Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2017-12-01から1ヶ月間の記事一覧

折れた花札

ここはテレビの撮影スタジオ。大物タレントが司会するバラエティ番組のようだ。ただし今回はいつもと様子が違う。不正疑惑のあった異色の人物が司会をしている。あまり楽しそうではない。「反応よろしくないので、カラオケ大会をします」なんだ、なんだ。ま…

蛾を退治

円環問題を考えていたのだ。円環上の隣り合う数字を組み合わせ1から始まる自然数を満遍なく構成する配列。そのうち疲れて眠ってしまった。それでも考え続けていたのか やがて、次のような結論に達する。「9時と11時に裏庭の蛾を退治すればいい」それは大…

蒸気電車

ある大学院生が電車から降りた。そして下車駅の改札口でもめ始める。研究中の板金の加工技術を駆使して円盤状の銀貨を笠の形に変形させるのだとか。旋盤を使わないところは感心するものの彼の意図がよくわからない。「これからどこへ行くの?」電車の窓から…

屋形船

屋形船に乗ったかて 月が日様になるでなし 橋を渡る人影まばら 落ちてしまえば 土左衛門 相撲取りとて楽じゃなし はるさんが唄ってくださった! HouseboatEven if you ride a houseboatThe moon doesn't become the sunThere are few people crossing the br…

ジャガイモ栽培

ここは病院のような気がする。ともかく病人の収容施設に違いない。私は医者でも看護師でもない。職員でもないとすると、見習いだろうか。それはさておき、電話での呼び出しがあった。ある重病患者の相談に乗れ、と。その男を伴い、職員室のような部屋に入る…

あなたがたへ

あなたがたは昔の話ばかりするのですね。よりによって今。けれど、問題は昔ではありません。今この時です。今この時に何をすべきか、です。だから昔の話ではなく、今の話をしましょう。あなたがたが今やっていることはなんですか。いやがらせではありません…

識別ラベル

ある人物について調査していたのだ。Web検索だったかもしれない。で、その人物の個々の業績に対してある傾向を示す識別ラベルが次々と貼られてゆく。検索の管理システムが自動で整理分類してくれるわけだ。ところが、彼のどの業績に対しても同じ色のラベルば…

休む

今日一日 そこそこ働いてくたびれたから休むみたいな感じで眠るように 自分の一生 そこそこ生きてくたびれたから休むみたいな感じで亡くなるのもそんなに悪くないかな。 とうぷさんが演じてくださった! RestI am tired of working hard so long today so I …

傘の柄につかまって

上昇気流を感じて 僕は傘を差す そして ジャンプ! 高く高く 体が浮き上がる 紙風船のように しっかり両手で 傘の柄につかまって ああ こりゃ いい気分 やがて 静かに止まる ゆっくり ゆっくり 降り始める でも まだ僕は 空中にいる そのうち 着地するだろう…

アスレチック野生児

おれは野生児。全身、口の中も含めて泥だらけだ。編み込んだみたいな絡まり方のつる草に手足を引っかけながら、ひとり崖を登っている。なにかを探し求めていたはず。宝物か食べ物か、どうも思い出せない。一度は断念したものの、再び挑戦。とうとう崖の上に…

理解の限界

ある事柄を理解せんとする時、その背景となる事柄も理解せねばなるまい。その背景となる事柄についても、さらなる背景の事柄がないとも限らない。さらなる背景となる事柄がないと仮定すれば、そこで理解の世界は閉じる。有限の世界の内なる事柄同士の関係や…

取り決め

ある対決があった。ただし、具体的に示すことはできない。勝者は敗者を子分とする。敗者は勝者を親分とする。さような暗黙の取り決めがあったようだ。しかしながら、表向きはともあれ、裏においてかつてそれが厳密に守られた試しはない。やはり誰しも、負け…

無常

確かなものなど どこにも ありません さっき それはそこにあったのに 今 それはそこにない 風に舞い 雨に濡れ 川に流され 色は消え 形とどめず 目が覚めた はるさんが演じてくださった!「note」yayaさんが演じてくださった! Impermanence There is nothing…

水中カメラ

水中にカメラが設置されているのだろう。海底の映像がモニター画面に表示されている。具体的な内容は思い出せない。 とにかく、ある込み入った操作をする。すると映像に劇的な変化が表れた。鮮明になり、遠く細部まで観察できる。「あっ、動いた!」闇の奥、…

由緒ある神社

「こちらの神社は由緒ある神社でありまして」彼女は雇われガイドであろう。「あの、すみません。水を飲みたいのですが」「では、ご案内します。どうぞ、こちらへ」鳥居をくぐり、奥へ進み、石段を下りる。そこに水飲み場があった。参拝者が身を浄めるために…

講演

観衆を見下ろしている。いかにもそれらしき広い演壇。日常生活におけるちょっとしたコツのような話を立体的な棒グラフなんぞ用いて説明している。また、この講演の音声と動画映像は各種メディアを通じて世界各地へ配信されている。実際には違うのかもしれな…

二番目の選手

バスケットボールの試合に出ている。ルールもよく知らないのに、なぜか選手だ。コート内には背の高い黒人選手が目立つ。ユニホームも黒っぽく、敵味方の区別もできない。顔見知りの日本人がひとりだけいる。あいつはおそらく味方に違いない。中学校の同窓生…

江戸時代のハッカー

江戸時代なのになぜかハッカーがいる。少なくとも、そう思い込んでいるのは事実だ。洪水か地殻変動みたいな天災があったらしい。そのため、ある地域が他の地域から隔絶された。それで運河を掘ることになった。あるいは用水路かもしれない。なにしろ情報が途…

発明品の紹介 「コンパス杖」

今回、紹介させていただく発明品の「コンパス杖(づえ)」は足の不自由な方かた向けのこれまでにないタイプの杖つえです。2本の杖が間隔を置いて一体となった構造。基本の形状は、物を挟はさむ道具、トングに似ています。では、使い方を説明しましょう。ま…

顔面受け

キッチンみたいな狭いスペースを挟み 向こう部屋の要注意人物からボールが飛んでくる。なにかの適正テストらしい。こっちの部屋の出入り口に立つ若者に注意する。「顔のあたりに来るはずだぞ」それなのに彼はボールを叩き落とすこともできずまともに顔面で受…

服を作る

歩いていたら、知り合いの女に出会った。同じ町にある食堂の看板娘。東南アジア系の一家で、裕福とは言い難い。むしろ貧乏のようである。女とは約束をしている。2万円でいつか服を作ってやる、と。簡単な服なら作れるような気がする。ネットで検索して勉強す…

小さな家

老いてしまって どうにもならなくなって 誰かに相談したら 小さな家を紹介されて それは分譲住宅の集落みたいで 月々の支払い額が決められてあって ひな壇みたく斜面に並んで建っていて どの家も小さくて どの家も黒っぽい灰色で まるでそのまま墓地になるみ…

パンを求めて

近所のスーパーへ買い物。ただし、そこはパン屋だったかもしれない。なぜなら、パン類しか置いてなかったから。大きな紙袋入りの揚げ食パンが気になる。「これ、一枚いくらですか?」「今、値段を調べているところです」「いくらかはっきりしたら、22枚もら…

カーテン越し

男三人がひとつ部屋にいる。そのうちの一人がおれ。カーテンで仕切られた区域内においてそれぞれ担当する仕事をこなしているようだ。それにしても、眠い。作業を続けられる状態ではない。椅子に座ったまま休息したいが、眠れない。たとえ布団はなくても、床…

進路を塞ぐな

ある場所へ行きたい。または、ある状態になりたい。さような気持ちありながらなかなか成就できない。たとえば、自宅で眠ろうとしていたら 新幹線が寝室ドアを塞ぐ位置に停車した。なんだなんだ。目的地とは路線が違うぞ。ならば、と天井をすり抜け 屋根裏を…

猫の鈴

私は女の子。または、女装した男の子。ほら、その証拠のように鏡を覗くと、両耳にイヤリングしてる。それも、黄色いリボンを通して猫の首にかけるような金色の鈴よ。ずいぶん迷った末に選んだんだけどなかなかかわいらしく見えなくもないわね。しかも、大き…

家畜の受験

筆記試験を受けている。悪名高(あくめいだか)き女が試験官である。試験会場の外は雨。風も強い。無事に帰宅できるかどうか、心もとない。さて、受験生である我々には否定する手段がない。肯定するか、または無視するくらい。対立する設問を肯定することに…

頭の畑仕事

マンション各戸(かっこ)を訪問しながら農作業に関する論文を頭の中で英訳している。我ながらよくわからない夢を見たものだ。大型台風が迫り、大雨の中、傘を差しゴム長靴はいてマンション管理セミナーに出席。デパートで水性ボールペンのスペアインクを買…

それ

一般にそれをする方がしないよりは良いとされる。ただし、それをすることによる結果の良し悪しが不明な場合 それをすることが必ずしも良いとは限るまい。それをせねば無責任と非難されやすい風潮はあるものの 結果の良し悪しもわからぬまま原因に加担するの…

空中キャッチ

おそらく文化祭の会場であろう。学生が見当たらないので学校ではない。会社か町内会の催し物と思われる。招待されたお客さんにサービスするのが私の役目。ある中年婦人が何かを所望する。「お金が必要です」「だから、さっきから払っているでしょ」なんと、…