Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

意志の人

近所の老朽化した市立総合病院は、別の近所に市立総合医療センターとして新築移転される予定。まだ工事中なれど、その内覧会があるそうな。せっかくなので、コンデジ持って見学することにした。エレベーターの定員数で区切り、各グループごとに市の職員引率…

ウルトラのサッカー

なぜかウルトラマンの格好のままティッシュペーパーで鼻をかんでいる。ああ、いかんな。宇宙から来た正義のヒーローともあろう者がこんな人間臭い所作をしていては。建物の陰に隠れることもできぬ位置ゆえ近くの道を通過するクルマから丸見えで恥ずかしい。…

学校は今

政府の教育関係行政機関の窓口へ書類を提出する。とまあ、そのつもりだったのだけれど納得できる成果を期待できない気がして取りやめる。職員を観察するに、ここでは学童に対して家畜に対するような偏ったしつけを施そうとしている。つまり、いい加減な判断…

猫の手

ある分野において名人と称される若者がいる。彼を囲む祝勝会において食卓に出されたその一品は名人が生まれ育った地方の郷土料理。「猫の手」という異名で知られているがどう見ても人の手の焼肉料理にしか見えない。普段の生活では優しい表情の名人はそれを…

マンガの女

人影まばらな教室みたいな広い部屋。大学のサークル活動であろうか。見覚えない女から昔描いた人物画を褒められる。「素敵な絵ね。私が見てるところで一枚描いてよ」「しばらく描いてないけど、仕方ないな」そこそこの美人なので満更でもない。机に向かって…

明晰夢

これは夢だ、とはっきり自覚する夢を見た。それと言うのも、理由があった。その夜、眠くもないのに早目に眠る必要あっていつもより早い時刻に寝入ったから。眠る体調でないまま寝入った結果である。つまり、眠りながらも脳は起きていたわけだ。なかなか面白…

義理の会合

出発の時間を見計らっている。会合に義理で出席しなければならない。建物の端のところに公衆電話がある。見知らぬ若い男が使用中。男は通話を終えると、私に謝る。「申しわけない。もうすぐ知り合いが来るので」私が電話の順番を待っていると思ったのだろう…

軋む本

それは小さな黒い本。解剖学に関する本らしい。だが、内容についてはどうでもいい。材質と装丁具合によるのだろう。 その本を持ってページを開閉すると音がする。古い扉が軋むような音。持ち方によるのか、少しずつ異なった音。手に持つ人の体重や力加減、ま…

屋根の上

自宅の屋根の上にいる。なぜいるのかわからないがここにいるとわかることもあるのだろう。ただし、いくら考えても具体的に何がわかるのかわからない。若き専門家の男も一緒である。彼が言うことは間違いないらしい。ただし、彼が何を専門としているのかこれ…

なぜかイエスタデイ

いわゆるロックコンサートの会場。おれは主催者側の人間らしい。すでに開場され、演奏も始まっている。ところが、主要メンバーがまだ到着していない。不慣れな代理の男がその場を取り繕っている。だが、観客が満足していないことは確か。「これから、どうす…

寝袋滑り

高台にある村の神社にいる。その境内(けいだい)から、さて下界へ参るか。だが、仲間の女が躊躇(ちゅうちょ)している。ここはひとつ、実演して見せねばなるまい。愛用の寝袋を二枚重ねで腰まで穿(は)き そのまま滑るように石段を下って見せる。するする…

懐かしい道

懐かしい道を歩いている。上京してすぐに住み始めた町。そこのいくつかある帰り道のひとつだ。駅前通りからまっすぐ続く道。ささやかな商店街があって 親子でやってる食堂があった。さっき消防署のある交差点を渡ったはず。そこからほんの少し進んだところ。…

パチンコ店

遊ぶつもりもないのに裏口からパチンコ店に入る。妙に静かだ。人気がないのか、営業時間でないのか。不意に奥でドアの閉まる音。続いて室内照明が消えた。正面口を閉められてしまったのか。だが、こちらの裏口はまだ開いてるはず。たとえ閉店時間を過ぎたと…

跳び箱

込み入った駅の地下通路にいる。乗り換えの途中、道に迷ったらしい。改札の前に路線図が表示されてあった。まるで円形の迷路のよう。とりあえず、隣駅まで行かねば。ホームと線路のサンドイッチ模様が続く。なぜか草木が生えている。いけない。電車が来た。…

結論を述べよ

前置きはいい。つまらん前奏もいらん。さっさと始めろ。思わせぶりとか、糞くらえ!つまり、なんなの?何が言いたいわけ?こっちは忙しいんだ。のんびり相手してられん。水増しするな。修飾するな。主張は何?主題は何?余計なこと言うな。紛らわしい。さす…

べき女

勝手に役割 押しつけて「人の話は最後まで しっかり聞くべきよ」とかぬかす べき女 べき べき べき べき べき女 おっと どっこい押し売りか?「つまらん話は聞きたくねえ!」 自作自演。 Should Woman Pushing the role to me without permission "You shoul…

ハーフミラー

男子トイレの中、さらに個室の中にいる。個室のドアには透明な窓がついている。ただし、外から窓を覗いても中は見えない。ハーフミラーの構造になっているから。それは常識として知っているだけでなく ノックする人々の表情からしても推察できる。確認のノッ…

リレーのバトン

バトンを手渡す順番のすべてをすべてのリレー選手が把握する必要はない。誰からバトンを受け取るのか誰へバトンを手渡すのかそれぞれの選手がそれぞれ知っておれば、それでよい。 自作自演。 Relay BatonIt is not necessary for all the relay players to g…

めっけもの

落ちて 落ちて また落ちて まだまだ落ちる 底がない 失敗すること あるだろう へこむことも あるだろう しかたないよ しかたない 年をとったら そんなもの かなしむことない めっけもの まったくもって ぜいたくな悩み というものさそんなになるまで長生きで…

表現の不自由

たとえば「美しい村」を表現するに「美しい村」なる言葉で済ますべきでない。そりゃそうだ。芸がない。額縁入りの絵を想像してごらんなさい。壁の飾るべき位置に絵はなく すぐ下に「美しい村」とタイトルあるだけ。鑑賞にたえない。想像する気にもならない。…

茶番プレゼン

広い会議室でテーブルを囲みある企画について提案している。私は単独のようだが、お客は数名。他に対抗グループも同席している。私のプレゼンの途中なのになぜか対抗グループのプレゼンが割り込む。お客の質問によって流れが変わったようだ。しばらく彼らの…

誌面の部屋

部屋に集まった若者たちへ拾って集めた雑誌を紹介している。ところが、最も紹介したい雑誌は何かの都合で処分してしまったらしい。それで困ってしまった。放送時間の制約をひしひしと感じる。やや過激な内容の雑誌が手元にあり ためらわれるものの仕方がない…

怒涛の後悔

ある有能なる人物が亡くなり私はその才能の一部を受け継ぐことになった。ただし、その才能の一部を生かすためには私の才能のほとんどすべてを殺さなければならない。なんでも、ソフトを取り込むためにハードを根本的に壊さねばならんのだそうだ。実際、手術…

歯ブラシニスト

彼はバイオリニスト。ただし、演奏の腕は並以下。たまたま寝ぼけて歯を磨いていたところ なぜか歯と歯ブラシで名曲を奏でてしまった。ごく微かな音ではあったが あいにく彼の耳は並以上なのだった。それからなのだ。彼が馬毛の歯ブラシでヴァイオリンを弾く…

偉大なる芸人

高名なる芸人が語っている。「私の芸は彼の芸にかなわない。 もし仮に彼がダメになったとしても または私が今の倍ほど上手になったとしても 決して彼の芸には及ばないだろう。 なぜなら彼の芸は すでに芸の域を超えているのだから」 自作自演。 Great Perfor…

ファン心理

Webサイトを閲覧している。ある分野における絶対的実力者に対して女性ファンが賛辞のコメントを送っていた。文字列を打ち込む様子が表示中。 記載内容は素直で過剰にならず、好ましい印象。性格が反映されているようだ。同じファンである自分としても微笑ま…

任務完了

あるミッションありけり。組織の女と組んで一芝居打ちターゲットの人物を印象操作するのだ。まず彼女がターゲットに出会って保険証を落とす。それを通りがかりの私が拾い、彼女へ手渡す。これにより、ある効果が得られるという。構想の全体像はつかめない。…

後輩との対戦

昔の実家のダイニングルーム。これから後輩とボードゲームで遊ぼうとしている。サイドテーブルの上にゲーム盤を置く。それを挟むように向き合って座る。喉が渇いた。冷蔵庫からジュースを取り出す。冷えた麦茶のグラスに混ぜて飲むつもり。同じ飲み物を後輩…

技能測定器

イベント会場の壁や衝立に半立体的なポスターが飾ってある。文化祭の無秩序な展示物を連想させる。居合わせた同僚の説明によるとこれらで技能測定ができるという。または体力測定かもしれない。しかし、下手に扱うとすぐに破損する。実際、いくつか壊してし…

寄り道

数名の仲間と一緒に名所旧跡を訪ねたのだ。ところが、すぐに帰ることになって旅館を出る。寄り道していたら、そこは駅構内の市場。あやうく手作り展示品を落としそうになった。その因縁から店の手伝いをするよう地元の顔役から強要される。「さあさ、寄って…