Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

命がけの得点

命がけの乱闘の末、男は得点した。 多くないが、少なくもない。 ただし、それは金額ではなかった。 ただの数値に過ぎない。 名誉には違いなかろうが、それだけである。 犠牲として失ったものは甚大なはず。 見果てぬ夢の先にあるもの。 余人にはうかがい知れ…

不ぞろいな靴

チャイムが鳴った。 玄関ドアを開けたら強盗が入ってきた。 あわてて左右不ぞろいな靴を履いたまま外出する。 私を訪ねてきたらしい男と庭で出会う。 「確認してから伺おうと思ったのですが」 顔に見覚えない。声に心当たりもない。 携帯電話みたいな機器を…

生駒山の雪

ある行為に対して、それ相応の数値が発生する。 その数値は文字や音声や画像に変換される。 変換されたそれらを分類して保存する。 そこから取捨選択して組み合わせる。 さて、理論はともかく、実践だ。 ビルの廊下にサスペンス風な舞台を用意した。 俳優は…

AI創作

見た夢のイメージを文章に変換してブログに投稿。 これを朗読して動画化すれば、ほとんど夢の再現。 ネットには大量のイメージがあふれている。 収集分類整理システムを構築し、AIに処理させる。 読みやすいように単語の選択や語感の調整。 人による介入。自…

AI絵画

額装された一枚の絵がある。 目を悪くした印象派が描いたような風景画。 色彩感覚が狂った感じ。 あるいは、AIによって合成された画像かも。 それを使って対象人物の反応を調査している。 または、ある種のゲームだろうか。 ともかく、人間を超えた部分があ…

夢つなぎ

猿が幼女に親しみ込めて死のプレゼント。 なにをあせっておるのやら、真夜中にセミの鳴く。 レンコンと玉ねぎを山ほど積んだ貨物列車が接近中。 保険の調査員、なぜか土管を埋める。 左右から板に挟まれた家、見っともないが丈夫そう。 低レベルな相手と投資…

奥歯のコネクタ

オフ会に参加する女と携帯電話で会話していた。 「それで、あれの件だけど」 「あれってなに?」 どうも話が嚙み合わない。 さりげなく電気工学関係の技術者が現れる。 「すみません。ちょっと口を開けてください」 男は上の奥歯にコネクタみたいなものを差…

屁の音

トイレにて 「今の屁の音はドかな」 なんて思った。 考えてみれば 音には どれも 程と 色と 量がある。 程をわきまえ 色を慎み 量に頼らず 程ほどに 鳴るがよい。 「note」yayaさんが演じてくださった! The Sound of Flatulence In the toilet "Is the soun…

偏見の国

人種的偏見の強い国の特に強い地域。 そこの被災者施設で共同生活している。 おれは差別を受ける側の人種。 多勢に無勢。 現在、施設は改築工事中。 とにかく余裕がない。 おれには必需品としての荷物が多い。 おれが使っているスペースは狭いが 差別する奴…

潜水部

高校時代に潜水部を発足させようとした。 今なら「スキューバダイビング部」と命名するはず。 酸素ボンベなんか用意できない。 水槽用エアーポンプを改良して使うつもりだった。 ところが、校長は許可してくれなかった。 遺憾ながら極めて危険である、と。 …

内なる自由

内なる我々は自由だ。 我々の想いは科学的である必要はない。 また、論理的でなければならないわけでもない。 さらに言えば、倫理的でなくてもかまわない。 外の世界、実生活や実社会ならともかく 基本、内なる世界に規制はない。 Inner Freedom We are free…

イメージ販売

オートバイに乗っていた。 途中、警察の検問を受ける。 道交法もうろ覚えなので心配。 だが、目視検査だけですぐに解放された。 名のある料亭に乗り込む。 子連れの友人と会食。 思い出や夢などのイメージ販売について 事業化できないものか、熱心に語る。 I…

夜鳴きそば屋

江戸時代が舞台。 ある商人が友人の息子の世話をする。 その息子は青年で、名は市兵衛。 夜鳴きそば屋を始めたばかり。 屋台はすでにある。 青年が自力で用意したのだ。 なのに商人は、そっくり同じ屋台を もう一台作って青年に手渡す。 それで作業手順の予…

善悪の彼岸

善いことをやろうとして 悪いことをしてしまう人がいる。 わきまえのない未熟者である。 善いことはしなくてもかまわない。 せめて悪いことだけはするな。 これに尽きる。 Beyond Good and Evil Some people try to do good and do bad. They are inexperien…

片手間の階段

近所で野球大会が行われるという。 見物するため、兄と出かけることになった。 実家の隣との境界は段丘になっている。 そこに手作りの階段が設置されてあった。 実家は改築中だが、きっと大工さんが 片手間に作ってくれたのだろう。 これで随分と近道ができ…

アルゴリズム

いかにも作ったような話には裏がある。 「ああ、またか」 血の気のないアルゴリズムと申しますか、 決まりきった制作手順の繰り返し。 退屈な既存パターンが見え隠れ。 思わず目をそむけたくなりまする。 良い子になろうとすれば、いやらしい。 頼るばかりで…

下山のち登山

下山してから誰かと会った。 少し話をするうち、何か思い出して 再び山に登ろうとしている。 コンクリートブロックに覆われた斜面。 なぜか手にゴミ袋を持っている。 キャンディーが落ちていたので拾う。 一円玉も落ちていたので拾う。 それらをゴミ袋に入れ…

重役の軽さ

ある会社で社員をしている。 社長と打ち合わせをしていたら 退職した元重役が乗り込んできた。 「あいつはどうした?」 元重役は別の元重役について尋ねる。 どうやら過去に不正や裏切りがあったようだ。 その件で確認したいのだろう。 「連絡はありませんね…

暇な工場

不況のせいか、工場は暇である。 わずかな仕事を数名の社員で処理している。 裁断した印刷物をチューブ状に巻く。 しかも印刷面が内側。 そのまま接着してしまうので わざわざ印刷する意味がわからない。 こんなの、需要あるのか。 需要なくても暇だから製造…

ゴム鉄砲

指のゴム鉄砲で友人と遊んでいる。 「ヘイ。ここに当ててみな」 おれは尻をペンペン叩いて挑発する。 「当たると痛いよ」 「輪ゴムだろ。痛くないよ」 それでも彼は躊躇(ちゅうちょ)する。 それではと股間を突き出す。 「ヘイヘイ。どうだどうだ」 ついに…

緋牡丹博徒

緋牡丹のお竜 姐(あね)さんの 着物の裾(すそ) はらりと割れるや ほの白き 太腿の切っ先 我が眼(まなこ)に 突き刺さりて ああ 得も言われぬ 「note」yayaさんが演じてくださった! note.com Hibotan Bakuto Scarlet peony dragon woman As soon as the …

ハンドルの義手

サーカスのテントの中。 これ見よがしに大型バイクが置いてある。 なんとも奇妙な仕様。 ハンドルを握るように義手がついている。 見世物としての意味があるのだろう。 義手の腕を握るようにして運転を試みる。 横倒しの自転車、またはその車輪が 傾いて歪ん…

突風の街

オフィス街らしき景観。 どこかへ行くつもりで歩いていた。 なにやら不穏な気配がする。 そして突然の強風。 街路樹の樹冠が一瞬のうちに吹き飛ばされた。 しかも、残った枝に火がくすぶっている。 なんだこれは? ありえない。 悲鳴が聞こえる。群衆が騒ぎ…

油揚げを切る

長い長い油揚げを端から切り刻んでいる。 見えない包丁のようなもので。 そのすぐ隣では、誰かが同様に 紙テープのようなものを切っている。 これらイメージが何を意味するか 今のところ不明。 ある種の問題に対する解法を示している ような気がしないことも…

新聞は毒

空家になっても玄関ドアに新聞が入れられる という配達ミスがあった。 それで久しぶりに新聞を読んだのだが すぐに気持ち悪くなってしまった。 さあ読め、ほれ読め。 これも読め、あれも読め。 知らないと大変なことになるぞ。 世間から置いてきぼりにされる…

買いかぶり

ある犯罪者を警察が逮捕した。 こいつはおれを殺そうとしたらしい。 つまり、殺人未遂だ。 理由は不明。面識もない。 それで拷問に近い尋問が行われた。 こいつはおれが持つなにかしらの能力を 現在の半分以下にしたかったらしい。 心当たりないが、きっと買…

紙封筒

女が憤(いきどお)っている。 ドア越しに紙封筒を差し出しながら。 制度の悪用を非難しているらしい。 どうやら犯人が特定できないようだ。 気持ち、わからんでもないが 非難したところで、改善されるものでなし。 手間はかかるが、個別に しらみつぶしに当…

差し障り

事務所で同僚たちと世間話をしていた。 社員と恋人、仕事と趣味、みたいなテーマ。 恋人にデザインを発注するのは社員として いかがなものか、みたいな内容。 どうでもいい話だ。 具体的でないのは、世間に差し障りあるからだろう。 そういう意味において 有…

振動しながら

おれと女と男の子が一緒にいる。 親子ではないが、そこそこ親しい関係。 道路からちょっと離れたところに 宮殿風のリゾートホテルが建っている。 これから三人でホテルの丸屋根を掃除する予定。 実際、もう始めている。 蜂のように空中を浮遊しながら丸屋根…

乗り上げたクルマ

乱暴な運転をしていたクルマが 路上駐車のクルマの上に乗り上げた。 そのため、奥の路肩に駐輪していた おれのバイクが出せなくなってしまった。 クルマを運転していた男は 大型消火器を購入して洗車を始めた様子。 消火器は特殊な使い方をすると水が出るそ…