Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

たわごと

なんだか、ほれ、酔っぱらってんだな、これが。ベルギーだったか、フランスはパリだったか 「飾り窓」と呼ぶのかな、娼館みたいなのがあって これがつまり、歴史的重要建造物なのだそうだ。よくわからんが、そこを訪れたわけだ、ひとりで。そしたら、安っぽ…

印象剝離

鮮明な映像、筋立てのしっかりした物語。これは面白いと期待していたら、突然のように切れた。障子の紙が剝がれ落ちるように映像が遮断された。聴こえなかったものの切断音がしても当然なくらいに。物語の内容も具体的に思い出せない。少なくとも二人以上の…

将棋の研究

趣味の合宿であろうか。若者らが集って将棋を指している。ただし試合ではなく、研究会のようだ。将棋盤を囲んで議論している。私も参加者だが、場の流れについていけない。「いやあ、考え続けられなくなったよ」早々に盤を離れ、弱音を吐く。ひとり格段に強…

なべて夢の中

「夢から覚めた」などと申しますが じつはまだ覚めていないと思うのですよ。夢は大きなシャボン玉のようなもの。我々はその中、膜の内側にいるのです。透き通った膜ゆえ、普段は気づきませんが 眠ると不透明なスクリーンになるのです。この黒いスクリーンに…

水使い

公園の広場にやってきた。知り合いの男がいた。彼は水使いだ。指先から水鉄砲みたく水が出る。その向こうにも知り合いのおっさんの姿。あれがターゲットのようだ。どうなるのかと期待しつつ眺めていたら さらに知り合いの女の子たちの姿を見つけた。昔の会社…

接触不安

目を閉じて考えながら歩いていた。ふと、左手親指の付け根あたり 人食い人種が好むといわれる部位に感触があった。低い位置なので子どもの顔であろうか。目の近くの頬と接触して、くっついたまま 皮膚を肉または骨からはがしかけた感じ。「ああ、すみません…

水色のタイルの部屋

浴槽のない銭湯のような部屋。水色のタイルが壁から床まで敷き詰められている。確認しなかったが、おそらく天井も同様だろう。出入り口のドアはあるが、窓はない。トイレのような気もする。そのせいか、小便したくなってきた。または、そのために入ったので…

宿屋の騒動

飲み屋または宿屋か、広い部屋。宴会の終わった宴会場のようでもある。知人らしき数人と一緒にいる。修学旅行または同窓会を連想させる。ある大柄な男が紅一点の小柄な女を襲い 冗談から始まったかのように抱こうとしている。そのうち本気になり、女は裸にさ…

折れそうな床板

試合開始の予定時刻になったが 陰の存在である彼は立ち会うことができない。違反者が出ないよう監視せねばならない立場だが 性格からして、そんなことはできそうもない。それで、試合会場の周囲をギターを弾きながら 時にはチェロのように持ち替えながら歩く…

メモの羅列

ヒロインが語っている。セリフの内容については不明。ただし、演技については申し分ない。声の調子だけが意味をなす。それ以上については真実に迫れない。わからなければ、わからないままにしておく。無理にわかろうとするから誤りを犯す。考えようとするか…

ジョーカーの札

変な本を読んで寝たせいか 近所の住民が窓の外で噂話をしている。「ホント、冗談みたいね」「すぐ暗殺されるに決まってるわよ」これから始まる集会に出席するらしい。定刻に近くなったので、入場させる。私は主催者側の人間のようだ。奥にある座敷の大広間が…

監督の思惑

おれは映画監督のような立場にあるらしい。おれの目の前をセクシーな若い黒人女性がぎこちなく不自然に歩いている。いかにもモデルですよ、と言わんばかりの歩き方。どうも気にいらない。あえてそういう演出なのかもしれんが このシーンだけ切り抜いて眺める…

剣道違い

市民体育館の中であろう。床の上に正座した剣道着姿の男女が数名。性格の良さそうな若い男が挨拶している。「このたび私の姓がこれまでのなにがしから 別のなにがしに変わりましたので、よろしく」それに対して同年代であろう女が問う。「結婚したから変わっ…

削除された家

窓から裏庭に人の姿が見えた。集団清掃の日なのに寝すごしてしまったか。いや。今日は日曜日ではないはず。ではなんだろう。テーブルまで並べられ、まるで集会のようだ。しかし、まだ定期総会の時期でもないはず。頼りになる女の人が指示を出している。申し…

おつり

そこは牛丼屋のようである。ただし、牛丼を食べた記憶はない。ともかく店を出るために会計を済ませようと レジ前の店員に千円札を差し出す。考えてみれば、この札の肖像画が誰か その印象すら残っていない。店員の男からレシートともクーポン券とも なんとも…

ばち当たり

坊やはとってもいたずら者で おかしな薬 飲ませたり へんてこな服 着させたり いつも どこでも するすると 大人たちをからかうの。だけど あんまり 坊やの悪さがひどいので ある日 とうとう ばちが当たって オットセイになっちゃった。アウ アウ アウ yayaさ…

制作の極意

いかにもそれらしい物音と天気予報の記憶からして 家の外に雨が降っていることは気づいていた。傘を差しているかいないか、一向にかまわず なぜか濡れることなく屋外にたたずんでいた。ふと「制作の極意」なる思想が浮かんだ。雨を降らす灰色の雲のようなア…

届いたそれ

知人の誰かからのプレゼントだろうか。 届いたそれはデスククリーナーみたいなものだった。シューズクリーナーかもしれない。あるいは料理用のかくはん機だろうか。差し替えできるブラシのようなものが回転して 洗ったり磨いたりこねたりできるらしい。ボデ…

歌う自転車乗り

その男はやってくる。自転車に乗ってやってくる。演歌であるか、民謡であるか ともかく大きな声で歌いながら。私は彼を呼び止めた。「ちょっと尋ねたいことがあるんだがね」「はい、なんでしょう?」素直というか、いかにも性格が良さそう。「君がこう歌って…

解脱の方法

自分がいる。自分はここにいる。そう意識するのはあなたの意識。この意識をあなたから離してみたい。いわゆる解脱である。解脱の試み。さて、まず目を閉じる。自分の手足が見えなくなる分だけでも いくらか肉体への意識が減る。心身ともにリラックスさせる。…

近所の奥さん

どこぞに芸能界の大御所がいるそうだ。それは自分かもしれない。船に乗ってるような気配もある。部屋は揺れてないので、おそらく勘違いだろう。問題は出入り口のドアが施錠できないこと。近所の奥さんに以前より頼んであるが いつまで待っても鍵が届かない。…

迷子の達人

電車に乗ったりクルマやバスに乗ったりして 寝たり起きたりしながら旅をしていた。途中、知り合いに会えたので、尋ねてみた。「一緒に連れてってもらったあそこは あんな町名だったけど、どこだったっけ?」知り合いは有名な島の名前を言う。確かに、あの島…

大きな図鑑

ある協力会社から図鑑をもらったのだ。しかも、身長の半分ほども大きいのを。そこはアイドル写真集やアダルトDVDなんかを 編集して販売している出版社らしい。まだよく確認してないが、その図鑑は おそらく年間カタログのような内容であろう。なぜか自分も男…

崖の道

切り立った崖の中腹、細い道が這っている。フェンスのないバルコニーのよう。そのヘビが這うような危険な道を今 ひとりの少女が通過している。小さな貴婦人のドレス着て、日傘さし シャナリシャナリと優雅に歩いている。ロリコン男を挑発している感じ。可能…

chachaへお祝い

チャッ チャッ チャッ おめでとう! あで姿 花魁狐(おいらんぎつね)の あのchachaが ちゃんと ちゃんと 赤ちゃん産んで お母ちゃんに なっちゃった チャッ チャッ チャッ 信じていたよ おめでとう! 初春の かおりのどけき うぶ声にジンとくるね 鶴が舞う …

脱皮せよ

結局のところ 君たちは 表層の 甘い世界に生きている 見た目カッコイイか カワイイか ただそれだけが 対象評価の判断基準 甘ったれーな 子どものままさ そこから一歩も出ようとしない 本能に 流されてばっかり 根源的で 似たり寄ったり 飽きもせず バリエー…

飾り絵に小便

尿意を覚えた。放尿せにゃならぬ。体育館のような建物の中、奥に水盤がある。そこでことを済まそうと近寄る。いや。しかし、待てよ。あれは手洗い場、または水飲み場であろう。実際、手を洗っている人たちがいるではないか。いやいや、ダメだ。あんなところ…

バックシートダンサー

いやいや、つまらん冗談だよ。おいら、ダンサーでもなんでもなくて ワゴン車のバックシートで寝てるだけさ。ただし、眠ってはいない。運転席には前の会社の社長がいて 彼は飲み過ぎの脳溢血で倒れてしまったはず。会社を道連れにしてね。助手席には同じく先…

録音の仕事

カラオケBOXだろうか。待合室のようでもある。いわく言いがたい場所。モニター画面に向けてマイクを突き出す。 これから録音するつもりでいる。そこへ異国の若い女が現れ、作業を手伝うと言う。そういえば語学研修の話があったな。「おお、そうか。それはあ…

家の鍵

夜中に帰宅することになった。 今の自宅ではなく、田舎の実家である。 だが、玄関の鍵を持ってない。 老母はどこかへ出かけているはず。 学校まで鍵を受け取りに行かねばならない。 なぜかそのように思い込んでいる。 ところが実家に着いてみると ちゃんと家…