Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

いやらしい話

夜の保健室

寒い。とても寒い。裸だった。肌寒いはずだ。どうやら夜中、ここは学校の保健室らしい。なぜか両手両足は革ベルトで寝台に固定されている。その寝台を取り囲むように教え子である生徒たちが見下ろしている。「気がついたみたい」「しょうがねえな」「こいつ…

夜の診療室

彗星が夜空を焦がしていた。診療室では女医が少年を治療していた。「熱いよ、先生! すごく熱い!」地団太を踏む、半ズボンの少年。少年のはだけた胸に煙草の火を押し当てながら その膝小僧に触れる、女医の細い指。「ごめんなさいね、聴診器じゃなくて」少…

眠れない

捨てられた死体を道端で見つけた。夕暮れが迫っていた。帰宅の途中だった。まるで眠っているような美しい少女。白い服が破れ、胸が赤く染まっていた。カメラあれば写真を撮りたかった。スケッチブックあれば写生してみたかった。あいにく、どちらも持ってい…

あせらないで

「ねえ、おまえ」私のことである。「これ、欲しいの?」私は首を縦に振る。「ダメよ。おあずけ」私は激しく首を横に振る。「そんなに欲しいの?」私は激しく首を縦に振る。「どうしようかな」私は身悶える。「それじゃ、ちょっとだけよ」私は息を荒げる。「…

少年たち

草原を駆ける裸の少年たち。追い迫るは馬上の貴婦人。「どうしよう」「どうする?」「隠れようか?」「そんな場所ないよ」「見つかったら、どうする?」「踊って見せようか? 小鹿のように」「ぼくたち、小鹿じゃないよ」「残念ながらね」「鉄砲かついだ猟師…

森のトンネル

家は森の中央広場にあり、外出する時は森のトンネルを抜けてゆく。ところが、その日昼なお暗いトンネルの途中に美女がいておれの前に立ちはだかった。おれは尋ねる。「こんなとこで、なにしてる?」美女は両腕を広げて答える。「通せんぼ」おれはムッとして…

あの子が欲しい

あの子が欲しいあの子じゃわからんこの子が欲しいこの子じゃわからん誰でもいいやどこ欲しいあそこが欲しいあそこじゃわからんここ欲しいここじゃわからんどこでもいいやどうするつもりあんなことするのあんなことじゃわからんこんなことするのこんなことじ…

大人の遊園地

「ねえ。ちょっと遊んでいかない?」見知らぬ美女に誘われた。遊んでもいいかな、と思った。入場料はとても高かった。それでもいいや、なんて思った。世にも不思議な大人の遊園地。子どもは入場禁止なのだった。脱衣所で裸になり、そのまま鏡の迷路に入る。…

殺す理由

「殺して欲しいの」かわいい顔して彼女がささやく。「お願い。私を殺して」だから、殺してしまった。彼女は死んでからも美しかった。窓から風が吹き込む。このままにしておけない。とりあえず死体を片づけなければ。裏庭に穴を掘り、そこへ彼女の死体を埋め…

桃色の温泉

どうやら温泉のようである。あたりは桃色の湯煙に包まれている。脱いだ記憶はないが裸であった。水音のする方向へ進んでゆく。慎重に歩かなければならなかった。足もとがヌルヌルしているので滑りやすいのだ。やがて桃色の川が見えてきた。川面には船が浮か…

ウサギとタヌキ

あんまりウサギの耳が長いから なんだかタヌキは困ってしまう。「ウサギさん、ぼくの鼓動が聞こえますか?」その長い耳を折りながら ウサギは恥ずかしそうにうなずく。「ええ、大きな音がするわ。 それに・・・・」「他にも聞こえるのですか?」「ええ。ネズミの…

武装警官

とある映画館で話題の新作を観ていた。水深が膝くらいしかない浅いプールで裸の若い男女のグループが戯れている。そこへ武装警官らしき軍団が現われ、若者たちを裸のまま拘束してしまう。そして、手袋をしたまま体を撫でまわす。「ほれほれ、どうだ、どうだ…

ミダラ王

その男の手が触れるものすべて乱れる。時計に触れると針が曲がって逆回転。定規を使えば折れて曲がって伸び縮み。辞書引けば誤字脱字の上、嘘ばっかり。絵や写真まで乱れてしまう。絵の中の裸婦が卑猥なポーズ。制服写真が水着、水着写真はヌードになる。女…

家庭教師

僕は双子の家庭教師になった。顔も体つきもそっくりなふたりの女の子。いわゆる一卵性双生児の姉妹だ。しかも、どちらも登校拒否児。双子はなんでも知っているので僕はなんにも教えることがないのだった。どんな問題でも自分たちで判断できた。そうとしか思…

解剖バサミ

なぜか解剖されている。腹を解剖バサミで切り開かれ そのまま皮を広げられ 寝台の両端にピンで留められている。執刀者はマスクをした女。その切れ長な目に見覚えがある。「どうして血が溢れないのでしょう?」迷惑にならぬよう小声で女に話しかけてみる。「…

ガラス瓶

ガラス瓶に占領された部屋の中で 男はガラス瓶を眺めて暮らしている。ガラス瓶の中には様々な美女が入っている。好みの美女を街角で見つけると 男は卑怯な手段で部屋に連れ込み、眠らせて無理やりガラス瓶に詰め込むのだ。囚われの美女たちにプライバシーは…

大砲

じつに立派な大砲である。太くて長くて黒々と光っている。大砲は二つの車輪の上に乗っており 牛馬で引いて移動することができる。その大きな二つの車輪のどちらにも 頭と手足が正五角形になるような状態で 若い女が鎖で縛りつけられている。敵国の皇族の姉妹…

催眠術

まず、力を抜いて。そう、身も心も楽にして。さあ、私の目を見なさい、両目で両目を見るようにして。恥ずかしがらず、物を見るような目で。少しずつ近寄りますよ。私の目が大きく見えてきますよ。そのうち境界があいまいになり、ふたつの目がひとつになりま…

赤いハイヒール

故郷の山道をひとり歩いていた。お盆休みで実家に帰省中、なんとなく山に登りたくなったのだ。念仏のようなセミの声、汗と木漏れ日と草いきれ。少年の頃の遠い記憶が重なる。甘酸っぱい香りがした。急な坂道の真ん中、目の前に若い女が倒れていた。白い夏服…

誘拐

下校途中の小学生の女の子だった。あんまり可愛らしかったので俺は衝動的に誘拐してしまった。通りすがりに、むんずと小脇に抱え上げ、そのまま自宅まで駆け足で持ち帰ってしまったのだ。しかし、さすがに誘拐はマズかろう。仕方ないので、俺は言い訳として…

セクシー家電

「喘(あえ)ぎ声が凄(すご)い洗濯機」という動画がかつて話題になったことがある。洗濯槽が回転する時、擦れるのか軋(きし)むのか女性の喘ぎ声に似た騒音が出る洗濯機の話。不況下の苦肉の策であろう。これを応用した独身男性向けセクシー家電を 某家電メーカ…

あえぎ声

俺は独身。時は真夜中。場所はマンションの一室。隣の部屋から壁越し、かすかに声が聞こえる。俺は耳を壁に押し当てる。「ああ、あああ・・・・」女のあえぎ声が聞こえる。俺は首をひねる。(はて、隣は空き家だったはず・・・・)そっと玄関のドアを開け、共用階段…

ほどけない帯

彼女は若くて賢くて美人。大富豪ゴルディアス家の一人娘。「私を抱きたかったら、この帯をほどくことね」彼女の着物をきつく締める帯。その結び目は複雑怪奇。これまで多くの殿方が挑戦してきた。しかし、その結び目をほどいた者はいない。帯を切ろうとして…

子どもたちの時間

お医者さんごっこをするというので タケシ君の家に僕たちは集まったんだけど なんだか話が違っていた。「さて、具合はどうですか?」「ちょっとオナカが痛むんです」「そうですか。では、診察しましょう。 まず、服を脱いでください」「はい、センセ」タケシ…

絡まる糸

「愛してる、って言って」彼女が糸を吐く。「愛してる」その糸が僕に絡まる。「愛してる、ってやってみせて」僕は彼女にやってみせる。「愛されてるのね」彼女の糸が僕を操る。「私も」そして、僕を縛る。「愛しているわ」彼女が僕を食べ始める。元「koebu」…

美しい花

この花の名前は知らない。けれど美しい花だと思う。初めて咲いたときは 小さくてつまらない花だと思った。でも、球根を譲ってくれた知人は言う。「もしも君が、花を美しくしたかったら 雄しべをね、すべて切ってしまうといいよ」それで僕は、ピンセットを使…

命令

そこまで。それ以上近づくな。我が肌に触れること許さん。髪にも爪にも触れさせん。いや。切り捨てた毛や爪なら許そう。脱いだ下着も勝手にすればいい。どうだ? 光栄であるか。おやおや。満足できぬか。我が姿を見ることできるのに。我が声を聞くことも匂い…

許されぬ恋

「いけないことよ」「そんなのわかってるさ」「ああ、駄目だったら」「我慢できないんだ」「そんなことしたら」「ごめん。許してくれ」「まあ。信じられない」「やってしまった」「もう。どうするつもりなの」「自首するしかないさ」「ちょっと待ってよ」「…

タカシくん

「あのね、タカシくん」「なーに? 先生」「タカシくん、この問題とける?」「えーと、ちょっと待って」「待つわよ、タカシくん」「うーん。難しいな」「がんばってね、タカシくん」「もしかして、反転するのかな」「タカシくん、いけないわ」「だって、ここ…

セノコノヒラソ

「セノコノヒラソ、って言ってみろ」また命令するのね。「セノコノ・・・・」あれ、なんだっけ?「セノコノヒラソ、だ」「・・・・ヒラソ」「続けて言わなくちゃダメだ!」怒鳴らなくたっていいのに。「セノコノヒラソ」「よしよし!」なんだか知らないけど、妙に喜…