Tome文芸館 Annex

自作読み物を紹介。動画用朗読音声を常時募集。英訳はGoogle翻訳。

気になること

歩道橋を渡りながら兄と会話している。「このあたりも変わったね」「あの道路なんか大きく曲がっちゃたよ」なにか気になることあって立ち止まる。兄は先に進む。駅前デッキの上にいるような景観。大勢の人が歩いている。空は青くなくて白っぽい。どこへ行こ…

花壇を移す

小学校の校庭にいる。生徒ではなく、どちらかと言えば教師。花壇の一部を別の場所に移す実習が行われている。景観が悪くなったような気はするものの移す作業に学習効果を期待しているようだ。校舎から現れた校長が問う。「どうだ?」「あまりきれいになった…

女医の注意

注文してあったらしい薬品が届いた。あるいは道具だったかもしれない。とにかく意外なものだ。なんでこんなものが、と呆れる。とりあえず編(あ)み籠(かご)の中に入れておく。すると、通りがかった女医が注意する。「あなた、それは緊急を要する物よ」「…

経理の手続き

色鉛筆などを総務より受け取る。自費で買わなくて済むのはありがたい。ただし、書類を提出せねばならんようだ。それで経理の男に問い合わせてみた。すると、彼は巻き尺を取り出す。おれの腰まわりの寸法を測る必要があると言う。寝具なども一緒に注文したか…

音の波形

数学や物理学の講義をする教育系YouTuberがなぜか楽団でティンパニーを叩いている。頭が良い人は何をやっても上手いものだな。しばし感心しながら鑑賞する。高感度マイクなのだろう。ほとんど聴こえないのに微妙な振動まで伝わる。音の波形を微積分している…

ママの味

食べ物には霊が憑(つ)くのだそうだ。「個別の思い出」と呼んでも構わない。テーブルの上にいくつか総菜があった。「これ、持ってくよ」姉のような印象の女が言う。「あっ。それはダメ。これにして」「どうしてさ」「それはママの味がするからよ」意味わか…

工場の記憶

工場の端っこは暗い。なので照明の電源を入れる。続いて断裁機の電源も入れる。これから作業を始めようとしている。いままで休憩していたようだ。他の部署は忙しそうに活動しているのに。鉄カゴに投げ込む紙ゴミの種類について上司から注意のような指示を受…

自転車で配達

自転車に乗って新聞配達をしていた。自転車は知人女性から借りた気がする。乗ったままでは配れない家があり、途中で自転車を乗り捨てる。そのままにしてもおけないので定期的に引き取りに行かなければならない。「いつ返してくれるの?」「そんなのそっちの…

ひねった壺

大きな陶磁器の置物が部屋にある。ソフトクリームみたいにひねった壺という感じ。普段は食器として使われているそうだがじつは便器ではないかという疑惑が浮上した。その証拠のように、入り組んだ形状の表面に食材か糞尿か区別できない物が付着している。真…

トランプ実験

遅刻して教室に入る。どうやら理科実験の最中のようだ。挨拶してくれる同級生もいるにはいるがほとんど全員の意識は実験に向かっているようだ。居心地悪く、そのまま教室を通り抜ける。さらにそのまま友人ら数人と下校中。数枚のトランプを手に持ち、残りの…

殺し屋対策

知人が殺し屋に狙われているそうだ。返り討ちにするつもりなのか会社の同僚と真剣で対戦練習などしている。その上、油断させての毒殺も考慮してるらしい。それらしき物を通販で取り寄せ手配したと言う。おれはテーブル席でうどんをすすりながらそんな彼の用…

ワンマンコンサート

友人がワンマンコンサートを開催した。会場は広く、観客も多い。熱狂的なファンもいるようだ。ギターかき鳴らし、オリジナル曲を熱唱する。いわゆるメッセージソング。説教好きな彼らしい。似た毛色の曲が多いようだ。もっとバリエーション拡げればいいのに…

諦観の念

諦めよう。理想は達成できない。ガウス分布をごらんなさい。いわゆる誤差の正規分布。ある割合で落ちこぼれは出る。ある割合でダメな人がいるのだ。完全に消し去ることはできない。最善を尽くしても無理なのだ。そういうものなのだからそういうものだと諦め…

電気に頼るな

電力会社を相続した若き経営者。世界的な資源不足により電力供給ままならぬ。経営方針の根本的な改革を迫られた。供給体制を大きく2パターンに分け、状況により交互に入れ替える方式を選択。他に代案がなかったからではあるが結果的にこれが最善の方法だっ…

筋肉の群

最初は野球の試合だった。二塁ベースあたりからホーム方面を眺めている。期待の大型新人選手がバッターボックスに立つ。しかし、ふと思い出す。野球をやった経験がないと彼は言っていたな。そのせいか、途中で野球の試合は中止。そのまま短距離走の選考会に…

水をこぼす

廊下の端っこで粗相(そそう)してしまった。持っていたコップの水を床にこぼしてしまったのだ。玄関に誰かいる。逆光でよく見えない。「どうしたの?」声で母と知れた。「なんでもないよ」あわてて濡れた床を手で擦る。ごまかせない気がする。ひどく恥ずか…

食事を奢る

最寄り駅へ向かって歩いていた。唐突に見知らぬ若い女が話しかけてきた。「あの、食事を奢っていただけませんでしょうか」返事も返せないでいると、さらに畳みかけてきた。「あたし、体で払ってもいいんです」ごく普通のお嬢さん、といった印象。我が国の貧…

内なる声

あなたが野菜を食べている間にその虫は野菜の栄養を吸収してしまうのだった。それを防ぐためにあなたは何か行動をとらねばならない。具体的な行動を思い出せないのならとりあえず当てもなく外出してみるがいい。内なる声に従い、しばし野山をさまよう。あな…

雪面に前転

高速バスで雪国に到着。友だちがたくさん同乗していた。ぞろぞろと雪原に降り立つ。道路という感じはない。なにかいたずらしたい気分。ただし、雪合戦をするほど子どもでもない。女たちが俺に罠を仕掛けんとする気配。その前に俺は颯爽と雪面に飛び込み前転…

他人の声

古い流行歌が流れていた。地上の星が見えるかを問う歌姫の声。おれがバス停でバスを持っていると 内容の思い出せないトラブルが発生した。なぜかバス停から離れた場所にいる。そのため、バスが到着したのにすぐに乗れない。「運転手さんは事情がわかっている…

木枠の中

その男は白髪であるが、ほとんど坊主頭。老人と思われるものの、表情は若い。彼は木枠の中に納まっている。出入り口から壁とドアを外した感じ。大きなボールを腰で一度弾ませ、続いて木枠と頭頂の間に挟んで止める。この一連の流れを三回ほど繰り返す。その…

黄色いサンダル

チャリティ展示ショーなるものが開催された。 おいらの作品も展示されているのだそうだ。それで早速、黄色いサンダルを履いて現地へ向かった。改札を通り抜け、駅ビルの中を進む。途中、芸大の先輩に出会った。「お前の作品は一つしかなかったぞ」そんなはず…

球拾い

どこぞのグラウンドで野球の練習中。隣の敷地からテニスボールが転がってきた。それを拾い、隣の少年に投げ返す。そこに打球が二つ飛んできた。ほぼ同時に左右の素手でキャッチ。女子ピッチャーに投げ返す。彼女の健康そうな体格と笑顔がまぶしい。おれの野…

ほどほどに

おいおい。あんたら、なにやってんだ。健康志向も大概にせいや。下手に長生きしたって迷惑になるばかり。適当に生まれて適当に亡くなりゃいい。それで世間はバランスを保っておる。税金じゃぶじゃぶ使って余計なことすんな。経済を不健康にしてどうするつも…

ケーキ職人

ケーキ屋の女職人がケーキを作れなくなった。詳しくは教えてもらえなかったが どうやら小麦粉アレルギーになったようだ。それで親方に説得され、おれが復帰することになった。しばらくケーキを作ってないから自信ない。そもそも甘い食べ物は苦手である。おれ…

後ろに倒れる

関係者各位を招いて社内で会食の最中。ささやかな表彰式などもあり、お祝いイメージ。おれはイスを後ろに傾けていた。教室なんかで生徒がよくやる、あれ。そして、やりすぎて後ろに倒れてしまった。背中と後頭部が絨毯の床に当たった。かなり大きな音はした…

怒りを突き刺す

実家に親類が集まっていた。ある道具のことで母が従兄に礼を言う。透明の容器の中に透明の液体が入っている。用途は忘れたが、おれが持参したものだ。「これはおれが買って持ってきたものだよ」だが、母は納得しない。しばらくしてまた蒸し返す。「あれを用…

割り箸セット

久しぶりに客から注文が入った。あいにく在庫切れだったので町へ出かける。わざわざ作るなんてとんでもない。手持ちなければ市販品を買うしかあるまいて。昔風の商店街を歩いて探しまわる。納得できる品質の割り箸セットを手に入れた。これを包装して客に発…

下着姿

大学病院みたいな建物の中にいる。しかも裸で廊下に。幸いにも人目がない。教室または倉庫のような部屋に急ぎ戻る。下着を身に着けたところで振り返る。外来患者らしき老人がふたり立っていた。続いてドアが開き、白衣を着た女が入室。なにやら事務的な説明…

電車で干す

電車の中、開かない側の扉の前に立っていた。手持ちの紙バッグの中が気になる。手探りしてハンガーとTシャツを取り出した。物干し竿(ざお)みたいなものが目の上にある。しからばここに干そう、と考えた。ところが、見知らぬ若い女が近寄ってきた。「ちょっ…