Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

同乗タクシー

親しい女とタクシーに同乗している。二次会からの帰宅の途中のようだ。夜の街並みが流れすぎる。一次会の同窓会があった会場近くを通る。「どうする? このまま帰ってもいいけど」「あたし、ここで降ろしてもらおうかな」それで、タクシーを停車させ、彼女を…

チタン

同級生だった女子ふたりが同じ会社に就職。ここで作文の発表会があった。作者本人による朗読。会社が扱っている素材、チタンに関して。唐突に、一方の女子が他方の女子に感謝する。意外な心情吐露。それも涙ぐむほどの。まだまだ知らないことがあるものだ。…

万能弁当箱

ある家の居間において 弁当箱が次々と空中に浮かぶ。なぜかその断面しか見えない。中にとんかつのようなものが挟まっている。これが万能なのだそうだ。栄養か、味か、保存がきくのか。食べてみないと意味わからん。Universal Lunch BoxLunch boxes float in …

アイスはいらんかな

野球場にて仲間と一緒に試合を観戦。隣に座った女が言う。「アイスクリーム、食べたいな」おれは立ち上がる。「えー、アイスクリーム。アイスはいらんかな」実際、それっぽい保冷ボックスを抱えていたりする。Do You Want Ice Cream?I'm watching a game wit…

コビン

近所の子らと一緒に下校途中。「コビンというのはね、ここのことだよ」男の子が知識をひらけかす。「ふーん。そうなんだ」女の子が感心しきり。ぼくは道路にしゃがんでウンコする。「ジャジャーン!」さて困った。お尻を拭くものがない。CobinOn the way hom…

犬と猫

犬の郵便配達夫が勤務中のこと。猫のバイヤーが彼の配達の邪魔をする。「手持ちの郵便物を高値で買ってやるぞ」犬は首を振る。「つまり、試されているわけね」「まあ、そういうことだな」「だったら、それぞれの受取人と交渉しな」それっきり。Dog and CatA …

薄皮一枚

害虫を駆除する装置を作ってみた。叩いてつぶす棒である。ただし、まだ調整が済んでない。なのに一匹、もう害虫が姿を現した。ならば、装置を使ってみるしかあるまい。実際、それで叩いてみた。だめだ。完全につぶれない。薄皮一枚はがれただけ。逃げてしま…

車イス

会社の終業時間になった。急いで帰宅の準備をする。折り畳み式の車イスの上にバッグを載せる。そのまま車イスを押して移動する。途中、同僚Aのところに寄る。電話中のAの奥に自分の荷物があるのだ。その荷物を引き取りに車イスごと奥へ入る。そこへ同僚Bが入…

見せどころ

自宅のようでもある会社の事務所。これから得意先へ営業に出かけるところ。だが、待てよ。上司と兄が行くのだから さらに自分が行く必要ないのではないか。そう考え、さっさと私服に着替えてしまう。出かける直前の上司に言う。「私は行く必要ないですよね」…

セールスマン

売り込みが過激化しているらしい。段ボール箱の中に商品と一緒に納まり 合法的に家宅侵入までするそうだ。実際、そうして送り込まれた私。棚の上に置かれた段ボール箱の中から抜け出す。廊下を渡り、エレベーターに乗り込む。なぜか同僚が一緒。着いたところ…

犬の首

電車に乗った。シートに座りたい。空いてる場所があった。シートの端だ。ただし、ちょっと変。小さな白いものが置いてある。よくみると、犬の首。持ち上げると、ひもが付いている。ぬいぐるみのストラップという感じ。しかし、首だけとは悪趣味な。また、ひ…

能力の使い方

人にはできること、できないことがあります。ある人はできて、ある人はできなかったりします。できる場合「能力がある」などと言います。こうして書いたり喋ったりできるのも能力です。それら能力の使い方について。まず、実際に能力を使ってみましょう。実…

花柄の洋服

ある女性経営者の事務所へお邪魔する。彼女がデザインした花柄の洋服が飾ってあった。帰り際、それらのうちの一つを羽織る。似合うと褒められ、そのまま社長室を出た。従業員は女性ばかりのようだ。私が社長の服を着ていたので 私を社長と勘違いした若い子も…

進路変更

街を歩いている。前方から女の子がやってきた。ぶつかりそうなので、おれは進路変更する。すると、女の子も進路変更してきた。またぶつかりそうなので、さらに進路変更。すると、またもや女の子も。それで、とうとうぶつかってしまった。おれたちは崩れるよ…

造花を植える

裏庭から人の話し声がする。部屋のカーテンを開く。曇りガラス越しに動く人影が見える。窓サッシを開ける。共同住宅の住人が裏庭で作業している。どうやら造花を植えているようだ。管理責任者として忠告する。「人それぞれ好みあるから、どうかと思うよ」何…

チャッピー

郵便局らしき店舗で働いている。「おい、チャッピーはどうした?」先輩職員が尋ねた。そう言えば昔、そんな名のリスがいたな。あのキャラクターのことだろう。「あの箱は古くなったので捨てました」リスの絵が描かれた箱を処分したばかりだった。「箱ならい…

床のカレー

大きな木の板が床の上に置いてある。床にあいた穴の蓋のようだ。さらにその上にカレーが盛られてある。じつはカレーでないのかもしれないが できればカレーであって欲しい。ともかく、このままにしてはおけない。板を持ち上げ、カレーを穴の中に落とそう。そ…

ちくわの開き

我々はチームを組んで事に当たる。面倒もあるが思わぬ喜びも生まれる。今回、ある動物を捕獲することになった。そいつはネズミのように地を這う。ただし、形状はちくわに似る。公園で一匹を追い詰めた。と思ったら、投げ出すように体を開いた。魚の身を開い…

パン食堂

学校を抜け出し、兄とパン屋へ。そこで調理されたパンを食べることができる。服装の乱れた女子高生が先客として数名いた。おいしそうなパンを食べている。食パンと具を重ねた立方体サンドイッチ。ちょっとしたケーキのようにも見える。テーブル席に座り、女…

細菌パック

袋詰めの細菌が売りに出されているそうな。イカの塩辛パックみたいなイメージ。買った人は、もう一袋欲しくなるらしい。あいにく数量制限があるというが。Bacteria packIt seems that a bag of bacteria is for sale.The image is like a salted squid pack.…

従順なる意識

違う。速度など求めてはいない。比較するなかれ。加速度を感じたいだけなのだ。研ぎ澄まされた意識の中における従順。Obedient ConsciousnessWrong.I'm not looking for speed.Don't compare.I just want to feel the acceleration.Obedience in a sharpened…

野菜を置かせて

畑の近くにある家の敷地を借り 採れたての大量の野菜を置かせてもらう。お礼として、そのうちのいくつかの野菜をその家の者たちへプレゼントするつもり。その家の者たちは東南アジア系の人たちで 片言の日本語を話す。皮をむいた立方体のスイカがあり それを…

ゲーム大会

賞金のかかったゲーム大会が開催された。団体戦においては追加参加費が必要、とのこと。それが正当であるか否か、判断しかねる。とりあえず、応援するチームに伝えなければ。部外者なのに、マネージャーにでもなった気分。魔王のごときリーダー率いる同門チ…

誰かの忘れ物

誰かの生誕祭らしきイベントが行われた。ところが、解散してから不備発覚。誰かの忘れ物があったようだ。送り先住所を伝えなければならない。引き出物の包装紙があった。それにマジックペンで書こうとする。実家の住所でよかろう。だが、なかなか書けない。…

角材の男

帰宅すると、家の中から声がする。留守のはずなのに、どうしたことだ? 空き巣狙いか? 玄関のドアを開く。ドアに引きずられるように男が現れた。怯えた表情。そいつの胸倉をつかむ。なんだか変な感じ。木製の角材が男の胸の前に固定されている。肩から先、…

秘密でない基地

子どもらが大勢いる。保育園の遠足だろうか。一匹の大きな虫が飛んでいる。毛深い蜂のようだ。針を刺すつもりでないことはなんとなくわかる。落ちていた木の枝を拾い上げ、花の部分を餌のように与えていたら、枝ごと虫に奪われた。辺りを見まわすと、他の虫…

ありえない声

浅い眠りから覚めたばかり。自宅の寝室、布団の中にいる。暗いので夜だろう。ただし、まだ目は閉じたまま。そして、女の声がした。「起きなさい」そんな台詞。聴き慣れた声だった。けれど、ありえない声だった。その女はこの世の者でない。つまり、すでに亡…

パスタ洗濯機

家電量販店の洗濯機売り場にいる。自分は客なのか店員なのか、不明。「不潔だからきらい、とか言ってたよね」男の店員が若い女の店員をからかっている。「そんなこと言ってませんよ」彼女は恥ずかしそうに否定する。取扱商品の衛生面を比較した発言だろう。…

浴衣幽霊

旅館のロビーに夜な夜な現れるという幽霊の噂。風呂上がりの女性客をおどかすのだそうだ。どうやら地元不良グループの犯行らしい。おれたちは犯行現場を押さえるべく集結した。いざ、引き戸を割るように左右に開く。天井からハンガーに掛かった浴衣が下りて…

絶望せよ

諸悪の根源は「理想」ではなかろうか。または「希望」かもしれない。理想を追うから、無理をする。希望にすがるから、無茶をする。挫折も自殺も、理想に届かないがゆえ。ギャンブルも戦争も、希望あればこそ。だから、人生の基本は絶望であろう。あるいは地…