僕たちは戦場にいた。敵も味方も関係なかった。僕たちはみんな傷ついていた。どこもかしこも傷だらけだった。なのに医者ひとり、薬ひとつなかった。とりあえず血を止める必要があった。とりあえず手探りで止血点を見つけた。血が止まれば傷口を舐められる。…
その婦人はいつも雨傘をさしていた。毎日毎日、雨が降っていてもいなくても。晴れた日は日傘のつもりなのだろうか。近所の人たちはみんな気にしていたらしい。ある晴れた日のこと ぼくの弟が婦人に教えてあげたのだ。「おばさん、雨は降っていませんよ」びっ…
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