2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧
楽園から追放される前に男は こっそり命の木の実を盗んで食べた。すると、相容れないものであったためか せっかく食べた知恵の木の実を吐き出してしまった。そのため男は救いようのない愚か者になり 父と兄弟を殺し、母と姉妹を誘惑して孕せた。そもそも男に…
頭の中がリンゴです なんにも考えられません だから 品種は不明です メロンでないとも限りません 腹の中はバナナかスイカ野菜と果物 どちらかな胸はブドウ 尻はモモ 脚はダイコン 腕ゴボウそんなもんです だいたいは 細かいことは気にしませんだって ほら 頭…
恐れていた状況は補助線とともに出現した。「キカキカが来た!」大きい。コンパスと定規だけでは太刀打ちできそうもない。「三角屋敷の長老を呼べ」円周に接するように伝令が走った。キカキカは容赦なかった。瞬く間に村は記号だらけにされてしまった。さら…
「心静かに祈りなさい」天井には大きな穴があいていた。まるで星に祈るような気分。「隠すことなく、純真な気持ちで」女は肌を隠していないか。司祭は金貨を隠していないか。私にはわからない、何を祈ればいいのか。突然、荒々しく扉が開いた。「強盗だ。神…
誰しも程度の差こそあれ わかることとわからないことがある。この場合、わかることとは 本人がわかっていると思っていること。その必要さえなければ 他人に説明できなくてもかまわない。また、わからないこととは 本人がわかっていると思えないこと。そのう…
お后様、お許しください。卑しき奴隷の身で失礼いたします。美しいお后様のたおやかなる寝姿を見下ろすとは奴隷として言語道断ごんごどうだんでございます。しかしながら、お后様。たった今、麗しくお目覚めになられましたお后様。すでに国王陛下はお亡くな…
武士たちに騙されていたことに やっと農民たちは気づいたようだ。手間暇かけて収穫した作物を まんまと奴らに奪われてしまうのだ。さすがに農民たちは怒った。死ぬとしても、反抗せねば生きていけない。それぞれ石や薪や農具で武士に襲いかかる。が、武器を…
裏隣りの家の屋根の上にやたらと鳩が多い。鳴き声がうるさく、糞による被害も心配なので ともかくその家へ問い合わせてみた。すると、餌を与えたり、飼っているわけではなく なぜ集まるのか不思議であり、困っているとのこと。調べてみたら、原因は自宅を含…
人に問う前に まず己に問え 聞いて旨(うま)いは 食べて苦(にが)し きれい事の裏に 汚れあり いい人とやさしい人 扱いやすし 言う前にやれ やった後に言うな 上手(じょうず)じゃつまらん 下手へたでないだけ 努力できるも才能 無駄な能力 無能に近し 道具を使…
そこは岩場のある海岸のようであり 潮騒とも思えるざわめきがかすかに聞こえる。そこにあるそれは巨大な巻貝の抜け殻のようであり 入り口の穴にはヤドカリならずとも引かれるものがある。本能的とも呼べるその抗いがたい誘惑に負け 私またはあなたは、この不…
あやしげな売店である。ありきたりなものは売らない。食品なら、たとえば半魚人の肉。衣類なら、たとえば天狗の隠れコート。文房具なら、たとえば書ける消しゴム。宝石なら、たとえば水星の水晶。貴重品なんだか冗談グッズなんだか よくわからない。美しい人…
妖精がいます。とても小さな妖精です。肉眼では見えません。虫めがねでも見えません。顕微鏡だって 電子顕微鏡だって見えません。たとえ目に見えずとも そこにいるという確かな感触。それがつまり 妖精です。 元「koebu」yayaさんが演じてくださった! A Lit…
ここをこうして こうやって それから おっと こんなことまでやらかして さらには あれ それはいくらなんでもごむたいな みたいなことまでやってしまって いやいや まだまだ このていどではすむまいぞ とかいいながら あんなところを あんなふうにして あまつ…
駅前広場で待っている。「誰を待っているの?」約束したはずなのに なかなか待ち人は現れない。この場所ではなかったのだろうか。「思い出せないの?」列車がホームに滑り込むのが見える。誰も降りず、誰も乗らない。どうやら無人駅のようだ。 車内にも人影…
君がその 腕の先の 手の肌の白さより 白き爪 伸びて 伸びて 伸びきって 我が黒き 曲がった背に突き刺さり 潜るがごとく どこまでも 深く 鋭く 喰い込みて その傷口の 赤き血の にじみ したたり とめどなく 君があえぎ すさまじくまた悩ましくも ありぬれば …
女王様は怒っておられます。それはもう大変な剣幕でございます。すでに大臣の首が三つも飛びました。まったくもって情け容赦ございません。先ほど、女王様の激しい怒りのために 城の南の胸壁が崩れ落ちました。もう誰にも女王様を止められません。このままで…
ある時、ある地点で、竜巻が生まれた。はじめ、ほんの小さなつむじ風だった。それがだんだん大きくなり とうとう竜巻と呼べるほどになった。竜巻は、もう夢中でぐるぐるまわった。まわることが楽しくてしかたがない。どんなことでもできるような気がして 独…
いらない商売が増えたような気がする。セールスぎらいな私の気のせいだろうか? もしそれが必要とされる商売なら わざわざ売り込まれなくてもこっちから探す。もし必要でないとしても便利な商売なら 気が向けば使ってみるかもしれない。もし必要でも便利でも…
いかにも良さそなことやろうとして ろくでもないことする人いるけど あれ、やめて欲しいな。迷惑さえかけなきゃ それで十分だよ。高望みは愚の骨頂。余計な親切、お節介。放っときゃいいのさ、おっかさん。なるよになるって 世の中は。 「ゆっくり生きる」は…
ここに数珠(じゅず)があります。それぞれの珠たまは、1から始まる自然数のどれか一つを意味します。3個の珠による数珠の場合、[-1-2-4-]という配置なら 単独または一連の珠の組み合わせにより [1][2][1+2][4][1+4][2+4][1+2+4]と1~7までの数が表せます。…
答は教わるものではない。自力で見つけ出すもの。どうしても見つからない場合はある。見つけるのが負担になる場合もあろう。されど、基本あくまでも自力。マニュアルは敗北、または妥協。教わって得た答に あの心躍る輝きはない。 自作自演。「Spoon」しんさ…
ねえ 珍しい生き物を見たくないかい? その変な鳴き声とか その特有の動きとか えっ? 興味ないの? ふーん そうなんだ よく知っているものにしか 心が動かないんだ ううん ちょっと意外だっただけ それにその生き物が ちょっとかわいそうな気がするだけ 自…
困った人がいる。身内にも 近所にも 職場にも それこそ どこにでもいる。ルール無視 はた迷惑 ろくでもないことばっかりする。放っておけないほど困った人 ニュースになるほどの大物もいる。このような困った人たちの扱いが 簡単ではないから また困る。追い…
訪れるはずの友人の姿は家の中にない。まだ到着していないのかもしれない。玄関から首を突き出して外を眺める。 庭の端に自転車が五台も置いてある。見慣れぬデザイン。最新型であろう。どうやら兄の客が来ているらしい。母の話では、全員が外国人で 日本語…
救われようと信じた宗教によって むしろ救いようがなくなったりする。幸福になろうと築いた家庭によって 逆に不幸になったりする。楽しもうと始めたゲームがやめられなくて苦しんだり 賢くなろうと入学した学校で愚かになったり 儲けようと商売を始めて破産…
(あれ?)レッテルはどこにも存在しない。(クスッ)想像上の産物である。(ペタッ)しかし、貼ることはできる。(こいつ、変なやつ)貼った本人にはレッテルが見える。「おい、おまえ。なに笑ってんだよ」レッテルを貼られた相手には見えない。「だって、…
あの灰色の濁った空から この腐った大地に たくさんの たくさんの天使たちが 乱れ 汚れ くたびれはてて ボタボタ ボタボタ 堕ちてくる。 かつての純白の衣や 張りのある翼 清き肌も 今はもう 面影さえなく その虚ろなる眼(まなこ)は 死魚にも似たり。 ああ …
雪が降った。妹が小さな雪だるまを作った。それを僕が壊した。妹は泣いた。僕は困った。僕は企んだ。僕は大きな雪だるまを作った。それを妹が壊した。僕は泣くふりをした。妹は笑った。僕も内心で笑った。雪だるまは怒っていた。 元「koebu」yayaさんが演じ…