マンション前の歩道にルール違反のゴミが出された。それも、紙の資源ゴミばかり大量に。決められた曜日に決められた場所に出せばなんの問題もないのに、なぜ無視するのだ。「まったく困ったもんだね」去年亡くなったはずの老母が嘆いている。「そのままにし…

社内食堂のようだ。静かである。私の他に誰もいない。小さなパンの上にある鶏肉のような肉片をこれから食べようとしている。遠目なら菓子に見えなくもない。まず包装の透明フィルムをはがす。それをゴミ箱へ捨てようとして腰を屈める。肉片が転がり、あやう…

ご近所の知人ら数名と一緒に雑木林みたいな庭の草刈りをしている。幹が異様にねじれた低木の枯れた根方の表面を老人が鎌（かま）で削っている。そんなに削ったら木が倒れるではないか。心配になるが、どうも言い出しかねる。それはともかく、変な動物が目に…

彼らは只者でない。パッと現れ、スパッと斬り、ササッと消え去る。ほとんどアニメの世界。「ほほおー。お主、なかなかやるな」「よくぞ、我が切っ先をかわした」「では、こちらからも挨拶せねばなるまい」ヒョン、ドバッ、シュピュー。ススッと瞬間移動、ダ…

電車に乗っている。黄色い帽子をかぶった子どもが大勢いるので朝の通学ラッシュの時間であろう。女の子たちがひとりの男の子の頭を叩いている。笑っているので冗談のつもりらしい。でも、ひどいことをするなと思う。ドアが開き、ホームへ降車する寸前に仕返…