをしで…

タッグマッチ

三人でチームを組んで格闘を生業(なりわい)としている。今日も興業があった。最初の試合は楽に勝つことができた。あまりにも楽だったので内容を憶えていない。続いて、おかっぱ頭の女三人組との試合。ちょっと小太りだが、あまり強そうに見えない。女の一…

始めなければ

ああ ああ 私には わからない 物語が こんなふうに 始まって どんなふうに 終わるのか 予定調和に 夢はない きれい事は 汚れを 生む いい子 いい子に なりたくない とってつけた やさしさなんざ すぐとれる まる まる 花丸 欲しくない できれば 避けたい よ…

パーティへの招待

会ったこともない女性からメールがあった。かつて勤めていた会社の近くの店でパーティするから できれば来てもらえると嬉しいな、とのこと。「よくわからない外国の歌を独唱しなさいとママに言われて 困るくらい大変なんだけど頑張るわ」みたいなコメント。…

だめになる

わたしはもうすぐ だめになる あちらがいたみ こちらがいたみ これがうごかず あれもまた だんだん だんだん だめになる それはさだめで ありましょう きまっているので ございましょう いやだ いやだと なげいても どうにも こうにも なりません どうせいつ…

こし方ゆく末

次代を担(にな)うであろう若者がカードを集めている。カードに記(しる)されし言葉の意味は理解できるものの そのカードが有する交換価値はわからない。所詮(しょせん)、言葉は名札に過ぎない。実体は別のところにある。若者を見守る老人たちに綻(ほこ…

インタビュー

ある分野において若くして頂点を極めた人物が 折りたたみイスに腰かけ、かしこまっている。ここは農道の端っこにあるテーブル席なので マラソン大会とかの実況中継基地かもしれない。ほとんど少年のような印象を発散させる彼は 恥ずかしそうにインタビューに…

井戸掘り

老いたれど大御所の芸人が井戸を掘ろうとしている。実際には井戸ではないのかもしれないが ともかく近所の地面に穴を掘って何事かなさんとする。その前に、家の中での粗暴なふるまいからして近頃どうも怒りっぽくなっているような気がする。芸人は地面の凹み…

尿意のオフィス

経理と総務が一緒になったような小さなオフィス。こんなところで放尿しようとしている。なにしろトイレが見当たらないのだ。他に社員がいるかもしれないが パネルに隠れているから気づかれまい。さて、それでは・・・・ ところが、不意に名前を呼ばれた。声から…

ふたつの青い星

絵の具のような単色の青い空。そこに大きな青い星が浮かんでいる。背景と同色だが、白っぽく見える部分があり ああ、あれは水の波の輝きなんだな、などと思う。その右隣に小さな青い星も見える。こちらも白い部分があるから区別できる。ただし、その白い部分…

ブロンズ像

ある少年が学校を卒業する。ある競技の優秀な選手だったが 在学中の大会では十分な結果を残せなかった。そのため、ブロンズ像を受け取れない。この学校では、毎年ではないがごく優秀な卒業生にブロンズ像が授与されるすでに卒業した先輩が忠告する。「次があ…

相談しながら

異なる才能を持つ癖ある人たちと相談しながら いわゆる作品なるものを制作している。音声や映像を切り貼りしながら編集するので ジャンルとしては動画に近いようだ。ただし、ときおり「そこのパートは星読みにお伺いをたてないと」などという古くさい意見が…

紫のハエ

昨日は深夜まで残業だった。早朝出勤すると、すでに働いている。どうやら徹夜で働いた従業員もいるらしい。職場の同僚と会社に批判的な会話していて 「どうせ」と言いながら振り向くと、工場長。「どうせ、とはなんだ?」と詰め寄られ とっさに胡麻化さねば…

トイレでシャワー

学校の共同トイレだろうか、広いスペース。出入り口がいくつもあり、まるで廊下のよう。並んだ狭い個室のひとつに入る。洋式の便座に腰かける。おもむろに服を脱いでシャワーを使い始める。シャワー設備があることに違和感はない。だたし、トイレでシャワー…

打ち出の小槌

思うんだけどさ みんな、贅沢し過ぎだよ。お金ないって言うけどさ そりゃ、そんなに散財してたら当然だよ。うまいもん喰って、いいもん買って 結婚したり、出産したりしてさ 基本的人権だかなんだか知らんけどなんでもかんでもやりたいようにやって それから…

富士の高嶺

ここは学生寮みたいな下宿の一室。子どもっぽく見える後輩たちと一緒。「いやあ、先輩はすごいっすよ」なにやら賛美されているような気配。「そんなことないよ、富士の高嶺」謙遜しながらも、受けを狙う。みんな、期待どおりに笑ってくれた。宴会の最中だっ…

古着の扱い

連結する機械の要素がいくつかある。ほぼ同じ大きさと形のブロック。なので、レンガのように並べて配置できる。ひとつの受信面があり、そこから入力した情報は内部で加工され、別の送信面から出力される。それらを組み合わせ、さらに連結させることによって …

定期購読

舗装道路に寝ている。近くには雑貨屋がある。そこで働くアルバイトの姉ちゃんが曜日に合わせて週刊誌を枕もとに置いてゆく。ただし、枕を使っている実感はない。もっとも、使っていないと頭が痛いはずだ。今日は月曜日。なにやらサンデーとかいう青年向け雑…

平行四辺形の謎

年の離れた三人の兄弟が登場する。しかも、それぞれ腹違いの、という設定。年月を経て互いに疎遠となってしまったが ある日、ある事件が発生する。次男が暴漢に襲われた時、説明しにくいが 見えない平行四辺形の枠組みが彼を救った。 透明な平行四辺形の機械…

土下座

地下鉄の出口みたいなところから大通りへ出て 大きなビルの駐車場入口みたいなところに立つ。なにやらチームを組んだ企業戦士の気分。部下が用意した段取りに従って行動している。「ここで、ターゲットのクルマに土下座します」ふたりの部下のうちのひとりが…

猿の腰ミノ

再就職した会社の上司であるところの青年が このたび生徒会長に立候補するという。彼は立派な設計図なんぞ引いて 新しい備品を提案したりもしているらしい。おやおや、頑張っているんだね。息子世代の同僚の青少年から話を聞いて感心する。学校でもないのに…

電子ネズミの街

人脈のツテみたいなので就職したのだ。それも先輩たちと一緒にゲームセンターに。有名な電気街の大きなビルの中にある。そのせいか、電子機器で作動する各種装置がいくつも天井からつり下がっている。そのひとつ、錯覚を応用したミラーボールなどは 手で触れ…

タヌキのしりとり

「タヌキ」「キツネ」「ねこ」「こいぬ」「・・・・ぬー」 歌ってみた。Tanuki Shiritori"Tanuki""Kitune""Neko""Koinu""... Nuuu"

チャンネル切り替え

住宅の居間らしき広い部屋の中。なんとなくテレビを観ている。サングラスの大物タレントが半国営テレビで バラエティ番組の司会をしていた。司会者が年寄なら、他の出演者も老人ばかり。ははあ、高齢者向け番組だな。グループごとに相談して問題を解決しよう…

そう思う

そう思うから、そう思う。そう思わないなら、そう思わない。そう思わない相手に「そう思え」と命じても 「そう思えと命じられた」と思うだけ。まず、そう思ってはくれない。そう思わない相手をそう思わせたいなら そう思わせる目に合わせること。思い知らせ…

青い海のヒョウ

夕暮れの気配漂う通りを歩いて 川岸のようでもある海辺を見下ろしている。白い砂浜を小さな島のように残して 青い海水がひたひたと足もとまで浸水している。海水は藍色で、白い砂の近くだけが青い。まるで合成着色料のよう。ベランダ風の桟橋みたいなところ…

仮想テスト

試験でも受けているのか、目の前にテスト用紙がある。ただし、あえて書くまでもない。分身としてのミニチュアの自己が紙面に投影されるので 設問に対応するであろう適切な行動をとればよい。なるほど、これが人工知能研究の成果というものか。夢と現実を隔て…

記事を書く

ある日、いつものように記事を書いて 自分のブログへ投稿したのだ。そしたら、さる閲覧者よりコメントがあった。「文章の書き方の参考にしたいので教えてください」それで、記事を修正することにした。世間に広く知られた名文、たとえばマラソン選手だった円…