Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

恋の催眠術

恋は不思議な 催眠術 好きな相手に そっと掛ける 互いに掛け合えたら しめたもの ずっと覚めぬ事 ただ願うのみ「ゆっくり生きる」haruさんが動画にしてくださった!元「koebu」yayaさんが演じてくださった!Love HypnotismLove is a mysterious hypnotismCom…

免罪の鏡

その鏡を見ると罪が許される、と言う。これまでのすべての罪が許される、と。そんな免罪の鏡を手に入れた。でも、自分で見るのは怖い。まず死刑囚に見せることにした。選ばれたのは極悪非道の人非人。暴行、詐欺、強盗、誘拐、殺人、テロ、悪いことならなん…

心残り

水たまりは 昨夜の雨の 心残り 流せぬ想い 映します「ゆっくり生きる」haruさんが動画にしてくださった!元「koebu」田辺千鶴さんが歌ってくださった!RegretThe puddle is a regret of rain last nightIt reflects my empty thoughts

古い鉱山

古い鉱山を掘っている。廃坑の噂もあるが、とんでもない。そこそこ貴重品が出てくるのだからまだまだ見捨てるのは惜しい。幽霊の先祖らしき化石だとか先史時代のタイムカプセルだとかダイヤモンドより硬い豆腐の角だとかとにかくなんでもありだ。もう落盤な…

かもしれない

あなたであったかもしれない私拉致監禁暴行致死死体遺棄事件の被害者であったかもしれない私 あなたであったかもしれない私拉致監禁暴行致死死体遺棄事件の加害者であったかもしれない私 私であるかもしれないあなた拉致監禁暴行致死死体遺棄事件の記事を読…

思い出の道

つづら折れの坂道を上ると そこは深い山の中。セミや鳥が鳴き騒ぐ。木々が肩組み、立ち並ぶ。空は青く、葉は緑。雲は横に、樹皮は縦。やがて坂道はゆるやかに とぐろを巻き始め 目がまわる頃、山頂に着く。そこは空の上。道は下へと続く。ただし、その道 今…

楽しいピクニック

ピクとニックが出かけたよ バスとケットを従えて 空は青空 白い雲 お帽子かぶって 水筒ゆれて 野越え 川越え 林越え 大きな切り株 見いつけた バスとケット 手を組めば サンドとイッチ 跳び出すの ララララ ラララ ラララララ ピクとニックは 楽しいな元「ko…

アイスクリーム

僕の恋人 アイスクリーム家に帰ったら カバン放り投げ フリーザーから取り出し フタをむしって スプーン突き刺すひんやり甘くて 切ない喉越し そのうち額が痛くなる自作自演。 Ice CreamMy lover Ice cream When I got home I threw my bag Took her out of …

ひとりぼっちの渚

波に乗る猿ではない。虎に従う狐でもない。ひとりぼっちの渚で誰も聴いてくれない下手なギターを爪弾いたり 誰も眺めてくれない砂の城をこしらえたり 誰も読んでくれない手紙入りボトルを流したり そんな事をするだけのなんだかよくわからない変な こいつ。 …

さすらい

昨日の夢は忘れ 明日の道は見えない。 「風よ 風 教えておくれ」ただ 今日の風に吹かれ 落葉さながら さすらうばかりなり。「ゆっくり生きる」はるさんが動画にしてくださった!(「風よ 風 教えておくれ」の追加部分、はるさんのアレンジより) 元「koebu」…

森のボート

短大を卒業したばかりの仲良し三人娘。列車に乗り、バスに揺られ、旅館に泊まり そこから歩いて山奥までやってきた。「やっぱり空気がうまいね」「さっきの清水もおいしいしかった」「もう最高!」元気いっぱいである。「でも、なんか出てきそうね」「あっ、…

いざ逝かん

荷物なく ひとりっきりで いざ逝かん あるやなしやの 薄明の地へそこに痛みなく 苦しみもなく 悩み 消え 迷い 解け 安らかなる地平 ただ広がるばかりいざ逝かん 恐れることなかりせば 心 静かに 願い かすかに自作自演。 Let's DieWithout luggageAloneLet's…

流木

流木がある。流木には色があり 形がある。現在があり 過去があり おそらく未来はない。その朽ち果てた姿を嘆く者もいれば 完結した生涯の美しさを愛でる者もいる。流木を集めて 浜で焚火をすれば どんな形の炎が踊り どんな色の煙が昇るのか 黙ってすわって …

約束の地

溝員電車を降りてから満員バスに乗った。途中、改札口やバス停があったはずだがなぜか記憶に残っていない。どちらの乗り物でも薄着の美女たちに挟まれて得した気分になった事だけは憶えている。気がつくとバスは満員でなくなっていた。「次は『七曲がり入口…

弓の名人

ある山に猟師がいた。弓の名人であった。狙った獲物は逃さない。どんなに高く飛ぶ鳥であろうと どんなに速く駆ける獣であろうと。畜生どもには伝わるらしい。猟師が狙えば鳥は落ちてくる。猟師が射る前に獣は倒れてしまう。弓矢などいらないのだった。ある日…

夜の銃声

寝静まった夜の町をひとり歩いていると少しずつ不安になってくる。大人だから幽霊なんぞ怖くない。野良犬が寄ってきて、死んだ親父の顔で「おまえ、あっちへ行け!」と怒鳴ったらそれはそれで怖いものがあるだろうが、そんなことは絶対に起こるはずがない。そ…

らせんの続き

らせん階段をのぼっている。ぐるぐる目がまわってげろげろ吐き気がしてくる。それでも、いつしか階段は終わる。そこにある扉を開く。塔の最上階、光がまぷしい。ベランダから眺める村の風景。山と森と川、風車と牧場と教会。おどおど見下ろせばぐらぐらめま…

理想の鏡

どこか誰も知らないところに理想の鏡があるという。理想の鏡はふたつあり、「異性の鏡」と「同性の鏡」があるという。「異性の鏡」の前に立てば、異性の姿が映る。あなた自身のはずなのに、なぜか異性の姿。しかも、あなたにとって理想の異性。あなたは鏡に…

けだるさのこもれる

けだるくて何もする気になれない。起きたくない。外に出たくない。本も読みたくない。夢だって見たくない。そう言えば食欲もないな。最後に食べたのはどれくらい前だっけ? 去年の夏からまったく食べてない気がする。すると、常識的に考えて生きていられるは…

メイドのくせに女王様

ご主人様の命令で あなたに汚(きたな)い言葉を使います。ひざまずいて 私の靴を お舐(な)め ! このブタ野郎 !! 元「koebu」目玉さんが演じてくださった! 夕弥さんが演じてくださった! yayaさんが音響編集!Maid but QueenIn my command of my master, I wi…

風の祭り

風の横笛 吹く夜は 雷太鼓も 鳴りまする ピーヒャラ ドンドコ ピーヒャララ 風の祭りの 笛太鼓 時には鐘も 鳴りまする ピーヒャラ ドンドコ ガラガラドン「ゆっくり生きる」haruさんが動画にしてくださった!元「koebu」田辺千鶴さんが演じてくださった!Win…

待つわ

印象のない街角で待っていた通り過ぎてゆく顔のない人々誰もかれもさびしそうに見える手首にすがるように立ち去る針をなくした腕時計たち嬉しくも哀しくもない思い出話しかけたりしないで欲しい待っているだけなのだからいつまでもいつまでもずっとこうして…

なんでもないです

難しいことを易しく言えない人は易しいことまで難しく言う。もし今、恋愛したい気分ならただ退屈しているだけなのかもね。いかにも冒険らしい冒険ほど冒険していない冒険もない、と思う。幽霊が現れたら怖そうだけどむしろ現れないから怖いのでは。だからな…

腐った恋の物語

曲がりくねった地層の夕焼け 断崖に建てる朽ちた十字架 病気の蟹(かに)は泡を吹きながら 難破船の帆を切り刻んでいる なにが蟹を駆り立てるのか 帆にもマストにもわからない 渚の貴婦人が貝の胸をはだけ 海牛(ウミウシ)の素足でそっと歩み寄る そのまわりに…

揺れる小舟

霧に煙る湖面に小舟 ゆらりろ ゆらりら ゆれ ゆれて おぼろ月ふたつ 櫓(ろ)はひとつ ゆれるや小舟 寄る辺(べ)なく濡れたなら 絹の衣(ころも)は肌の色 ぬらりろ ぬらりら ぬれ ぬれて 波紋は乱れし 蛾(が)の鱗紛(りんぷん) 笛吹くな 竜神様が顔を出す「ゆっく…

若い男

おれは歩き続けていた。やっと自動販売機が見つかった。そのすぐ横に若い男がひとり立っていた。黒いサングラスをかけ、その口もとに不愉快な薄笑いを浮かべている。おれは自販機にコインを入れるのをやめ おもむろに男を殴り倒してやった。そいつは地面にひ…

乙女の落ちる

落葉よ 落葉 踏まれて つぶれて 土のよう 誰が踏んだ みんなが踏んだ 雪が降ったら 冷たかろう乙女よ 乙女 爪を噛んでは いけません 舐めてごらん 指がとける 蜂蜜かけたら 甘かろう乙女は 落葉 枝から離れて 風まかせ 落ちてみたい 落ちたくない 虫に食われ…

闇女

これは、私の友人の話。その友人が暗い部屋にひとりでいる。すると、音もなく女が部屋に侵入してくる。普通の女ではない。扉は閉まったままなのだ。友人は、この女を闇女と呼んでいた。闇に潜んでいると考えたのだ。闇女は長椅子に横たわる友人を見下ろす。…

喪服

皆は僕に喪服を着せた。そのまま僕は家を出た。僕は外で待っていた。日が暮れても待っていた。誰か見た人、いませんか。僕の父さん、どこですか。元「koebu」宏美(ろみりん)さんが演じてくださった! Mourning Everyone put on mourning to me. I left the…