Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ルールの犬

そこそこ高い建物の上から見下ろしている。この建物の住人であろう人々と一頭の犬の姿がある。ある制定されたばかりのルールによってこの犬を殺さなければならなくなったようだ。むごい話である。それがわかっているのか、犬の表情も悲しそうだ。無慈悲な殺…

ヘビの開き

なんとなくホテルの一室。思い出せない何かを探していた。水に濡れたクモの寄せ集めみたいな塊がある。黒い脚みたいなのがもぞもぞ動く。それをよく見ようと近づく。頭から頬にかけて硬いものに触れた。ヘビの開きとでも呼べそうな黒い干物。どうも変なのば…

粘土の模型

粘土でこしらえた共同住宅の模型がある。これを囲んで住人たちが相談している。「これはまずいですよね」地下部分に水で浸食された空洞がある。その部分を住人の代表者が秘かに修正し政府の届け出機関に虚偽報告をしたらしい。それを容認するべきか弾劾する…

手首のシール

夜中に屋外で深呼吸をしている。暑いのか、上半身は裸。なぜか両手首にシールが貼ってある。バーコードやキャッシュカードみたいな感じ。違和感はない。生活する上で必要な処置なのだろう。同じく上半身裸の男が近くで深呼吸を始めた。目配せするので見ると…

一行名言集 第五集

つまらんは罪 おろかなるは罰 人間関係 ほとんど信用がすべて 規則や法律 最低限にとどめておけ 探し物は 要らなくなった頃に見つかる やりたいことと やれることは違う 速さや強さでなく 健全さ これ見よがしに太るなかれ 続けていると わかってくることあ…

三匹のヘビ

最初は会社オフィスにいたような気がする。それから箱を抱えて帰宅したのだ。箱の中には黒くて細長い三匹のヘビ。テーブルから腕を伝って肩や頭の上を這う。小さいこともあり、動きがコミカルでかわいらしい。しかし我ながら、どういうつもりかと思う。これ…

ペッパー水球

市営プールで仲間と遊んでいる。誰かが合成紙で三角柱のボールを作り それで水球の真似事みたいなことを始めた。ボールは水面に落ちた直後に微妙な動きをする。まるで生き物のような面白い動きだ。「ペッパー! ペッパー!」嬉しくなって、そんな歓声をあげ…

半分の自転車

自転車を半分に分解した。サドルのある半分を地面に立てて乗る。残りの半分には友人が乗った。どこにも行かない。というか、どこにも行けない。僕たちは顔を見合わす。どちらもなにも言わない。 Half BicycleI disassembled the bicycle in half.I ride with…

あそこの工場

ある特殊な文化団体の会長から誘われた。あそこの工場で一緒に働こう、と。断る理由はない。颯爽と向かう。工場は2か所あって、通常はA工場。今回はB工場とのこと。水曜と金曜はそういうことになっているそうだ。ところが、それは思い違いだったらしい。そん…

かぞえうた

ひとつ、ひとりよがりというけれど。ふたつ、ふざけてみたいだけ。みっつ、みっともなくたって。よっつ、よごれていたってかまわない。いつつ、いつまでつづくやら。むっつ、むりしているだけね。ななつ、ないてるわけじゃない。やっつ、やっぱりつかれたわ…