Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

静止する鳥

その男は非常に優秀である。ただし、非常に勘違いされやすい。あまりにも見事に処理してしまうから。まるで何もやっていない人みたいに。たまたま偶然そうなってしまったかのように。たとえば、数学の難問が出題されたとして途中の計算や理論や背景をすっ飛…

工作機械の暴走

学校の延長のような工場で就労中。なにやら深刻な問題が発生。制御装置が壊れ、工作機械が暴走したようだ。職員室に工員の生徒たちが集まっている。教官の背中が見える。「つまり、自動方式に組み込まれたわけだ」離れたところで古い機械を修理中の年配の男…

順番の乱れ

集合住宅を管理している。当番を決めて居住者に各部屋の掃除をさせている。友人でもある居住者が相談に来た。掃除の順番が乱れ、かなり遅れているらしい。やれやれ。ルールを無視する人が多くて困る。そこで、新たに調整した順番を掲示する。それを伝えると…

高慢な表情

ある分野における達人たちが次々と現れいかにも高慢な表情で発言している。自惚(うぬぼ)れ、自国を誇り他人を誹(そし)り、他国を見下(みくだ)す。なんていやらしい表情なんだろう。まるで、そんな高いところまで上(のぼ)ったのはただ、こちらを見下…

不注意な左足

仕事を終えて帰宅途中、商店街を通り抜ける。その時、左足で台車を引っかけてしまった。動き出した台車を近くの店の端に止める。その店は八百屋のようで、さにあらず。思いついて店主に声をかける。「ちょっと参考にさせて欲しいのですが」歌手で俳優でもあ…

切断の研究

彼女は応用物理学の博士。切断をテーマとした研究を続けている。その着想は素晴らしいと思う。ただし、研究は滞っている。めぼしい成果が上がらないのだ。彼女が属する組織としては問題である。そこで私は提案した。あなたの研究を引き継ぎたいと。「右手に…

スライド取っ手

都内某所、収容施設にいる。全員、軽装で歩きまわっている。俺なんか下着姿だ。気心の知れた仲間ばかりだからだろう。ふと思いつく。せっかくだから新宿へ買い物に出かけよう。雑居部屋を出て、ベランダでズボンを穿く。その途中、歩行する若い女に目撃され…

修行僧

深山にて修行中の僧侶ありけり。学友との論争から逃れ、人に問われる。「あそこで先(さき)んずれば勝ちでなかったか」すると、この僧侶「実質を伴わねば結末に意味なし」などと宣(のたま)えり。A MonkThere was a monk who was training in a deep mount…

個室でメモ

個室に隠れている。カラオケ設備なしカラオケボックス風。数人の友人らと一緒だ。そろそろ外へ出なければ。「その前に、と」若い男が若い女を抱き上げ、腰の上に乗せる。「痛っ」下着姿なのに色気ない女の声。部外者に行為を悟られまいとする配慮か。そんな…

ツーリング

オートバイに乗っている。当然、どこかへ行こうとしているはず。だが、目的地を思い出せない。同行の仲間もいる。友人の若い男もオートバイ。兄はクルマに乗っている。交差点で大きな通りを突っ切る。都会の有名な街へ続く道だ。オートバイではそこへ行けな…

火の車

身近なところで災害発生。ただし、詳細不明。それで、実家へ立ち寄るつもり。途中、小型トラックの掲げる看板が燃えていた。まさに火の車。これは故意にやっているのであろう。状況からして仕方ない気がする。実家に到着した。庭に掘っ建て小屋がある。その…

Jなんとか

元同級生の男たち数名でドライブ。なにか見物して、さて帰ろうかという頃。TIというイニシャルの男から頼み事をされる。「JTのマークの写真が欲しいんだけどさ」なんでも仕事に使うんだとか。なにやら事情があるらしい。そいつからそいつのカメラを借りる。…

飲み会

飲み屋で小さな宴会に参加。途中、別の知人たちと会う約束を思い出した。あわててテレビ電話で確認する。酒で失敗したとかで、約束は反故(ほご)になる。やっぱりね。そんな予感がしていた。一方、こちらの宴会は盛り上がりに欠けて散会。歩き始めてすぐ、…

基本マナー

いやなこと、つまらぬことはせぬが礼儀、言わぬが礼儀。それが人の世の基本マナーであろう。Basic MannerTo be hated and boring, It is polite not to do them, It is courtesy not to say.That would be the basic manner of the human world.

お好み焼き屋

お好み焼き屋をさがし歩いていた。向こうから小型トラックが勢いよくバック。その運転手は世話になった社長だった。さすが見事な運転技術、と感心する。こちらに気づかず、トラックは行ってしまった。いつのまにか古い実家に戻っている。和式便所のペニヤ板…

動く石膏像

その男、じつは俺なのかも知れないが言うに言われぬ妙な芸を持っている。形態模写というか、暗示力というのかとにかく、それは凄いものである。男が芸を始めてしばらくすると彼にまとわりつくように全裸の美女が現れる。しかも、ヨガの行者みたいなあられも…

面白さの研究

面白さについて考えることの難しさは面白さを研究してもつまらないことにある。面白いゆえにその理由を考えるとしてもその理由を知ったところで大して面白くもない。Study of FunThe difficulty of thinking about fun is that it's boring to study fun.I t…

クルマで仮眠

道路に面した車庫にはすでにクルマが駐車中。そのクルマの手前にわずかなスペースがある。そこへ誰かから別のクルマを借りて止める。そのクルマの中で仮眠しようという寸法。ところが、サイドブレーキを引いてなかったかクルマが勝手に動き出したらしい。「…

渦の幻視

直前まで夢を見ていた。目覚めの直後に見える視覚現象。白地に黒の水玉が高速回転する渦模様。うっすら目を開いていても見えている。視野のやや上部、一割ほどの面積を占める。はっきり目が覚める頃に消えてしまう。せいぜい長くて10秒くらいか。極端な場合…

若い人たち

懐かしい人たちがたくさん集まった。皆なぜか若い。当時のままだ。眼鏡をかけた青年が笑われている。彼はそういう役回りなのだ。音楽グループの女の子たち、近く解散するらしい。若くして成功したのに、若くしてやり直し。なのに無邪気な笑顔。「そんなもの…

腹が立つ

ああ また来たかああ いやだあてつけがましいったらありゃしねえおこがましくて偉そうで差し出がましくも場違いで気分次第に怒る 叱るすぐ切れるああせにゃならんこうせにゃいかん許せないってか 王様か教祖様か 神様かほんと てめえは失礼なんだよ 無礼者ケ…

シンデレラに注射

野外パーティ会場か。かつて観た映画が上映されている。踊り子のシンデレラ・ストーリィ。漫画が原作だったかもしれない。それはともかく、気になることがある。さっき医者から注射されたはず。股間のあたりの具合が悪かったような。あれの顚末(てんまつ)は…

芸人の覚悟

先輩として新米芸人に説教している。雪の斜面を滑り降りるのが芸だとしてただ滑り降りるだけじゃつまらんだろ。下から引っ張ってもらうとか上から押してもらうとか、加速度つけなきゃ。そりゃ、勇気がいるよ。でも、そうせゃ駄目だと納得するのがつまり、芸…

無駄な工事

ビル建設中の工事現場を横目に通り過ぎる。社員を引き連れた社長と出くわした。「おい。2億円の無駄使いを見せてやろうか」「なんですか、それ?」「見たろ。あれだよ、あれ」通り過ぎたばかりの工事現場のことらしい。「でも、資本金に1億5千万円も使え…

顔の運動不足

慢性鼻炎が改善されたか、と思ったら中耳炎であろうか、耳漏(じろう)が始まった。いや、順番はその逆かもしれない。耳漏のために鼻炎が軽くなったのかも。どういうことかと言うと耳と鼻は耳管でつながっているから。ドライブで山を越えるなど気圧変化があ…

ナメクジな曲解

身内の葬式の最中である。ナメクジのような小動物を故人に見立て喪主として葬儀を執り行っている。なぜか私は、この代理の小動物も故人と共に亡くなるべきだ、と思い込んでいる。それで実際、紙に包んだ小動物を両手で握りつぶそうと試みる。すると、筋子(…

砂糖抜き

今朝はやけに体調がよろしい。空気がおいしく感じられる。鼻から吸った空気の喉越しが爽快なのだ。かつて、目覚めの口の中は不快だった。いかにも毒々しい、まずい味がしたものだ。それが最近、気にならなくなった。歯を急ぎ磨く必要さえ感じない。そして、…

5人の秘書

友人の男が娘を連れて遊びに来た。娘を風呂に入れると、彼は和室でゴロ寝を始める。この友人はそのまた友人が多い。行く先々で友人宅の風呂やプールに入るため自宅では滅多に入浴しないそうだ。ふと、ある芸能人の話を思い出す。彼は秘書の女を5人雇ってい…

地平線が見える

近所の一区画の建物が取り壊された。すると、そこから地平線が見えるようになった。うわぁ、嘘みたい。遠くに高層ビル群は見えるものの平地が続く。障害物も山並みも見えない。地理的にあり得ない。だが、こうして見えている以上とりあえず信じても損にはな…

孤島の結末

孤島に4人の男女。漂流の末でなく、島流しな感じ。なぜか殺し合う設定になっている。ただし、出題された謎の究明が条件。途中、愛情や友情が芽生える。嫌悪や憎しみもまた。結末は不明。yayaさんが演じてくださった!Ending of an Isolated IslandFour men …