Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧

横やり

歩行者天国にてイベントあり。集団でデモみたいに車道を歩いている。そこへ横やりが入る。はっぴ姿の若い衆が割り込んできた。棒と筒を束ねたようなもので野球を始める。ちょっと危険ではなかろうか。そのせいか、主催者側の指示なのかわざと手を抜き、安全…

紙管ゲーム

居間にいる。兄もいる。床板の上に紙管を置く。布テープの使い残りであろう。小さなゴミ箱のように見えなくもない。丸めた紙クズのような小物を片手に持つ。1mほど離れた位置に立つ。腰を屈める。小物を投げる。見事に紙管の中に入った。ちょっと嬉しい。…

希望的観測

じつにつまらない物事がほんのちょっとした工夫で大いなる価値を生み出すみたいな純朴なる希望的観測はそれはそれなかなかに胸おどるものあって無暗に消してはいけないそんな気がする。Wishful ObservationTruly boring things produce great value with jus…

村祭り実行委員

村祭りのようだ。実行委員の人たちと一緒に通りを歩いている。村の行事にはあまり気が乗らない。早く抜け出したい。高台にある神社で散会。皆、それぞれの持ち場へ向かうようだ。一番最後、崖のような狭い坂道を下り始める。見下ろすと、狭い山道を人々が走…

工夫の余地

有理数に対して無理数が存在するように理路整然とした話に対して意味不明な話もその存在を認めてやるべきではなかろうか?少なくとも否定はしない。必要もなく世界を狭めない。工夫の余地、ある限り。Room for ContrivanceShould irrational numbers exist w…

羽音

部屋の仕切りの向こう側、廊下で物音がする。「バタ、バタ、バタ」夕暮れで暗く、ぼんやり見える。大きな蛾が一匹、床の上で暴れていた。手もとに鋏があった。その刃の部分を逆手につかむ。丸い柄の部分で蛾の背中を押す。少し凹んだが、まだ蛾は動いている…

饅頭の集い

饅頭(まんじゅう)の試食会みたいな集(つど)いがあった。趣味の合宿、または町会の趣(おもむき)もある。ともかく参加者全員で饅頭を食べながら講評やら質疑応答など行っている。表面にあるシワを中央に寄せて食べるのがこの饅頭に対する正式な作法のよ…

キーケース

キーケースの中に入っていたのは鍵ではなかった。じつは思い出せない。あるいは空っぽだったのかもしれない。革張りの木製だったか、十字架型。からくり箱のような凝った構造だった。持ち主は働き者の老女。席主である彼女が寄席芸人たちに無理難題。「おま…

角ばった物体

個人経営の零細企業社長として工場にて角ばった物体を製造中。製造ラインの機械の調子が悪い。ベルトコンベアが迷走している。納期に間に合うかどうか、微妙。いつ倒産しても不思議ではない。綱渡り自転車操業の日々である。Angular ObjectI am manufacturin…

アイドル日記帳

飲み会の流れかなんかだろう。知り合いの女子の部屋で寝そべっている。彼女とは親しいけれど、抱き合う関係ではない。その気にもなれない。そこへ別の女子が入ってきた。「おらおら。来てやったぞ」ベッドにうつぶせのおれの上にまたがる。「ほらほら。どう…

水を飲む男

水を飲む男ありけり。水しか飲まないのである。当初は馬鹿にされていたものの次第に大物となれり。我々は立派な家を建てる前にすべきことがある。継続は力なり。地道にコツコツやるべし。「note」yayaさんが演じてくださった!「note」ひよわさんが演じてく…

得意先の社長

得意先の個人経営の社長と電話で見積り交渉中。「うちの単価は560円に抑えて欲しいんだが」「それは無理です。うちの利益が出ません」この社長さんとは6年ほど仕事をした。高齢だから、もう亡くなったかもしれない。あれこれ懐かしい思い出もあるがそれらを…

戯言

狭い道にキチガイ爺じじいがいた。スーパーへの買物の途中だった。「ああ、そうだよ。そのうち領土を盗られるよ」痩せた老人が独り言をつぶやいている。どうやら右翼ヘイトの残党。こういうのは無視するに限る。そいつの横を通り過ぎ、よそ見してたら「キョ…

ゲーム禁断症

視界が白っぽく霞む白内障の兆候があって囲碁ソフトとの対戦は断っているのだけれど夢の中で似たような陣取りゲームをしてしまう。側溝にあるコンクリートの蓋みたいなのをどう置くか、どうつなげるか、独り悩むのだ。なんなんだろうな、あれは。今朝の夢に…

新しい店

会社勤めをしている。同僚たちの噂話が聞こえる。関連会社の雑貨店がオープンしたらしい。そこは日曜に休み、それ以外は24時間営業とのこと。その話題に興味を示すと、若い同僚が請け負う。「近いので、クルマで連れて行ってやるよ」どうなんだろう。買い物…

虫喰いの林檎

おいらは林檎(りんご)。半分ほど腐った林檎。ところどころに虫喰いの穴がある。虫どもが勝手に這いまわるから腹ん中は上野駅の地下みたくスカスカだ。しかも、その多層式ホームは今も工事中。現在進行形で延び続けている。さらに、構造計算の限界を求め日…

輪ゴム牛乳

輪ゴムを使った対戦ゲームの最中である。その肝心な輪ゴムの弾力が弱い。ほんの少ししか進めないのだ。初期設定を誤った気分。これでは勝てない。とりあえず輪ゴムを二重にしよう。それでも弱い気がする。いっそ三重にするか。それでは長さが足りない。困っ…

アリの散策

デパートだろうか。ひときわ高いビルの屋上にいる。もっと高くするために増築中のようだ。周囲を見渡す。この区画には高層ビルが乱立している。なんとも不安になる。こんなに高く築いて大丈夫なのか。構造計算上、高くできるのだろう。だが、できるからする…

基盤の穴

共同住宅の近くで公共工事が始まった。その件で住民から苦情があった。「うちの部屋の基盤に穴があいたんだよ」「基盤て、どこのこと?」「とにかく、見てちょうだいよ」年配の男はびっこを引きながら階下へ向かう。この人は事故で手の指も欠けている。一階…

愛しい形

僕が愛したそれは言うに言われぬ変な形をしていた。石膏細工のしくじりみたいで大きな魚の頭の近くにある軟骨のようでもある。そんなの捨てた方がいいよ、とまわりの人たちは僕に忠告してくれる。生活していく上で不利に働くであろう場合がその形のために想…

ほんの少し前へ

少し 少し ほんの少し 少しずつ 少しずつ ほんの少しずつ ほんの少しでいいから ほんの少しずつでいいから 前へ 前へ 前へ進もう 急ぐことはない 諦める必要はない ほんの少しでいいから ほんの少しずつでいいから 前へ 前へ 前へ進もう 前進 前進 また前進 …

中で待て

部屋の外で女が待っている。ネット上で知り合った彼女は誰かと結婚し、離婚したと聞いている。「部屋の中に入って待ってなよ」「ここでいいです」「まあ、そんなこと言わず。ここは寒いし」手を取り、強引に中に入れてしまう。ノラ猫を拾ったみたいに。そし…

猿の兵士

同盟国の軍隊との間で問題をこじらせている。我が国の兵士がありうべからざる行為に及んだらしい。国家間の機密事項ゆえ詳細は伝えられない。しかも、その兵士は俺の直属の部下。ほとんど猿のような男である。いや。それでは猿に失礼か。ともかく、人格から…

ある割合

成分の何割かが兄みたいな男ありけり。話の流れから、この男と対決することになった。互いに同じような武器を持っている。スキーのストックを組み合わせたような形。合図はなく、向き合った途端に試合開始。その奇妙な武器を打ち合わせ、つば迫り合い。敵の…

限られた範囲

我々はそれぞれ限られた範囲の中にいてその中で考え、理解し、行動するしかない。我々が信じるところの正義や真理にしても限られた範囲の中におけるそれらに過ぎない。範囲が変われば、見方も変わる。範囲が拡がれば、見方も拡がる。だから、見識を固定すべ…

芸術祭

どこぞの村祭りの帰り道、美女を発見。 道端の土手の上、悩ましいポーズで寝そべっている。 一糸まとっていたかどうかという程の裸体。 悩ましく蠢く見事なプロポーション。 カラースプレーで吹き付けたようなドーラン。 白を基調として赤や紫、黄色に緑も。…

部品の物色

産業見本市みたいなところ。 会社の一員として行動している。 売り場のカウンターの上にトレーがある。 その上に製図道具の部品などが散らばっている。 売子に問い合わせてみる。 売り物でなく、不要な中古品らしい。 お1人様1点に限り、持ち帰り自由との…

連結器

電車の連結器があるスペースの中に君がいて フレネルレンズ越しに愛しい顔が見える。 君は悩ましげに唇を突き出したりする。 まるでキスして欲しいかのよう。 それで俺は車両ごと君を抱きしめる。 ああ、この人肌から遥かに遠い冷たさよ。 しかも、君の近く…

省略のゲレンデ

スキー場に到着。 リフトを省略し、すでに山頂にいた。 体調の思わしくない友人が無造作に滑降を始める。 すると、歯止めのきかないゲレンデゆえに 彼は瞬時にゴールとなる低地まで滑落してしまった。 「ここは途中が省略されるから、気をつけて」 同行の女…

そんなもんでねえだでよ

ばから ばから ばからった そんなもんでねえだでよ ああでもねえ こうでもねえ くだらねえったらありゃしねえ おらがどうした ねらがどうした こまけえこたあどうでもええ ああしちゃいかん こうしちゃいかん やっとられんよ さっこんは へい ばから ばから …