Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

繰り返す音階

珍しくピアノを弾いている。 同じ音階を繰り返し弾いている。 誰か知らない女の人に聴かせるために。 「このメロディの続きはどうなるの?」 そんな問いかけに答えるためだった気もする。 ある順番で白鍵か黒鍵を指で押すだけ。 それがうまくできない。 位置…

ベッドのかたわら

太った女の上司が入院していた。 退院する見込みはなさそうな気配。 よく思い出せないが、もっともらしい理由で 人生の参考になる本とか、役に立つ情報とかの話を 彼女のベッドのかたわらで聞いていた。 あまり好きなタイプの人物ではなかったはずだが この…

実効支配

会社に泊まり込み、起きたばかり。 自分のロッカーのドアを開ける。 その中の棚の上に折れた一万円札が3枚あった。 確か昨日、誰かから受け取ったもの。 それを同僚に見つけられ、問われる。 「この札、どうしたんだ?」 彼は昨日、3万円を見失ったのだそう…

粗野な選挙

粗野な感じの男どもが集まっている。 言葉つきが角張っていて不自然。 大陸から渡ってきた奴らではなかろうか。 どうやら仕事が終わったばかり。 これから選挙の投票に出かけるらしい。 「投票はついでだよ。飲みに行くのが本命さ」 リーダー格の男が言う。 …

シャボン玉を追え

華やかなアニメタッチ、都会風な大通り。 俺と相棒はどこかへ向かっていた。 シャボン玉のようなものが通り過ぎ、続いて 小学生女子3人が俺たちを追い抜き、駆け去る。 彼女たちは危険地帯へ向かっている。 いかん。阻止せねば。 自然に俺たちも駆け足になる…

飛び込んだ妻

工場の作業について妻に説明していたら 妻が「アッ」と声をあげ、私の胸に飛び込んできた。 なんとなくピンとくる。 ああ、そうか。そうだよな。 妻なんだから、抱いてやらなきゃいけないよな。 そんなことを思うのだった。 母のような気がしないこともない…

筆記アンケート

面も小手もつけた剣道着姿で外出。 戻ったら、筆記試験が始まっていた。 大きな会場にテーブルとイスが並ぶ。 運動部のユニフォーム姿が目立つ。 学校の生徒や会社の社員が座り 本や雑誌を調べながら用紙に書き込でいる。 「おまえら、なにをやってるんだ?…

従兄のこと

なんだかんだ従兄(いとこ)が凄いって話になってさ。 いや。どこが凄いってわけではないけどね。 法事で帰郷したのに仕事を始めたとか。 実際のところ、帰郷も仕事もしてないのにね。 なんというか、理解に苦しむよ。 でも、凄いって思い込んじゃってるんだ…

ミュージカル野球部

野球部の部員たちが円陣を組んでいる。 野球部であることはユニフォームから知れる。 これから送別会が行われるらしい。 しかも、送られるのは俺だ。 すでに円陣に組み込まれている。 全員が立ったまま宴会芸も始まっている。 バットでボールをリフティング…

想いを寄せる

多分、映画の中の話だと思う。 さるタレントが崖から転がり落ちた。 事件か事故か判断しかねる。 で、彼に想いを寄せる女優が現場に現れる。 彼女は刑事の真似事を始める。 すでに死体は運び去られた様子。 あるいは彼が自力で歩み去ったか。 彼の背広だけが…

古い友人

音信が途絶えていた古い友人に話しかける。 「猫が好きなら、それを話題に親しくなればいい」 だが、彼は返事に困っている様子。 考えたら、彼が猫好きだったという根拠はない。 なんとなく猫好きだと思い込んでいただけ。 そうだ。彼はチェスが好きだった。…

リアルな泡

誰かの個展であろうところの展覧会の壁に 水中を昇る泡を描いた写実的な絵が展示されている。 スーパーリアルとでも呼ぶのだろう。 あるいは拡大されたデジタル写真かもしれない。 いずれにせよ、作品として大差あるまい。 色を変え、形を変えても、根本は同…

空飛ぶ文様

空を飛べそうな予感がしたんだ。 それで、ちょっとした崖みたいな土手の上から 倒れるように体を空中に泳がせてみたのさ。 すると、期待通りに浮遊するわけ。 水の抵抗を感じないプールを泳ぐようにね。 ああ、いい感じ。いい景色。 空色の空、水色の湖面、…

樹冠のパノラマ

坂の下の駐車場みたいな空き地で昼寝していた。 今は誰もいないが、先ほどまで仲間もいたはず。 少なくとも、そんな印象がある。 おや? コンクリートの地面が濡れている。 さらには雪解けのように水が流れてきた。 いけない。これは大変だ。 のん気に二度寝…

右端の人たち

受験数学関連のYouTuberたちと相談してる。 動画を作る上での注意点とか、そんなの。 事前準備、テーマの選定、喋るスピード、 編集のコツ、さらに工夫すべきことはないか。 ホワイトボードの描線が細いような気がする。 喋りの速さは描線の細さに比例しない…

切れた銅線

手の中に収まるくらい小さな装置を分解している。 ドライバーでネジを外し、ケースを開ける。 ごく単純な構造だった。 電池と集積回路のチップ、それに電磁石みたいなのが 裸の銅線と被覆銅線ひふくどうせんでつながってるだけ。 よく見ようといじってたら、…

放尿派絵画

中学の同窓会に出席して帰宅の段。 外へ出た途端に尿意を覚え、旅館に戻る。 トイレが見つからず、廊下で放尿を始めてしまう。 コンクリートの床なので、細長い玄関なのかも。 靴脱ぎなのか、すのこが敷いてある。 そこに座って目立たないように用を足す。 …

非情なるかな

そんなことをしたらかわいそう。 だから、そんなことしてはいけないわ。 などとおっしゃる人の多けれど なにをためらうことあろう。 それらは そのような境遇にあることを なんら改めもせず 先祖代々、唯々諾々(いいだくだく)と 甘んじて受け入れ続けてき…

尿の橋

横長な部屋で漫才を見物中。 と思ったら、もう終了。 観客たちは退散しつつある。 ところが、まだ芸を続ける者ひとり。 と思ったら、それはテレビ画面。 テレビ画面の中のひとりの芸人が さらにテレビ画面の中の人物と掛け合い漫才。 なかなか面白いと思うの…

ヤレ落とし

飲み屋で同僚たちと談笑していた。 なぜか女装している。 女装した自分の姿を見ている自分もいる。 自我の分裂が起こっているのかも。 印刷工場での流れ作業をパントマイムで演じつつ 頃合を見計らい、しなを作りながらつぶやく。 「ヤレ落とし」 同僚の女性…

婚約宣言

その女は昔の会社の先輩。 のちに退職してから知ることになるが 過去に複数の上司と不倫関係にあったという。 からかい甲斐のある愉快な人ではあったが 恋愛対象ではないな、と思っていた。 そんな彼女が多数のトラブルを起こし 法事の席だったかで親族会議…

人生の書

ただの紙かと思ったら、原稿用紙のようだ。 なのに、罫線もない白紙であることに変わりはない。 読んだばかりの漫画のネタをメモする。 続いて、思い出せない内容を書く。 すると、その通りであったような気がしてきた。 ここに書いた通りに生きてきたように…

自転車の鍵

自転車の鍵を友人に預けることになった。 それで、まず自転車をロック。 続いて、抜いた鍵を友人に手渡そうとする。 ところが彼は、鍵を受け取る必要がないと言う。 理由を聞いたが、その内容を今は思い出せない。 ともかく、私も鍵はいらないので、とりあえ…

庇と自転車

歩道の端は断崖になっている。 その直下の地面に家が建っている。 手を伸ばせば家の壁面に手が届きそう。 実際、家の窓の上にある庇(ひさし)の上に乗ってしまった。 いい気になって寝そべっていると 庇のトタン板が折り紙みたいに凹(へこ)んだ。 これは…

信用ならん

なにやら物音がする。 カーテンとガラス窓を開ける。 知り合いの老人が裏庭で土木作業をしていた。 彼には若い外国人妻と中学生の息子がいる。 大工だが、脚を悪くして仕事ができないそうだ。 さらに、電動工具の使用中に片手の指を数本切断。 住んでる集合…

甘い考え

洋菓子を食べさせる店に迷い込んだ。 部屋から部屋へと渡り歩くものの またもや出口が見つからない。 どうにか階下へ続く階段があった と思ったら、菓子箱で足の踏み場もない。 手すりの上を十字懸垂しながら なんとか苦労して下りることができた。 しかしな…

抵抗がある

囲碁によく似たゲームで誰かと対戦中。 石を打つ代わりに,選択肢として 連結する味方の石の集まりを一路分だけ移動できる。 条件として、敵の石と接触していてはならない。 そんな感じ。 ボードゲームだと記憶が混乱するかも。 でも、電脳ゲームなら回避で…

変なもの

世話になった上司から新聞を手渡された。 韓国の有名な画家の作品が載っているとのこと。 全面カラー印刷。なぜか濡れてる。 あまり興味ないが、無下(むげ)にもできない。 とりあえず、濡れた新聞紙を乾かそう。 窓辺に運び、屋根の上に干すつもり。 とこ…

論より証拠

4チームに分かれ、あるテーマについて それぞれ独自の論文を書き上げようとしている。 指導教師の監督のもと、我らチームも こうして頻繁に集まって議論を重ねている。 他の3チームはすでに方針を決め 全体をまとめる段階に入っているそうだ。 チームリー…

金のキャップ

ナス料理に金のキャップはいらない。 みたいな主張を友人へ得意気に説明している。 「ん? そうか?」 しかし、友人は納得してくれない。 手持ちのナスのヘタのそのまた上に メッキしたような金のキャップが被さっている。 この部分を包丁で器用に切り取りな…