Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

要人からの電話

呼び出され、出頭すると、受話器を手渡された。英語圏の某国の要人から直通電話とのこと。「あらあら、初めまして。 べつに大それたことするつもりないのよ」流暢な日本語で喋る中年女性の声。ひらめくものがあり、私は喋り始める。「私もあなたと同じ意向で…

傾国作業

二台のパソコンをつなぎ、設定の変更作業を行っている。どうやら、ある知り合いの女性のために。彼女は国を傾けるほどの資質を持っている。邪悪と呼んでもかまわない気さえする。そんな女に加担するような真似をして良いのか。いや。良くはあるまい。だが、…

狭い脇道

狭い道路を、兄が先頭、私が後ろ。それぞれ別のオートバイに乗りある目的地を目指して疾走している。しばらく直進を続けているがそろそろ右折しなければならないはず。ところが、右折できる脇道はどれもオートバイでは通れそうにない。ただでさえ狭苦しい上…

仕草合戦

桜の花も咲いてないのに、花見をしている。道端にゴザみたいな敷物を敷き数名で円陣を組むように座っている。やや寒いので、中央にシーツのような布を掛け多角形の炬燵でも囲むような風情。私の左隣には昔の会社の元同僚の女。上司との不倫が盛んだという噂…

手続きの不備

ここは役所。一枚の書類を用意して窓口に提出した。手続きのために必要だから。すると、書類に不備があると指摘された。区切られた狭いスペースに同じ情報を会社名と所在地を四つも記入しなければならない。それは活字だが、当然、文字は小さくなる。拡大し…

薄手のワンピース

やや暑いせいか、その女は薄手の白っぽいワンピースを着ている。そのため、その下に何も身に着けてないのがわかる。そう見えることに彼女自身は気づいてないのか平気そうに業務関係の話を続けている。透けて見えることを指摘してやるべきか。じつは、あえて…

倍の版木

時は江戸幕府の頃。特殊な施(ほどこ)しをされた一枚の小さな木の板があった。これが版木になるという。これに強い日の光を当てると絵が投影され、紙面に刷ることができるらしい。その彫りと刷りを生業(なりわい)とする女がいた。この女の指導によって、…

言の葉

短歌を詠めり。ただし、内容は忘れた。時間の逆転がテーマ。思い出せなくて作るが失敗した、みたいな。所詮、言の葉はイメージ。言の枝はイメージの配列指定。言の木ならイメージの集合体か。なれば、言の森もありなん。言の山、言の海さえも。いずくんぞ、…

武闘の舞踏

ある幼い女子に舞踏を教えている。ただし、じつは武闘の意味合いも兼ねる。つまり彼女、踊りながら闘うわけだ。とてもかわいらしく。ただし、まだまだ技量は未熟。たった2つの基本動作しか身についてない。模擬練習ではあるが対戦もある。いきなりの実戦手…

それら

何かと何かを交換しようとしている。それは場合により、人物により卑怯な行為と見なされる可能性がある。あまりにも安易に有利な状況に持ち込めるからだ。菓子のかけらのようにも見えるそれらをテーブルの上に並べ、手の内をさらす。意外にも、対戦相手はス…

越境の騎士団

俺たちは何を求めて こんな地の果てまで来たのか。 理想という名の夢の実現に 燃えていたはずだが その青白き炎は 現実という名の冷水に すっかり消されてしまった。 夢は限りなく大きいのに 現実は限りなく小さい。 夢をそのまま実現させるなど もともと無…

カボチャの拳

殴り合いの喧嘩が始まりそう。道徳に関する本音だったか正論だったか気に障る発言をしたせいかもしれない。相手はかなり怒っているようだ。眼鏡をかけた太った男でヘルメットみたいな帽子を被っている。カボチャのような大きな拳が飛んできた。それを私は左…

闘う意味

僕たちは闘い続けたた。前人未到の聖域を汚すためだったか愛と勇気と自由を踏みにじるためだったかよくわからぬ希望に導かれ降り積もる雪や火山灰をかき分け死を恐れず、迷いもなく時には絶望すら楽しみながら僕たちは闘い続けた。同胞の屍を踏み越えるのだ…

うそつき野郎

おれはうそつき野郎だ。学校主催「うそつき大会」で優勝したほど。もっとも、そんな大会ありゃしねえ。息するようにうそをつく。夢見るようにうそを言う。四人兄弟の真ん中、ひとりっ子。親より年寄り、育ての子。前世は来世でありました。天国は地獄であり…

妙な迷路

妙な迷路がある。なにが妙かと言えば、そもそもそれは迷路ではない。パズルの一種ではあるが解ける場合と解けない場合がある。たとえば、右に置くと左になる。左に置けば上になる。上に置いたら、なかったことにされた。あるはない。ないはある。というか、…

綿棒な対話

亡き母との対話。兄の名前にまつわる因縁を返却せよみたいな内容だったか。「ああ、かまわないよ」つまらんことにこだわっていたものだ。それにしても、耳が痒い。歳のせいか、外耳が弱くなった。綿棒ではなく、西洋耳掻きで思う存分、耳穴を掻き掻きしたい…

乗り過ごし

バスに乗っている。今、途中のバス停を通過したところ。続いて、見覚えある光景が車窓をよぎる。有名な歌人の石碑だった。いけない。失敗した。この先は知らない。用がない。さっきのバス停で下車すべきだったのだ。次のバス停から引き返さねばならない。ど…

希望の継続

僕たちは別れることになる。離れ離れになるわけだ。それぞれの道を歩むことになる。別の色、別の形を伴ってね。使えないものは処分しなければならないだろう。新たに調達しなければならないものもあるはずだ。縮小もしよう。レベルダウンもあろう。途切れる…

石のオブジェ

高台にて個展を開くことになった。しかも、深夜に。ネット経由で宣伝はしたものの一人でも来客あればマシかな、と思っていた。ところが、そこそこの人数が集まってきた。しかも、美大生みたいな女子ばかり。会場には石のオブジェが並ぶ。ほとんど展示台のよ…

空想通貨

なんでも買える。買えないものはない。学校の成績を買っちゃえ。会社の売り上げも買っちゃえ。愛情も買える。恋人や女房も買える。夢や希望なんか安いもん。ただで買える。才能や性格やムードも買おう。肌色や髪質や容姿なんか買い替える。評判や人気も買え…

生き埋め寸前

曇り空の下、川が流れている。山の中、沢の崖下みたいな場所。小さな洞窟がある。窪んでいる程度、大して奥行きはない。男女のグループがいて、人数は4人。洞窟の中でなにやら捜索している様子。「雨が降りそう。もう帰りましょうよ」若い女が言う。「まだ…

ホワイトボード

公園の周囲にある狭い道路上のなくてもかまわないほど短い横断歩道。そこを渡るのか渡らないのかなんとも曖昧な位置におれは立っている。しかも、ズボンをずり下げ、下半身丸出し。恥ずかしいが、するべきことがある。書かれたラクガキを消そうとイレーサー…

間引き

上階の住人のいびきがうるさい。同じ部屋なら眠れないレベル。いびきを止める方法はないか?検索して調べてみる。簡単かつ完璧な方法はなさそう。迷惑この上なし。居なくなればいいのに。いっそ死ねばいいのに。間引いてしまえ。いや、マジで。死によって解…

炎上就職

就職したばかりの会社の寮に泊まる。その翌朝、出社初日なのに寝坊してしまった。あわてて起床、あわてて着替える。そこへ会社のお偉いさんが登場。会長と、本日付で退職する役員であろうか。なんとなく会話の内容から推測する。その時、火災が発生。脱ぎ捨…

マイノリティ

少数なのだ。どこもかしこも。まとまって大きな要素がない。持ち物を調べても、担当地区を調査しても。共通項はサンプルが少ないこと。爆発的な連鎖反応が期待できない。たまたま気づいた人にしか浸透しない。切ない。笑えるほど哀しい。真理や正義は心の中…

心残りのデザート

教室を連想させるレストラン。今、イチゴを食べ終えたところ。あたりを見回す。知り合いの顔がちらほら。昔の会社の後輩で部下でもあった男がその妻であろう女とテーブル席で食事してる。夫婦が食べているのは、色からしてチョコプリン。おいしそうだが、あ…

配列の記憶

夢を管理せんとする。内容は漠として思い出せない。見たり見なかったりのパターン。または、思い出せる出せないのパターン。それらが間欠泉さながら執拗に繰り返される。二進法を象徴するかのような幅のある黒い線分を区切る白い点の連なり。かすかに残る、…

イモムシの図面

枕元に図面がある。設計図、またはフローチャートか。誰かから菓子を手渡される。かりんとう、または潰れた豆みたいな。ところが、それは虫の卵だった。なぜなら、イモムシが出てきたから。いやいや、わからないぞ。内部から菓子を食べ尽くしただけかもしれ…

久々の滑空

ここは高原。崖があり、水煙あげる滝も見える。なんとなく飛べそうな予感。生々しい記憶が残っているのだ。少し離れた断崖に知り合いの顔。「飛ぶんだね?」と確認の声。「うん」決心して助走を始める。そして、ジャンプ。両腕を左右に広げ、グライダーの要…

左折する自転車

斜め上から交差点を見下ろしている。下半身だけ女装したおっさんが自転車に乗ってクルマのように左折しようとしている。今にも後続車に轢かれそうだ。だが、その持ち前の図々しさでなんとか無事に乗り切ってしまった。轢かれちゃえばいいのにとは思うものの…