Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

痴漢対策

朝の通勤電車で痴漢しようとしていたら 逆にOLに痴漢されてしまった。「あ、あの、それは、ちょっと」「ふん。攻撃は最大の防御よ」よく見たら、見覚えがある。三日ほど前に痴漢した女だった。「ま、まさか。あっ、そこは」「どう? される者の気持ちがわか…

四人姉妹

そろって若く美しい四人の姉妹があった。両親は飛行機事故で亡くなり 彼女たちには莫大な遺産が残された。豪華客船に乗って世界一周の旅の途中 あるハンサムな男が姉妹に近づいた。この男、じつは結婚詐欺師。密かに四人それぞれと恋人になり 密かに四人それ…

問い合わせ

他人から借りた傘を返す時に どのようにすればいいでしょうか? みたいな知人の問い合わせに対して なんとか返答しようとしている夢を見て 人は理屈でなく気分で動くのだから 相手の気分に合わせれば良いでしょう。みたいな話をしようかなと思っているうちに…

猫かぶり

猫をかぶろう 猫かぶろ 当方 左様なお話 まったく関心ございません てな 顔してさ 頭隠して 尻も隠せば 見つからない 人相 風体 物腰 持ち物 所詮 見た目さ 世の中は うまく かぶれば 苦労せぬ だから かぶろう 猫かぶろ 他人の前では 猫かぶろかぶらにゃ 損…

何をするか

とりあえず 地球の重力圏を 飛び出そう。何をするか は それからだ。 元「koebu」ロンチーさんと元「koebu」宏美(ろみりん)さんが競演! What We DoFor now, let's jump out of the Earth's gravitational sphere.What we do then.

やめなくちゃ

そういうことは やってはいけなかったんだ。許されるかと思っていたけど そうではなかった。やり過ぎたのだ。調子に乗り過ぎた。怒られて、厳重注意。もうできないのだ。もうやめるしかない。悪気なかったんだけどな。そうは思ってくれないのよね。どうにも…

頭の体操 第1

まずは 腕を胸の前で組んで 暗算の運動 1 たす 2 たす 3 ひく 4 は 手足の指は使わないでください 1 かける 2 かける 3 の 4乗 は 軽くしりとりをしてみましょう いぬ 次 その次 さらに もっと まだまだ あらためて しりとりの運動 いぼ 次 その次 …

飽きちゃった

それは 知ってる それ やった また それか つまんない その気に なれない 飽きちゃった 誰か やってる みんな やってる だらだら だらだら 同じこと やるまでも ない 価値がない どこかで 見たよな 聞いたよな 似たり 寄ったり もったいない 元「koebu」宏美…

悪魔の証明

「悪魔の証明」とは、完全に否定または肯定することが 実際上ほとんど不可能に近い証明のこと。たとえば、悪魔の不在を証明できたと確信した途端に ひょいと悪魔が出現してしまう可能性、なきにしもあらず。事実、そんなふうに悪魔が目の前に出現したのだ。…

詐欺師

おいらは 詐欺師 夢ない人に 夢を見せ 愛ない人に 愛を匂わせ 無知に 微笑み 無邪気に 笑い 人のよさに つけ込み やさしさに すり寄る 弱み見つけりゃ 握って離さぬ 甘さ感じりゃ 骨までしゃぶる 人間不信 えじゃないか 神も仏も ご不在じゃ シロサギ アカサ…

救えない

詐欺に引っ掛かった知人が、それと気づかないまま 詐欺師へ振り込むための借金を頼みに来た。遺産相続型の国際詐欺である。すでに、経費として数百万円も振り込んだらしい。ただでさえ生活が苦しいくせに、またはそれゆえに 数十億円もの遺産が転がり込む夢…

落ち着く部屋

この部屋に絵を飾ると、必ず落ちる。額装して壁の釘にヒモで引っかけておいても フォトスタンド式に棚の上に置いても いつの間にか床に落ちている。釘が抜けたり、ヒモが切れたり、地震があったわけでもない。誰かが故意に外したり落としたりした感じなのだ…

痛い目

ねえ 君 たまにはね 痛い目にあうのも いいもんだよ 失恋する とか 悪酔いする とか 仕事で失敗する とか 土砂降りの雨に濡れる とか こんなこともあるさ と そんなにうまくはいかないんだ と 調子に乗ってはいけないんだ と おれはバカなんだ と 自覚して …

マナー

マナーの基本は、周囲にあまり迷惑をかけないこと。最低限の処世術である。余計なサービスなんぞする必要はない。そも、まったく迷惑かけずに生きるのは無理。存在するだけで迷惑な場合すらあるから。なので、多少の迷惑なら許される。と言うか、許すべきで…

水の都

大雨が降ったという記憶もないが 洪水でもあったのだろうか。道路が川になっている。これでは買い物に出られない。二階のベランダから家の前の通りを見下ろす。通勤のサラリーマンがカヌーを漕いでいる。 通学の小学生はビニールプールごと流されている。こ…

ハエの夏

出た 出た ハエが ハエが出た 夏になったね ハエが出ちゃ 生もの いたむ すぐ腐る ウジウジ ウジわく うっさい うっさい ハエになる お皿の上で もみ手して朝も早よから いい気なもんだ ああ 夏だ 不潔な夏だ ハエの夏 出た 出た ハエが ハエが出た 元「koeb…

肘小娘

膝小僧(ひざこぞう)がいるのだから やはり、肘小娘(ひじこむすめ)もいるのである。実際、肘は小娘に限るな。男はもちろん、おばさんもいかん。しわが寄ってたり黒ずんでたりすると 思わず目を背けたくなる。その点、小娘の肘はきれいだ。ひざまずいて肘…

梅雨入りツバメ

じめじめ じめっと 梅雨(つゆ)に入(い)り だらだら だらっと 汗が出る 軒下の 巣の中 ツバメの子 口をパクパク 餌おくれ 休む間もなく 親ツバメ 虫を捕え 運び いそがしい 汗かいてる 様子もなくて カメラ向けつつ 感心す 自作自演。 Swallow with Rainy Sea…

かざぐるま

風が 吹くと くるくる まわる まわる まわる かざぐるま いつも いつも そこにいて 風まかせ 芸もなく くるくる くるっと まわるだけ それ以上は 望まない それ以上は 望めない くる日も くる日も くるくる くるくる くるくる くるっと まわってばっかり か…

美少女地獄

「美少女地獄」というのは ウスバカゲロウの幼虫の巣、アリジゴクに何気なく近寄ったアリが陥るように 美しい少女たちが堕ちてしまう地獄である。普通の少女なら大丈夫だったろうに なまじ美しく生まれ育ったばかりに その仕掛けられた罠に近寄ってしまいど…

そいつ

僕には対立者がいる。この際、敵と呼んでもいい。とにかく、僕が良いことをしようとすると 必ずと言っていいほど、そいつに邪魔される。そいつには共存共栄という考えはないらしい。どちらが勝つか負けるか、だけである。なので、しばしば僕もそいつの邪魔を…

幽霊の僕

その建物は巨大な電話BOXに見えなくもない。だけど、じつは公衆浴場かもしれない。たくさんの裸の人たちが右往左往している。若い女の人もいたりして、ちょっと嬉しくなる。ところが、やがて様子が変わり 醜い姿、汚れた老人ばかりになる。うんざりする。あ…

闇のナイフ

闇が怖い。暗くて見えないからではなく ありもしないものまで感じてしまうから。闇に靴音が響く。不整脈を連想させる乱れたリズム。追われているような気がする。息が苦しい。どこかへ心臓が逃げようとしている。助けてやりたい。胸を裂いてあげたい。でも、…

カーブを描いて

君のうちへ行こう カーブを描いて ちょっとばかり 遠まわりになるけど これっぽっちも 悪気はないから 許してくれ すぐにでも 行きたいのは 山々だけど 手ぶらじゃ いけないし 行く前に 色々と やらなきゃならないことがあるんだ だから 待っていてくれ 君の…

雨上がりの朝

雨上がりの朝は 少しだけ世界が変わって見える。まだ湿っているけど 空が明るくなりつつあって メリハリある雲は おいしそうなアンパンみたいだ。地面には水たまりが残っていて 草の葉は濡れていて まだ乾き切らない舗装道路には いろんな顔の いろんな表情…

問答無用

「神はいるか?」「いるかもしれない。いないかも」「奇跡が起これば?」「とりあえず、いるとしようか」「とりあえずだと?」「そうだ」「どういうことだ?」「たとえば、この世界に神はいるとする」「うん」「ところが、別の世界にはいないかもしれない」…

森の研究所

研究所は森の中、危険に満ちた森の中。森には研究所から逃げた実験生物が大繁殖。たとえば、毒蛇の尾を振るライオンは 尻を噛まれないかと猛獣自身が怯えてる。食衣植物に襲われ、靴や服を食われると 皮膚を舐めるキノコやナメクジが寄ってくる。皮膚が消え…

洞窟居住地の記憶

ふと思い出した。それは遠い昔に夢で見たかもしれない というほどの、ほんのかすかな記憶なのだ。断崖絶壁にある洞窟居住地。鍾乳洞のような自然の空洞を利用したものらしい。壁面にあいた穴を窓として見える正面の風景は こちら側と同じような形状の穴だら…

モグラの問題

見えないことが問題ではない。ずっと昔、決断してしまったのだ。見えなくなってもいい、と。深海魚だって同じ決断をした。そんなことはどうでもいいのだ、今さら。問題は地中生活が難しくなったこと。どうにも掘れないような硬い土が増えた。そのため獲物が…

六月の風

六月の風は うちに入れよ 梅雨になる前の 晴れた日の あのさわやかな 六月の風は カーテンなどで 人目さえぎるにせよ 窓を開け放ち しっかり うちに入れよ 自作自演。 June BreezePut the June breeze In our houseBefore the rainy seasonSunny dayThat ref…