彼または彼女が 線を引いている。
白地に 黒く細い線を。
黙ったまま なんの説明もなく
繰り返し 執拗なまでに 線を引いている。
きっと そうせねばならない理由があるのだろう。
そして その線の重なりによって
形が生まれようとしている。
私またはあなたにはわからないが
彼または彼女には なにかが見えているらしい。
だんたん なにかの形になってくる。
それは白紙に描かれた 都市の景観か。
それとも そのように見える 心の残骸か。
あいかわらず わからない。
線の集まりが寄り添い 太くなり 濃くなり
それらしい形が見えてきたとしても
そうまでして 彼または彼女が したかったこと
それがなんだったのか
私またはあなたには どうしてもわからない。
自作自演。
What He or She Wanted to Do
A thin black line on a white background
that he or she is drawing.
He or she remains silent,
repeatedly and relentlessly drawing lines
without any explanation.
Maybe he or she has a reason to do so.
And the shape is about to be born
by the overlap of the lines.
I or you don't know,
but he or she seems to see something.
It gradually takes on some form.
Is it a cityscape drawn
on a blank sheet of paper?
Or is it the wreckage of the heart
that looks like that?
As usual, I or you don't know.
Even if the collection of lines snuggles up,
thickens, darkens, and looks like that,
I or you just don't know
what he or she wanted to do.
