Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

冷鬼の眼

自宅にいる。暑い。喉が渇いた。キッチンの冷蔵庫の中に 水入りペットボトルがあるはず。うんざりするほど見慣れた冷蔵庫のドアを開くと そこに冷鬼がいた。いかにも冷たい眼差し。ドアを開けたまま呆然としていたら 冷鬼に注意された。「早く閉めろよ」じつ…

つまらん定理

面白いには限りあるが つまらんには限りがない。なぜなら 有限要素の順列組み合わせは有限であるが 同一要素の繰り返しを許せば それは無限に続く。 自作自演。 The Boring TheoremInteresting is limited, but boring is endless.Because the permutation c…

人体知恵の輪

人間知恵の輪という集団ゲームがある。 まず皆で輪になって向き合い ランダムに右手と右手をつなぐ。続いて同様に左手と左手をつなぎ つないだ手を離さず輪をほどく遊び。ならば、個人でやれる人体知恵の輪もありそう。たとえば、膝の裏を通して右手で左手首…

オタマジャクシの足

オタマジャクシに足が生えたら それはもうカエルではなかろうか。もしカエルではないとすれば 同様にオタマジャクシでもない。支障あるなら、オタマガエルとか 別の名前で呼ぶべきであろう。 自作自演。 Tadpole LegsIf a tadpole has legs, isn't it a frog…

家の中のヘビ

真夜中、ドタリドタリと音がする。あれはヘビが階段を落ちる音。どうやら家の中にヘビがいるようだ。小さな千の谷がある田舎ゆえ 小さな千の山もあり、ヘビも多い。戸締りしない古い木造なので ヘビが家に侵入したって不思議ではない。学校から帰宅したら、…

みんなで作ろう

それぞれの 得意と得意を 持ち寄って みんなで わいわい 作ろうよ なにもかも ひとりで 頑張る ことはない ひとりで できる ことなんざ所詮(しょせん) たかが しれている 餅(もち)は 餅屋で えじゃないか 八百屋(やおや)が餅つく までもない みんなで…

見極め指南

相手を値踏みする。または問題を見極める。見た目の印象は重要。本人が自覚しているかどうかも気になる。他者との比較検討も大事。強味、弱味をはっきりさせたい。とりあえず、不確定要素は保留しておく。急ぎ確定したくば、そのあたりを突いてみる。言動不…

拒否の抹殺

肯定を前提とする。 否定の選択肢がない。 この専横、目立たぬ暴力。 あるいは詐欺。アンケートにせよ 選挙にせよ OSのグレードアップにせよ 拒否を選べない設定は なべて 相手に対する誠意のないご都合主義 と言わざるを得ない。 元「koebu」宏美(ろみりん…

覚醒術

はい あなたは目が覚めます だんだん だんだん 目が覚めます もう眠っていられません 眠ってる場合ではありません ほら もう眠くありません 眠気が吹っ飛んでしまいました はい 目を覚ましましょう 目を開いてください はい 目が開きました 私が見えますね …

爆弾が降る

今日は空爆の日。 朝から爆弾が降っている。 まったく、ひどいことをするものだ。 家は壊され、人は殺され、文化も壊滅。 なのに正当防衛、正当攻撃ときたものだ。 迷惑な害虫を駆除するみたいな 農薬散布のつもりなのだろう。 あんたら、昔からそうだった。…

洗濯日和

今日は朝から晴れて 洗濯するのに好い天気。 汚れてしまった旦那さんを お隣の奥さんが手洗いしました。 太って重い旦那さんを干すのは大変。 ベランダ越しに苦労しているのを見かねて 物干し竿に掛けるのを私も手伝ってやりました。 濡れたお隣の旦那さん、…

しおりの気持ち

私はしおり。 名前じゃない。 本の隙間に挟む あれ。 どこまで読んだか 目印にするだけの あれ。 私に名前なんか あるはずない。 私なんか なんでもいいのだ。 なんとなれば そのへんの 輪ゴムでも なんでも かまわない。 薄っぺらで 軽くて 小さくて あって…

いやな奴ら

いやな奴らはどこにでもいる。できれば付き合いたくない。だが、なかなかそうもいかない。おそらく、相手にしてみれば こっちこそいやな奴なのだろう。まあ、好ききらいは仕方ない。わがままなのも仕方ない。そういうもんだ。生まれも育ちも、色々あるし。も…

呼び声

誰かが呼んでいる。僕の名前を呼んでいる。いったい誰だろう。聞き覚えあるが、思い出せない。それに、ひとりやふたりではない。幼い声、少女の声、少年の声。お姉さんの声、おっさんの声、老いた声。やさしかったり、冷たかったり。悩ましかったり、ぶっき…

伴侶の鏡

若い漁師がひとり、湖に舟を出して 網を投げて魚をとっていた。しかし今日は、いっこうに魚がかからない。 ようやく網にかかったと思ったら 引っかかっていたのは、一枚の手鏡。古い銅鏡のようだが、錆びていない。漁師が覗くと、自分の顔が映る。なぜか空や…

お断り

あっ 興味ない あっ 関心ない そんなの どうでも いいじゃない だから それで どうするの だから それで どうなるの どうして どうして そうするの なんで なんで そうなるの わかんないな 意味不明 やりたかったら やればいい やりたくないから やりません …

沈みましょう

沈みましょう いやなことが 多すぎる 沈みましょう くだらないこと 多すぎる まったくもう ウンザリなのよ やり切れない いい加減で 適当で 余裕なくて 聞く耳なくて 気分次第に まかせっぱなし 話にも なんにも なりゃしない何様のつもり? お子様か? なん…

町へ続く道

僕は町へ続く道を歩いている。向こうから若い女性がやってくる。最初、元同級生かと思った。近づいてからよく見ると、元同僚なのであった。「あら、どこへ行くの?」「町まで」「じゃ、一緒に行く」並んで腕を組み、町へ続く道を歩き始める。「最初、同級生…

落ち着け

我々は加速度的な激変の時代に生きております。過去の基準は急速にすたれます。新たな指針は長く持ちません。問題が多発し、目まぐるしく対応を迫られます。もう我々は一時も安心できません。いたるところ、未知の罠が仕掛けられております。ゆるぎない思い…

毛布男

毛布をかぶった男が街中を歩いていた。頭からスッポリかぶっているので顔は見えない。それでも、少なくとも女でないことはその歩き方と脚の形でわかる。どうにも気になるので、呼びかけてみた。「そんなんで、よく歩けますね」すると、くぐもった声で返事が…

スッキリしない

スッキリしない スッキリしない スッキリしない この気持ち モヤモヤするの イライラするの ああでもなければ こうでもない あちら 立てれば こちら 立たず どうにも こうにも なりゃしない 契約が なんだって? 義理や人情が なんだって? 言いたいこと 言…

野望ダム

苺狩りの帰りにダムに寄った。フェンスから見下ろすと睾丸が縮みあがる高さ。上昇気流も凄い。大した建築物である。ここに水を溜め、水位を上げ その落差を発電に使っているわけだ。不自然ではあるが、自然を利用しているわけで 案外、これが自然な展開かも…

パラシュート

被災地の空に奇妙な光景。全国から送られてくる援助物資が風にゆれながらパラシュートで届く。着地したそれらへと群がる被災者たち。おにぎりは腐っていた。パンは消費期限を過ぎていた。古着は着たくなるものではなかった。もう毛布はいらない。千羽鶴は被…

街の灯

ほんの目の前で若い男女が戯れている。ふざけて首を絞めたり、鼻をつまんだり。見せつけているとしか思えない。酔っているらしく、大きな笑い声。少年少女と分類することさえできるのに。彼らの背景には眠れない夜がある。脳内で分泌されるという麻薬成分。…

ホットケーキ

徹夜明けである。馴染みの店に入ると、若い娘がひとり。その母親でもある女将はまだいないようだ。ホットケーキを注文する。というか、この店には他にメニューがない。黒と茶の二種類の色があり、黒を選ぶと半分に切られて出てきた。すぐに娘は値段を伝えて…

邪魔者

いらない いらない 邪魔だ 邪魔 目障りなんだよ 消えちまえ なんにもならない つまらない 話にならない 用がない あくびが出るぜ 役立たず けっ つまらん つまらん 邪魔だ 邪魔 そんなのいらない 削除しろ 元「koebu」宏美(ろみりん)さんが歌を合わせてく…